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大勢、長岡秀樹、湯浅京己…各球団で前半戦「期待以上の活躍を見せた選手」は【セ・リーグ編】

 

 ペナントレースは各球団が折り返しを迎えようとしている。故障者や主力選手の不振など各球団で誤算も生じた中、期待以上の活躍を見せた選手たちが各球団で大きなプラスアルファになった。新人王争いにも大きく影響するだけに、後半戦も彼らの活躍から目が離せない。
※成績は6月26日現在

読売ジャイアンツ



・大勢(巨人)
今季成績 27試合登板、1勝1敗22S、防御率2.70

 守護神に抜擢された大勢の活躍がなかったら……と思うと巨人ファンはゾッとするだろう。3月25日の開幕戦・中日戦(東京ドーム)で40年ぶりとなる新人開幕戦セーブを挙げると、プロ初登板から7試合連続セーブと史上初の快挙を達成。その後もセーブを積み重ねて球威は衰え知らず。変則サイドから繰り出される150キロ台後半の直球とフォーク、スライダーのコンビネーションでテンポよく投げ込む。得点圏に走者を背負っても、内角も臆せずに突ける精神的な強さも大きな魅力だ。ドラフト1位で指名された際は、関西国際大でリーグ通算4勝3敗と際立った成績を残しているわけではないため驚きの声が上がったが、スカウトの評価が間違いでなかったことを証明している。新人王の最有力候補だ。

東京ヤクルトスワローズ



・長岡秀樹(ヤクルト)
今季成績 71試合出場、打率.253、4本塁打、32打点、2盗塁

 日本一に輝いた昨年は西浦直亨元山飛優が守った遊撃だが、今季は高卒3年目の長岡が開幕から全試合スタメンで出場している。広角に打ち分ける打撃センスで勝負強さも兼ね備えている。交流戦では村上宗隆塩見泰隆に次ぐ10打点をマーク。打席でも粘り強さが出てきた。リーグ戦再開後も6月17日からの広島3連戦(神宮)で13打数7安打の固め打ち。下位を打つことが多いが、上位につなぐチャンスメークの役割を果たしている。遊撃の守備でも飛び抜けて身体能力が高いわけではないが、球際の強さが目立ち試合を重ねることでプレーの精度が上がっている。二塁・山田哲人、三塁・村上と球界を代表する先輩と共にプレーすることで得るものも多いだろう。

阪神タイガース



・湯浅京己(阪神)
今季成績 29試合登板、1勝2敗20H、防御率1.67

「勝利の方程式」に不可欠なセットアッパーとしてブレークしたのが湯浅だ。身長183センチの長身から投げ下ろす最速154キロの直球と落差の大きいフォークで三振の山を築く。4月13日の中日戦(バンテリン)から17試合連続無失点と抜群の安定感で「8回の男」に定着した。独立リーグ・富山から2019年ドラフト6位で入団したが、入団1年目の6月に腰の疲労骨折が判明。実戦復帰を控えていた秋口にも腰椎を骨折するなど大きなケガが相次ぎ、20年は一、二軍通じて登板なしに終わった。昨年も2月の春季キャンプで右足の肉離れを発症した影響で出遅れ、一軍登板は3試合のみ。身体能力の高さを生かし切れなかったが、苦難を乗り越えてステップアップした。近未来に守護神を担う可能性も十分にあり得る。

中日ドラゴンズ


中日・清水達也


・清水達也(中日)
今季成績 28試合登板、3勝2敗15H、防御率2.81

 真上から角度をつけて投げる独特のフォームで最速151キロの直球、カーブ、スプリットを駆使する。花咲徳栄高では3年夏の甲子園で全6試合に救援登板し、埼玉県勢初となる夏の全国制覇に大きく貢献した。中日入団後は先発として期待されたが、伸び悩んで一軍定着できず。大きな転機は今年2月の春季キャンプだった。落合英二ヘッド兼投手コーチに中継ぎへの配置転換を告げられた。3月27日の開幕3戦目・巨人戦(東京ドーム)で同点の9回一死一塁で登板して無失点に抑え、今季初白星をマーク。その後もセットアッパーで好投を続けてホールドを積み重ねている。疲労がたまり夏場から真価が問われるが、投げられる喜びを胸に秘めて右腕を振り続ける。

広島東洋カープ


広島・中村健人


・中村健人(広島)
今季成績 34試合出場、打率.256、2本塁打、8打点、0盗塁

 攻守走3拍子そろった大型外野手。社会人・トヨタ自動車で四番を務め、鈴木誠也の抜けた右翼の定位置を狙う。直球への対応力を含めてミート能力を磨く必要はあるが、外野の守備では再三の好守でチームを救っている。6月23日の阪神戦(マツダ広島)では同点に追いつかれた9回二死一、二塁のピンチで大山悠輔の大飛球に前進守備を敷いていた中村が懸命に背走して後ろ向きで倒れ込みながらスーパーキャッチ。勝ち越しを許さず引き分けに持ち込んだ。打撃でも6月25日のDeNA戦(横浜)で同点に追いついた3回二死満塁から決勝の2点適時打。8球粘った末に内角低めの直球を右前に運んだ。泥臭いプレースタイルは広島に合っている。将来の中心選手として期待値は高い。

横浜DeNAベイスターズ



・蝦名達夫(DeNA)
今季成績 34試合出場、打率.314、2本塁打、7打点、4盗塁

 貴重な右の長距離砲として頭角を現している。春先は代打、代走など途中出場が多かったが、交流戦で打率.326、2本塁打、3打点と結果を残してスタメンに定着。リーグ戦再開後も上位を託されてコンスタントに安打を打ち続けている。青森出身の若手成長株は「郷土愛」が強い。青森商高で高校通算31本塁打をマークし、県外の強豪大や社会人チームから声がかかったが、「地元の青森からプロ野球選手になる」と青森大に進学。1年秋に最多打点、4年春に最多本塁打、秋には首位打者を獲得し、2020年ドラフト6位でDeNAに入団した。たび重なる故障で一軍に定着できなかったが、打撃でしぶとさが増し、相手バッテリーに嫌がられる選手に。さらなる活躍で、「青森を代表するプロ野球選手」として名を刻みたい。

写真=BBM
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