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柳町達、松本剛、本田仁海、與座海人…パ・リーグ6球団 今季最も「覚醒」した選手は?

 

ペナントレース開幕から約3カ月――。これまでなかなか一軍で結果を出せなかったが、ようやく台頭してきた選手がいる。殻を打ち破り、鮮烈な輝きを見せる男たち。パ・リーグ6球団で今季最も「覚醒」した選手をピックアップする。
※成績は6月20日現在

福岡ソフトバンクホークス



 打って、投げて。プロ入り3年目を迎えたコンビが躍動している。柳町達は巡ってきたチャンスをものにして外野のレギュラーをつかもうとしている。開幕は二軍で迎えたものの、二軍戦7試合で22打席11安打と打ちまくり、故障離脱した栗原陵矢に代わって一軍昇格。12試合連続安打で新たなヒットマンに名乗りを上げると、試合を重ねる中で課題に対しても修正力を見せる。交流戦終盤、下半身のコンディション不良で出場選手登録を抹消されるも、周囲の心配をよそに最短で復帰。復帰戦となった6月17日の楽天戦(PayPayドーム)で2安打1打点と勝負強さは健在だ。投手では、開幕先発ローテ入りを果たした大関友久が存在感を発揮。一時中継ぎに回るもその経験を糧としてパワーアップして戻ってくると、5月7日のロッテ戦(ZOZOマリン)ではプロ初完封。6月18日の楽天戦(PayPayドーム)でも8回を1安打7奪三振、無失点の好投を見せた。いろいろと試行錯誤して登板ごとに進化した姿を見せる左腕。今後も楽しみだ。

北海道日本ハムファイターズ



 育成を重視するBIGBOSSの起用で、今季覚醒した若手選手は数多くいる。四番に定着して打率3割超えの野村佑希、チーム2位の交流戦打率の清宮幸太郎、自己最多の10本塁打を放つ万波中正、フルスイングで勝負強さを見せる今川優馬らが、一軍戦力として台頭した。勢いのある若手がひしめく中、最大の覚醒選手は11年目の松本剛だ。昨季までの10年間で規定打席到達は2017年のみ。レギュラーをつかめずに中堅選手となった松本が、開幕から首位打者を走り続け、得点圏打率も断トツのトップ、16盗塁もリーグ2位と、リーグを代表する打者へ大ブレークを果たした。適材適所に自分を生かせる柔軟な対応力で、BIGBOSS野球に欠かせぬ大黒柱としてチームをけん引している。

オリックス・バファローズ



 働き場を自らの力でつかんでみせた。2017年秋のドラフトで4位指名され、星槎国際湘南高から入団した本田仁海だ。プロ1年目の18年9月にトミー・ジョン手術を受け、一時は育成選手契約に。それでも懸命にリハビリに励んで19年途中に支配下へ復帰して20年にプロ初登板初先発も経験。今季は開幕一軍を勝ち取り、自己最速タイの158キロをマークするなど、待ち前の球威を生かして中継ぎとして腕を振ると、プロ初ホールド、初セーブ、さらに初勝利と、僅差の展開で奮闘して“3つの初”を手にした。高卒5年目の22歳が黒木優太近藤大亮平野佳寿らとともにブルペンを支える右腕となっている。

埼玉西武ライオンズ



 先発として堂々たるピッチングを見せている。球界でも希少なサブマリンである與座海人。2018年、岐阜経大からドラフト5位で入団したが右ヒジのケガを抱えており、1年目にトミー・ジョン手術を受けてオフに育成選手に。2年目のオフに支配下復帰を果たすと、3年目にプロ初勝利。4年目の昨季は15試合登板を果たしていたが一軍に定着はできず。しかし、今季は開幕からほぼ一軍で奮闘している。6月8日の巨人戦(ベルーナ)で6回まで完全投球を見せるなど、すでに自己最多の4勝をマーク。ボールに力強さが増し、制球力にも磨きがかかっている。狙うは2ケタ勝利だ。

千葉ロッテマリーンズ


ロッテ・高部瑛斗


 俊足巧打、さらに試合展開や相手守備陣形を見て、時にセーフティーバントを試みる優れた感性で存在感を示してるのが高部瑛斗だ。昨季までファームでは安打と盗塁を量産。ポテンシャルの高さを見せていたが、一軍では結果を残せず。昨秋の練習からタイミングの取り方を見直し、打撃フォームを改良すると、今春のオープン戦で12球団トップの打率を残してアピールに成功した。開幕で一番スタメンを手にして、ここまで全試合出場。72安打に加え、リーグトップを快走する22盗塁と、攻撃に欠かせぬ存在に。新・幕張のスピードスターに躍り出た。

東北楽天ゴールデンイーグルス


楽天・辰己涼介


 4月終了時点で打率.203と低迷していた辰己涼介が、5月に入り急激に調子を上げてきた。同月の打率は.341。出塁が増えると俊足も生かせるようになり、月間5盗塁をマークした。そして圧巻の打撃を見せたのは6月12日の巨人戦(楽天生命パーク)だ。2回一死走者なしの場面で、右翼席中段へ4号ソロ。これで打線に火がつくと、この回2度目の打席では右中間席へ5号3ランをたたき込んだ。1イニング2本塁打は球団初、交流戦史上2人目の快挙となった。昨季にゴールデン・グラブ賞を受賞するなど、守備力は一級品の評価。ここに打と走が加われば、いよいよスキのない選手となるはずだ。

写真=BBM
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