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秋山翔吾がカープの歴史を変える?/川口和久WEBコラム

 

松田オーナーの勇気ある決断


秋山の広島入団会見


 以前、このコラムでDeNAはどうか? と書いた秋山翔吾の決断は驚きのカープだった。

 カープが他球団と高年俸選手の争奪戦をしたのは、初めてじゃないだろうか。ヤンキースからの黒田博樹の復帰はまったく別の状況だったし、FA宣言したら慰留はしないと断言していたチームだからね。いわばカープの掟を破ってまで獲った男だ。

 3年総額5億円とも言われるが、金銭条件ならソフトバンクが上だったらしい。それでもカープを選んだのは、松田元オーナーからの「ボロボロになっても2000安打を打ってくれ」という言葉が大きかったという。

 あと、河田雄祐コーチの存在もあったと思う。秋山は西武時代、コーチだった河田に守備、走塁の指導を受けていた。当時からの絆が、秋山の決断を後押ししたことは間違いないだろう。

 過去、カープが大型補強に参戦しなかったのは独立採算制の市民球団だからでもある。今回の補強の背景には、鈴木誠也がポスティングをし、カブスから17億円が入ってきたこともあったと思うが、一方でコロナによる観客動員の減少で大きな赤字も出ていると聞く。

 松田オーナーの勇気ある決断だと思った。

 要はポスティングで入ったカネで守りに入るより、補強に使い、より魅力あるチームにすることでファンの信頼を得て、結果的に入ってくるおカネも増えるはず、という決断じゃないかな。

攻守のレベルアップは間違いない


 さらに言えば、この補強が大成功となれば、今後、広島が補強により積極的になる可能性もある。カープの歴史の大きな分岐点になるかもしれないね。

 もちろん、野球はやってみなきゃ分からない。秋山が入ったからと言って、すぐカープが強くなるわけではないだろう。

 ただ、彼が西武時代のようなパフォーマンスをしてくれるなら打線では三番固定だろうから、四番・マクブルーム、五番・坂倉将吾でクリーンアップが固まる。守備もセンターの固定で外野守備が鉄壁となり、チームが攻守でレベルアップすることは間違いない。

 仮に年齢でパフォーマンスに衰えがあったとしても、メンタル面での貢献への期待がある。誰に聞いても秋山の悪口は聞かない。人柄がよく、野球への情熱があり、後輩に惜しみなく自身の技術、経験を伝えている。

 近年のカープの大きな問題の1つに中堅クラスまでは行けるが、そこから上、絶対的なレギュラーをなかなかつかめないという、いわばトップの壁がある。それを超えるための生きたアドバイスの言葉が、成功もそして失敗も経験した秋山にはあると思う。

 いろいろな意味で、秋山にはカープの野球を変える男になる可能性がある。

 俺がいま秋山のカープ入団にウキウキしているのは、秋山の一軍デビューの可能性が7月8日と聞いたこともある。何の日か分かる?  実は俺の誕生日なんだ。秋山、華々しいパフォーマンスを期待してるよ!

写真=BBM
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