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プロ野球記録ノート

2リーグ制以降で最多の年4度“ノーノー”。最も達成しやすいのは東京ドーム!?【プロ野球記録ノート】

 

今シーズンは突然変異!?


6月18日の西武戦でノーヒットノーランを達成した山本


 6月18日、オリックス山本由伸が西武戦でノーヒットノーランを達成した。今季はノーヒットノーランの当たり年だ(記録は6月20日現在)。

 4月10日 佐々木朗希(ロッテ) オリックス戦☆完全試合
 5月11日 東浜巨(ソフトバンク)西武戦
 6月7日  今永昇太(DeNA) 日本ハム戦※交流戦
 6月18日 山本由伸(オリックス)西武戦

 とすでに4回も達成された。

 これは1940年の5回に次ぎ1943年の4回と並ぶ記録だが、この時代(1リーグ)はボールが粗悪で飛ばない時代だった。2リーグ制になってからは3回が最高で1952、1955、1966、1968、1970、1971、1973、1995年、2012年の9度あった。2リーグ制以降、年代別の回数を見ると(カッコ内は完全試合)、

 1950年代 14回(5)
 1960年代 15回(5)
 1970年代 14回(4)
 1980年代  3回(0)
 1990年代 11回(1)
 2000年代  6回(0)
 2010年代  8回(0)
 2020年代  5回(1)

 と古い年代のほうが多いが、今年は「突然変異」と思えるぐらい、ノーヒットノーランが達成されている。

 パ・リーグの投手が3人、セ・リーグは1人だが、食らったのはいずれもパ・リーグのチーム。特に西武はソフトバンクの東浜巨とオリックスの山本由伸と2カ月連続でノーヒットノーランを食らった。これは1940年のライオン、1941年の名古屋、1943年の大和、1968年の大洋、1971年の西鉄に次いで1シーズン2回のノーヒットノーランを食らうという不名誉な記録を作ってしまった。

ドーム球場の出現率は屋外球場の倍


 また今年の4回の球場はZOZOマリン、PayPayドーム、札幌ドーム、ベルーナドームとなる。

 東京ドームが開場された1988年からノーヒットノーランは30回あるのだが、そのうち気温や風にあまり左右されないドーム球場(気温や風に影響があるベルーナドームは含まない)での達成はちょうど半分の15回。その間のドーム球場での試合数は9834で屋外球場は18643試合とドーム球場での試合は約半分。気温や風が安定しているドーム球場のノーヒットノーランの出現率は屋外球場の倍ということになる。

 現フランチャイズ球場のノーヒットノーランの回数は次のとおり(出現率は1回に対する試合数)。

 甲子園   10回 出現率 542試合
 東京ドーム 7回 出現率 464試合
 横浜    5回 出現率 544試合
 福岡ペイ  4回 出現率 479試合
 神宮    2回 出現率 1873試合
 ベルーナ  2回 出現率 1409試合
 ZOZO    2回 出現率 1029試合
 バンテリン 2回 出現率 873試合
 楽天生命パ 2回 出現率 785試合
 京セラ   1回 出現率 1710試合
 札幌ドーム 1回 出現率 1145試合
 マツダ広島 0回 出現率 ――

東京ドームで初めてノーヒットノーランを達成したのは日本ハムの柴田だった


 本塁打が出やすいと言われる東京ドームが7回で出現率も464試合に1度の割合と多い。東京ドームでの達成者は次のとおり。

 1990年4月25日 柴田保光(日) 対近鉄
 1995年7月 5日 西崎幸広(日) 対西武
 1995年9月 9日 テリー・ブロス (ヤ) 対巨人
 1996年8月11日 野口茂樹(中) 対巨人
 2002年8月 1日 川上憲伸(中) 対巨人
 2012年5月30日 杉内俊哉(巨) 対楽天
 2018年7月27日 山口俊(巨)  対中日

 かつては日本ハムも本拠地(1988〜2003年)にしていたが、初の達成者は日本ハムの柴田保光だった。フランチャイズの巨人は2012年に杉内俊哉が初めて、2018年には山口俊も達成したが、ともにFAで移籍してきた選手。生え抜きの投手のノーヒットノーランは未だにいない。

 また楽天生命パークは2回達成者がいるが、これはいずれも楽天がフランチャイズになる以前のもの(県営宮城)で、このいずれもが完全試合(1973年のロッテ・八木沢荘六、1978年の阪急・今井雄太郎)だった。

文=永山智浩 写真=BBM
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