週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

井納翔一、福田秀平、大野奨太…正念場を迎えた「FA移籍選手」たち

 

 FAで移籍した選手はチームの即戦力として大きな期待がかけられる。ただ、新天地で活躍できるとは限らない。井納翔一福田秀平大野奨太……若手が台頭してきているが、まだまだ老け込む年ではない。ファームで汗を流しているが、もう一花咲かせてほしい。
※成績は6月25日現在

リリーフでも結果を残せず


移籍2年目の今季、リリーフでも本来の投球ができない井納


・井納翔一(巨人)
今季成績 4試合登板、0勝0敗、防御率4.50
通算成績 177試合登板、50勝61敗1S10H、防御率4.00

 救援で復活を目指したが、その道は険しい。2年契約最終年の今季は開幕をファームで迎え、5月31日に一軍昇格。ロングリリーフもできる右腕は好投で存在をアピールしたかったが、6月11日の楽天戦(楽天生命パーク)で打者5人に3安打1四球と一死しか奪えず、浅村栄斗の痛烈なライナーが右すねの外側を直撃して負傷交代。同月22日の古巣・DeNA戦(東京ドーム)では1点リードの5回に2番手で救援登板したが、蝦名達夫に4球連続ボール球で四球を与えて降板。翌23日にファーム降格が決まった。

 188センチの長身から球威十分の直球、スプリット、スライダーを織り交ぜる本格派右腕で、DeNA在籍時はプロ2年目の2014年に11勝をマーク。スタミナも十分で14、16、17年に150イニング以上投げている。20年オフにFA宣言すると、ヤクルト、巨人が獲得に名乗りを挙げた。当時の巨人はエース・菅野智之がポスティングシステムでメジャー移籍を目論んでいたため、井納は大黒柱をカバーする先発要員として期待された。菅野は残留したが、井納に掛かる期待は大きかった。

 だが、開幕2カード目の移籍後初登板となった3月31日の中日戦(バンテリン)で2回途中4失点KO。その後に救援に配置転換されたが、5試合登板で0勝1敗、防御率14.40と自己ワーストの成績に終わった。2年目の今季もチャンスを生かしきれず、ファームに逆戻り。36歳右腕は復活できるか。

FA宣言時には争奪戦に


「エースキラー」と呼ばれた勝負強い打撃を取り戻したい福田


・福田秀平(ロッテ)
今季成績 15試合出場、打率.179、0本塁打、4打点、0盗塁
通算成績 777試合出場、打率.229、29本塁打、145打点、83盗塁

 今季のスタメン出場は4試合のみ。外野陣は荻野貴司レオネス・マーティンに加えて、リードオフマンとして頭角を現した高部瑛斗岡大海藤原恭大も控えており、福田の存在感が薄くなってしまっている。

 ソフトバンクに在籍した13年間で規定打席に到達したシーズンは一度もなかったが、貴重なバイプレーヤーとして黄金時代を支えた。攻守走3拍子そろった外野手で、直球に強い打撃が魅力だった。各球団のエース投手たちとの相性が良いことから、「エースキラー」の異名も。常時出場していないにもかかわらず、17、18年と大谷翔平(当時日本ハム。現エンゼルス)からアーチを放っている。「ソフトバンク以外なら間違いなく外野のレギュラー」とその実力は高く評価された。19年オフにFA権を行使した際、西武、中日、ヤクルト、ロッテ、楽天が獲得に乗り出して争奪戦になったことが、評価の高さを示している。

 移籍1年目の20年は6月の練習試合で打率.364をマークして順調な仕上がりぶりだったが、開幕直前の死球で右肩甲骨を骨折して長期離脱。復帰後も好調な時期が続かず、62試合出場で打率.216、5本塁打、19打点と不本意な成績に。昨季も骨折した患部の状態が思わしくなく、4試合出場で1安打のみだった。ソフトバンク時代からたび重なる故障がレギュラー獲りのネックになっていた。この試練を乗り越えたい。

ナインから慕われるベテラン捕手


今季も1試合のみの出場に追わているが、くさることはない大野


・大野奨太
今季成績 1試合出場、打率.333、0本塁打、0打点、0盗塁
通算成績 900試合出場、打率.213、31本塁打、168打点、3盗塁

 今季の出場は「八番・捕手」でスタメン出場した5月12日のヤクルト戦(神宮)のみ。正捕手の木下拓哉が新型コロナウイルスの陽性判定を受けて一軍に昇格したが、同月19日に抹消された。

 ドラフト1位で入団した日本ハムでは鶴岡慎也とハイレベルな定位置争いを繰り広げた。規定打席に到達したシーズンはないが、2011、13年にリーグトップの盗塁阻止率を記録。15年に大谷翔平と共に最優秀バッテリー賞、16年にゴールデン・グラブ賞を受賞している。捕ってから投げるまでの速さ、正確なスローイング、インサイドワーク、フレーミング技術に秀でた「玄人好みの捕手」で評価を高めた。

 岐阜県大垣市出身で、17年オフに故郷に近い中日へFA移籍。4年契約を結び、正捕手として期待されたが、手術した右ヒジの状態が思わしくなく18年は63試合出場、19年も自己最少の34試合の出場に終わる。20年は一軍出場なしに。昨年も8試合出場のみとファーム暮らしが長くなった。4年契約が切れた昨オフは減額制限を超える大幅ダウンとなり、推定2800万円でサイン。苦しい時間のほうが長いかもしれないが、ファームでは若手に助言を送るなど、模範的な練習態度でナインから慕われている。チームが下位に低迷して厳しい戦いが続いているだけに、もう一度はい上がって貢献したい。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング