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吉川尚輝、長岡秀樹、島田海吏…セ・リーグ6球団 今季最も「覚醒」した選手は?

 

ペナントレース開幕から約3カ月――。これまでなかなか一軍で結果を出せなかったが、ようやく台頭してきた選手がいる。殻を打ち破り、鮮烈な輝きを見せる男たち。セ・リーグ6球団で今季最も「覚醒」した選手をピックアップする。
※成績は6月20日現在

読売ジャイアンツ



 ようやくポテンシャルを存分に発揮していると言っていいだろう。毎年のようにケガに泣かされてきた吉川尚輝が躍動している。開幕から不動の一番・二塁としてハイアベレージを残し、打線の火付け役として開幕ダッシュに貢献。死球による左肩甲骨付近の骨挫傷で離脱したときは「またか」と思われたが、約2週間で復帰し、以降は三番に座って時に仕上げ役、時に四番・岡本和真につなぐチャンスメークを担っている。一時は.350を大きく超えていた打率はじわじわと落ちてきたが、それでもリーグ3位の3割を維持。盗塁数もチームトップの10を数える。もちろん二塁守備は健在で、広大なカバー範囲に加えて安定感が備わってきた。このまま1年間完走することは、チームの再浮上にとっても不可欠だ。

東京ヤクルトスワローズ



 昨季日本一の立役者がスタメンに名を連ねる中で、ショートで全試合先発出場を果たしているのが高卒3年目の長岡秀樹だ。過去2年は一軍出場がわずか11試合だったが、今季は初の開幕一軍、そして開幕スタメンにも抜てきされた。開幕当初は記録に残らないミスも多く、守備面の課題が多かったが、徐々に安定。それが打撃の復調にもつながった。広角に打ち分ける打撃センスに加え、思い切りの良さが魅力の打撃は試合を重ねるごとに成長。交流戦では10打点と勝負強さも光った。交流戦明けの広島3連戦(神宮)では計7安打と固め打ちを披露し、成長はとどまることを知らず。今では攻守で躍動する不動のショートストップになっている。

阪神タイガース



 ここ2試合はヒットが出ていないが、6月1日の西武戦(甲子園)から一番に座っているのが島田海吏だ。今季入団5年目の外野手。打席から力強い打球が放てるようになってきた。もともと強肩で外野守備は安定しており、走力も塁間が3秒78という記録もあるなど俊足を誇る。そこに打力が加わり、レギュラーをつかめる位置まで来た。チームも6月に入ってから11勝3敗と好調だが、島田が果たしている役割は大きい。今後、ジェフリー・マルテの復帰や新外国人のアデルリン・ロドリゲスの加入などもあり、立場がどう変化していくか分からないが、まずは一番として出塁率を上げ、確固たる地位を築きたいところだ。

広島東洋カープ


広島・上本崇司


 先発ローテーションで回る遠藤淳志の活躍も光るが、これまでのキャリアに対しての今季という意味では上本崇司の“覚醒”が止まらない。プロ10年目にして初の開幕スタメン(八番・中堅)をつかむと序盤戦、打率は3割、出塁率は4割を超え、「恐怖の八番打者」として攻撃をけん引。開幕ダッシュの立役者の1人となった。5月はスタメンを外れ、これまでのように守備固めでの起用が多くなったが、6月に入り再びスタメンに。開幕当初と変わらない粘りの打撃で、打率は20日現在、.301をマークしている。打席はこれまでキャリアハイだった昨季の68を優に超える162打席だ。「やっぱり『打たないと試合に出られない』と思って」と、打撃を意識し始めてから3年ほどが経過。努力がようやく形になった。「守備と走塁だけじゃ面白くない」と語る上本。10年目の今季は、これからも攻守走すべてで魅せていく。

中日ドラゴンズ



 満員となったバンテリンドーム。6月4日のソフトバンク戦は1対2と1点を追い掛ける展開で7回裏を迎えた。二死一、二塁のチャンスから、三ツ俣大樹の代打に告げられたのは溝脇隼人。二番手・津森宥紀から右翼線を破る2点適時三塁打を放ち、チームを逆転勝利へと導いた。思えば立浪和義監督に初勝利をもたらしたのも、この男の一打だった。2連敗で迎えた開幕3戦目の巨人戦(東京ドーム)の延長10回表、二死満塁からレフト前に執念の勝ち越し打。2013年に九州学院高からドラフト5位で入団。一軍では特に目立った活躍はないユーテリティープレーヤーの存在だったが、プロ10年目の今季は開幕一軍切符を勝ち取り、例年にない活躍を見せている。「これからも自分の仕事をしていくだけです」と溝脇。10年目の覚醒と言っていいだろう。

横浜DeNAベイスターズ


横浜・蝦名達夫


 昨季ファームでは打率3割超え、9本塁打と成績を残しながら、一軍の舞台では結果が残せなかった。一打サヨナラの場面で代打起用され、見逃し三振に終わるなど殻を破れずにいた蝦名達夫だが、今季は成長を遂げている。ここまで一軍で28試合に出場し、打率.297、2本塁打と躍進。交流戦終盤からは三番でスタメンを任される試合も増えた。長打力もさることながら、状況に応じて逆方向にも強い当たりを飛ばし、2ストライクからでも粘りが出るように。ベイスターズが“日曜の呪い”を打ち砕いた6月19日の阪神戦(甲子園)ではタイムリー二塁打を放つと、送球間に三塁を陥れるなど走力も魅力だ。24歳の新鋭外野手がチームに新風を吹き込んでいる。

写真=BBM
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