1997年4月2日から98年4月1日生まれの「1997年世代」。高卒であれば2016年にプロ野球のユニフォームを着て、今年が7年目のシーズンとなる。すでに一軍戦力となっている選手、今季に飛躍を懸ける選手と、立場はそれぞれだ。果たして、セ・リーグ6球団の「1997年世代」の現在地は? ※記録は6月3日現在 広島東洋カープ
ドラフト2位の
森翔平、同3位の
中村健人といったルーキー、熾烈な一軍争いに食らいつく
石原貴規、
宇草孔基ら、伸び盛りも多い1997年世代の中で、確実に先頭に立って世代を、チームを引っ張っているのが、森下暢仁だ。プロ3年目を迎えた右腕は、ますます進化を続けている。今季も
大瀬良大地、
九里亜蓮とともに先発右腕3本柱に名を連ねると、ここまで10試合に先発して4勝2敗、防御率3.28。勝ち星と防御率だけ見るとまだまだ物足りなさも感じてしまうが、クオリティースタート(6投球回以上で自責3以下)率は80パーセント。勝ちがつかない試合でもしっかりと試合をつくっていることが分かる。開幕前、優勝するためには「やっぱり先発ピッチャーがしっかり試合をつくっていくというのが一番大事」と語っていた森下。自らの役割をきっちりと果たしている。
読売ジャイアンツ
生え抜きは右ヒジのトミー・ジョン手術からの完全復活を目指して育成選手として奮闘する2016年ドラフト3位入団の
與那原大剛のみ。その中で一軍戦力に近い存在は廣岡大志だ。昨季開幕直前に
ヤクルトからトレード移籍で加入。今季はケガで離脱していた
坂本勇人に代わって開幕スタメンを飾った。逆方向にも長打を放てるパンチ力は魅力だが、まだ攻守ともに粗さが目立ち一軍と二軍を行ったり来たり。ポテンシャルは誰もが認めるだけに、精度を上げてまずは一軍完全定着を狙いたい。ほかには昨オフに
オリックスを戦力外となり、今季から加入した育成の
勝俣翔貴も1997年世代だ。
東京ヤクルトスワローズ
柴田大地、
岩田幸宏のルーキーも加わり、ヤクルトには1997年世代が8人在籍。その中で特段の輝きを放っているのは高卒7年目の高橋奎二だ。将来のエース候補と言われ続けた左腕は昨季後半戦にようやく頭角を表し、日本シリーズでは完封勝利。自信をつけて臨んだ今季は先発ローテーションの柱としてすでに自己最多タイの4勝をマークしている。規定投球回は未到達ながら防御率は2点台と安定。故障さえなければ初の2ケタ勝利の可能性も高い。そのほか同世代では
大西広樹がリリーフ、
渡邉大樹が代走・守備固めとして一軍に帯同。
吉田大喜はファームで好成績を残し、5月に2試合に登板した。
杉山晃基、
小澤怜史はともに春季キャンプを一軍で過ごしたが、まだ昇格を果たせていない。
中日ドラゴンズ
世代を代表する投手の1人だろう。東海大相模高(神奈川)の3年生だった2015年夏の甲子園優勝投手が小笠原慎之介だ。同年秋のドラフト1位で中日に入団。ルーキーイヤーから勝ち星を挙げ、3年目には球団史上最年少で開幕投手も務めた。その後は故障もあって思うような成績を残せなかったが、6年目の昨季は初の規定投球回に到達し、自己最高の8勝をマーク。投手王国の中日において、今や
大野雄大、
柳裕也に次ぐ先発三本柱に数えられている。投手ではほかに
勝野昌慶、
橋本侑樹、ルーキーの
石森大誠、育成の
松田亘哲がおり、野手では夏の決勝を争った捕手の
郡司裕也(仙台育英高)、2年目の
三好大倫が名を連ねる。1997年世代はチームで7人だ。
横浜DeNAベイスターズ
1997年世代は3人と少数精鋭だ。今季は未勝利ながら先発として左腕を振る
坂本裕哉に加えて、中継ぎで安定した投球を続ける
伊勢大夢と一軍で活躍する投手が並ぶ。残る1人、外野手の蝦名達夫が面白い存在だ。スケールの大きな打撃が持ち味でルーキーイヤーには当時の
ラミレス監督も才能を認めた右のスラッガーだ。一軍では殻が破れない日々が続いたが、6月2日のオリックス戦(横浜)に「二番・右翼」でスタメン起用されると初回、2年ぶりの本塁打を放って気を吐いた。混戦の外野レギュラー争いに名乗りを上げている。
阪神タイガース
現在一軍で奮闘しているのは
小野寺暖だ。相手先発が左投手のときに起用されているが、今が踏ん張りどころだろう。1997年世代では今季ドラフト6位で入団した
豊田寛が、即戦力外野手として期待され一軍を経験したが現在は二軍。その中で現在は二軍ながら、今季実績を残しているのが3年目を迎えた小川一平だ。強力な先発陣の中で開幕から先発ローテーションに入り、4試合に先発。4月20日のDeNA戦(横浜)では7回2安打無失点の好投を見せた。ここまでの一軍成績は6試合登板で0勝2敗、防御率4.38。必要な戦力として、再び一軍へ上がってくれるはずだ。
写真=BBM