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村上宗隆、牧秀悟、岡本和真…「令和初の三冠王」に最も近いスラッガーは?

 

 今年はセパ共に「投高打低」の傾向があるが、この3選手はアーチを量産し、勝負強い打撃でチームを勝利に導いている。不動の四番に座るヤクルト村上宗隆DeNA牧秀悟巨人岡本和真……「令和初の三冠王」に最も近い選手は誰だろうか。
※成績は6月19日現在

交流戦MVPも獲得した好調な打棒


6月19日の広島戦で2本のアーチを放った村上


・村上宗隆(ヤクルト)
今季成績 65試合出場、打率.302、21本塁打、56打点
通算成績 477試合出場、打率.273、125本塁打、352打点

 12球団で今、最もスキのない強打者が村上だろう。交流戦ではパ・リーグの投手たちを震え上がらせた。5月24日の日本ハム戦(神宮)で北山亘基から14号サヨナラ2ランを放ち、6月11日のソフトバンク戦(PayPayドーム)では2ラン、逆転満塁アーチと2本塁打で猛打賞の6打点を放つなど連日の大活躍だった。交流戦全18試合出場で打率.351、6本塁打、13打点。本塁打の内訳も勝ち越し打2本、逆転打2本、サヨナラ打1本と中身が濃い。交流戦Vに大きく貢献し、MVPに輝いた。リーグ戦再開後も好調をキープ。19日の広島戦(神宮)で、同点の3回二死に左中間席へ運ぶ勝ち越しの20号ソロを放つと、5回も2打席連続の21号右越えソロで同一カード3連勝に大きく貢献した。

 野球評論家の柴原洋氏は開幕前に週刊ベースボールの企画で読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」で、村上の打撃について以下のように分析している。

「昨季は大学でいえば、4年生。それでこの実力ですから末恐ろしいのですが、これからアベレージをもっと上げていくには落ちるボールへの対応でしょうか。見ていると簡単に、あっさりと空振りするケースが見受けられます。割り切って振っているようにも見えるのですが、このボールをいかに我慢することができるか。あれだけポイントを近くして対応できるのですから、意識的に、または反応して我慢することができれば、さらに四球も増えますし、アベレージも上がってきます。打点、本塁打はこの成績。アベレージも上がれば、令和初の三冠王の期待もできるのではないでしょうか」

 6月は月間打率.422、6本塁打、13打点と絶好調。14試合で13四球ときっちりボール球の見極めもできている。リーグ連覇に加え、三冠王が実現可能な領域に足を踏み入れている。

ミート能力が高い右のスラッガー


6月11日のロッテ戦では佐々木朗から本塁打を放った牧


・牧秀悟(DeNA)
※今季成績 55試合出場、打率.299、16本塁打、49打点
※通算成績 192試合出場、打率.310、38本塁打、120打点

 6月に入り調子が下降気味だが気にする必要はないだろう。牧の強みは逆方向にも長打を打てることだ。11日の交流戦・ロッテ戦(ZOZOマリン)で佐々木朗希の130キロのカーブを右翼席へ運んだ16号先制ソロが象徴的だった。直球狙いだったが、体の軸がブレずに変化球に対応して強いスイングで振り抜く。今年は40本塁打に迫るペースで長打をコンスタントに打ち続けている。ミート能力は高いだけに、本塁打を量産できれば三冠王も現実のものとなる。

 1年目の昨年はリーグ3位の打率.314、22本塁打、71打点をマーク。10月23日の中日戦(横浜)から5打席連続二塁打の日本新記録を樹立し、リーグ新人最多記録の35二塁打をマークした。中大の恩師・清水達也監督は週刊ベースボールのインタビューで、「ある程度一軍で試合に出場できれば数字は残せるんじゃないかな、と期待を持っていましたが、ルーキーイヤーから予想以上の成績を残してくれました。年末にはグラウンドに来てくれましたよ。打撃に関してはプロの投手はコントロールがいいので、打つボールを絞ることができたと言っていました」と1年目を振り返った。

 さらに「打率はそこそこいくと思っていましたが、本塁打がここまで伸びるとは(22本塁打)。シーズン終盤には四番にも座って、チームを引っ張っているようで頼もしく感じました。本人も言っていたけれど、プロに入って打撃を大きく変えた部分はないようです。私はインコースの球をどれだけさばけるかがポイントだと思っていました。それに対してうまく対応していたし、厳しいコースをカットしてプロの攻めに臆することもありませんでした」と評価している。
 
 まだプロ2年目。今後の進化が楽しみだ。

確実性も身につけつつある大砲


5月29日の日本ハム戦で通算150号を記録した岡本


・岡本和真(巨人)
今季成績 67試合出場、打率.242、18本塁打、48打点
通算成績 649試合出場、打率.272、153本塁打、458打点

 2020、21年と2年連続本塁打、打点の2冠に輝いた岡本は打球を遠くへ飛ばす技術は球界トップクラスだ。5月29日の日本ハム戦(札幌ドーム)で通算150本塁打をマーク。634試合出場での達成は巨人の日本人選手で1986年原辰徳(現監督)の645試合を抜いて最速記録だ。今季は王貞治氏(元巨人)、野村克也氏(元南海ほか)に次ぐ、史上3人目の3年連続2冠王の可能性も十分にある。

 三冠王を獲るために、ネックになるのが打率だ。18年に自己最高の打率.309をマークした実績があり、確実性を欠いているわけではない。野球評論家の伊原春樹氏は週刊ベースボールのコラムで、「四番として勝負強さは発揮しているが、もっと研鑽を積んでアレックス・ラミレスのような主砲になってほしいと思う。2007年から10年まで、私は巨人ヘッドコーチを務めたが08年にヤクルトからラミレスが移籍してきた。ラミレスは四番としてチームを牽引したが、本当に真面目なプレーヤーだった。ともに同じユニフォームを着た3年間の成績は以下だ。08年は打率.319、45本塁打、125打点、09年は打率.322、31本塁打、103打点、10年は打率.304、49本塁打、129打点。09年は首位打者、10年は本塁打王、08、10年は打点王を獲得している。08、09年の優勝に貢献してくれ、09年には7年ぶりの日本一にも押し上げてくれた」と綴った。

 その上で、「本当に素晴らしい四番だったラミレス。このまま成長曲線を描けば岡本も成績的に、存在的にラミレスを追い抜く日がやってくるだろうが、その日を楽しみに待ちたい」と期待を込めている。

 巨人の歴史に名を刻む四番打者へ。逆転優勝に導くためにも岡本の打棒爆発は不可欠だ。

写真=BBM
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