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首都大学リポート

明治学院大“一部昇格”の立役者は右腕・佐藤幹。投手は「小学生のころに少しかじっただけ」だが急成長/首都大学リポート

 

ゼロからフォームを作り上げて


明治学院大の右腕・佐藤は帝京大との入れ替え戦で好投し、一部復帰に貢献した


【6月12日】一部二部入れ替え戦
明治学院大5−3帝京大
明治学院大2勝(一部昇格)

 首都大学野球の一部二部入替戦の2回戦が日体大健志台球場で行われ、先勝していた二部優勝の明治学院大が5対3で一部6位の帝京大を破り連勝。2008年春以来となる一部復帰を決めた。

 立役者となったのは今春の二部リーグで最優秀選手に選ばれ、6月12日の入れ替え戦(2回戦)でも先発して勝利投手となった右腕・佐藤幹(4年・駿台甲府高)だ。

 佐藤投手だが、実は「ピッチャーは小学生のころに少しかじっただけで、ほとんど経験がなかった」という。

 転機は大学2年の秋季リーグ終了後。金井信聡監督が部員の適性を調べるために、それまで守っていたのと違うポジションを試させたのがきっかけだ。当時、内野手をやっていた佐藤投手だが、金井監督によると「立ち投げで140キロを投げた」とのことで、まずは二刀流から始めたのだという。

 まさにゼロからフォームを作り上げ、昨秋のリーグ戦で初登板。

「自分は一塁側へ横回転して力が逃げてしまうところがあるので、ラインを意識して真っすぐ投げるようにしました」

 すると、いきなり150キロを記録。いつの間にか「『ピッチャーが楽しくて仕方がないです』と話すようになり、バッティングの練習はやらなくなりました」(金井監督)と投手に専念するようになった。

 昨年の冬場はメディシンボールを投げたり、ジャンプトレーニングをしたりして体作り。さらに、フォームの見直しも行った。

「自分は全力で投げるタイプで昨年は先発が苦手でした。そこで、効率の良いフォームを探して投げ込んできました」

 こうして迎えた春季リーグでは先発に救援にフル回転し、8試合に登板して3勝(1敗)。公式記録ではないが3セーブも挙げ、さらに30回1/3を投げて防御率0.59とリーグ2位の好成績。ちなみに5月の日本ウェルネス大戦では再び150キロをマークし、1安打完封勝利を収めるなど飛躍した姿を見せた。

変化球で緩急をつけて


 帝京大との入れ替え戦(2回戦)では初回に1点を失い、2回途中には降雨による中断というアクシデントに見舞われたが「初回は力が入ってしまいましたが中断のおかげで力が抜けましたし、質の良いボールを投げるように意識することができました」と8回を投げて3失点の好投。

 ストレートは140キロ台の前半にとどまったが「真っすぐが走っていない分、変化球で緩急を付けました」と縦、横のカットボールにフォークボール、チェンジアップを投げ分け、8回裏は3点目を奪われてなおも二死三塁のピンチだったがカーブで見逃し三振を奪ってみせた。「カーブは得意ではないのですが、サインを信じて投げ切れました」。

 チームは入れ替え戦で連勝し、見事に一部昇格を決めたが、佐藤は「秋はもっと強い大学と戦うことになるので、チャレンジャー精神で堂々と戦いたい」と抱負を語った。

 4年生ということで進路も気になるところだが、本人は「プロに行きたいので、社会人も含めて上でやれたら」と話している。自分の道を切り開くために、秋季リーグも負けられないピッチングが続くことになる。

取材・文=大平明 写真=BBM
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