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巨人・増田陸、中山礼都が定位置争いで台頭 「スタメンで使い続けるべき」の指摘も

 

躍動感あふれるプレー


5月15日の中日戦でプロ初本塁打を放った増田陸


 巨人が交流戦で我慢の戦いが続いている。1カード目のオリックス戦は2勝1敗と勝ち越したが、続く新庄剛志監督ことBIGBOSS率いる日本ハムとの3連戦は1勝2敗と負け越し。3カード目のソフトバンクにも1勝2敗と波に乗り切れない。ただ、実戦を積み重ねていくことでたくましくなっている2人の若手がいる。遊撃を守る高卒2年目の中山礼都、そして中田翔中島宏之を押しのける形で一塁のスタメンで出場を続けている高卒4年目の増田陸だ。

「交流戦は苦しい戦いが続いていますが、中山と増田陸のプレーには躍動感を感じる。試合に出て学ぶことも多いし、将来のチーム像を考えたときに2人が中心選手になってもらわなければ困る。スタメンで使い続けるべきだし、ミスを怖がらずに積極的にプレーしてほしいですね」(スポーツ紙記者)

遊撃で続けるスタメン出場


攻守にセンスあふれる高卒2年目の中山


 主将で中心選手だった坂本勇人が右ヒザ内側側副靱帯損傷のため、5月1日に出場選手登録を抹消。緊急事態で頭角を現したのが、入れ替わる形で一軍に昇格した中山だった。当初は廣岡大志湯浅大が遊撃で起用されたが攻守で物足りなさが残る結果に。二塁を守っていた中山が5月8日のヤクルト戦(東京ドーム)から遊撃に就くと、21試合連続スタメン出場。遊撃は守備のウエイトが重くなる。中山は俊足を生かした広い守備範囲で球際に強く、送球も安定している。

 中京大中京高では卓越したミートセンスで「天才打者」と評されていたが、プロの投手は球のキレや変化球の精度がまったく違う。まだ試行錯誤を重ねている段階だが、光るモノは見せている。5月19日の広島戦(東京ドーム)で同点の7回一死二塁から九里亜蓮のチェンジアップを中前にはじき返すプロ初適時打。この一打が決勝打となり、プロ入り初のお立ち台で「先輩方がつないでくれたので自分のできることを100パーセントとやろうと思って打席に入った結果が安打を打てたのでうれしい気持ちです」と初々しい笑顔を浮かべ、「これからも若々しく全力でやるので応援よろしくお願いします」と力強く誓った。

育成落ちからはい上がって


 プロ2年目でスタメン出場を続けている中山に対し、試練を乗り越えて一軍の舞台で躍動しているのが増田陸だ。明秀日立高で攻守走三拍子そろった遊撃手として注目され、ドラフト2位で入団。坂本が入団時に着けた背番号61を背負い、「坂本の後継者」と期待されたが、プロ1年目の19年6月下旬に有鈎骨骨折と三角線維軟骨複合体損傷の手術を受け、20年はイースタン・リーグで48試合出場し、打率.162、2本塁打、9打点。3年目の昨年は50試合出場で打率,236、1本塁打、9打点と一軍は遠かった。プロの世界は厳しい。同年オフに育成契約となり、背番号は061になった。

 だが、ここからはい上がった。春季キャンプは三軍で迎え、2月15日に二軍へ、4日後の19日に一軍昇格した。二岡智宏二軍監督と打撃の土台を作り直した成果が出る。練習試合、オープン戦で打率.308をマークし、3月11日に再び支配下登録。ファームで31試合に出場し、打率.282、4本塁打、12打点と好調を維持して、5月5日にプロ入り初の一軍昇格を果たした。

 7日のヤクルト戦(東京ドーム)では、5回に高橋奎二の148キロを右前にはじき返すプロ初安打をマーク。15日の中日戦(東京ドーム)でも好投手・柳裕也のカットボールを左中間に運ぶプロ初アーチと途中出場のチャンスで結果を出し続ける。すると、28日の日本ハム戦(札幌ドーム)に一塁でスタメン出場。31日のソフトバンク戦(東京ドーム)では守護神・モイネロのカーブを中前に運ぶ安打を放った。6月1日の同戦でも7回に東浜巨のシンカーを左翼席に運ぶ2号ソロを含むマルチ安打と好調を維持している。
 
 四球で出塁した際は雄叫びを上げるなど、増田陸のプレーにはチームで最も必要とされる執念を感じる。まだまだ未熟な部分はあるが、若さは大きな魅力だ。中山と共にチームの起爆剤になる。

写真=BBM
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