人気回復の切り札？

　すでに星野仙一さんを抜いて歴代10位の監督勝利数になり、伝説の名将の域に入っているのが、巨人・原辰徳監督だ。1位の鶴岡一人さん(南海)の1773勝はまだまだ遠いが、すでに長嶋茂雄さん、川上哲治さんも抜き、巨人監督としての勝利数は1位となっている。

　俺もコーチとして仕えた時期があるが、勝つための戦略を明確に持っている指揮官だ。いつも先の先を見ながら、適材適所で全員を使いながら勝つ野球を徹底している。

　ただ、いくら若大将と言っても、もう63歳だ。後継者をどうするのかは巨人にも原監督の中にもあるだろう。

　これまで阿部慎之助、元木大介あたりの名前がウワサでは挙がった。俺は、いずれは阿部でいいと思うが、2年後とか言われると、ちょっと早いかなという気もする。

　さらに言えば、原監督にとって、もう1つの課題は人気面じゃないかな。巨人は2年連続V逸(まだ決まったわけじゃないけど)で、お客さんも昔に比べたら寂しい。本当は大谷翔平とか佐々木朗希みたいな華のある選手の登場で人気回復となってほしいが、それは簡単じゃない。

　巨人人気だけじゃない。ユニフォームを脱いでからなおさら感じるが、子どもたちの野球離れは野球教室をやっていても、ひしひしと感じる。

　各球団、ファンサービスを俺たちの時代からは比べ物にならないくらい頑張ってはいるが、こうなると、やはり巨人に、底上げというか、引っ張っていってほしいなと思う。

　特効薬かどうかは分からないが、俺は松井秀喜の現場復帰に期待している。来年から原監督の下で勉強し、監督になったら高橋由伸助監督、阿部ヘッドコーチはどうだろう。

　いまこそ長嶋茂雄さんの愛弟子である松井の出番じゃないかな。

　実際、俺も実感しているけど、世間が忘れていくのは早い。松井って誰？　ってみんなが言い出さないうちにアクションを期待します。

写真＝BBM