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大勢、平内龍太、鍬原拓也…巨人救援陣のカギ握る「ドラ1右腕トリオ」

 

 首位・ヤクルトに12.5ゲーム差をつけられている2位・巨人。シーズンは60試合以上残っており、逆転優勝に向けて勝ち続けるしかない。その中でカギを握るのが投手陣だ。今季は強力救援陣がヤクルト首位快走の原動力になっているのに対し、巨人は試合終盤で相手打線を抑え切れないケースが目立つ。守護神・大勢、セットアッパーの平内龍太鍬原拓也……勝利の方程式を形成する「ドラ1右腕トリオ」の働きがチームの命運を握っている。
※成績は7月5日現在

絶対的新人クローザー


失敗を引きずらない気持ちの強さも大勢の大きな武器だ


・大勢(巨人)
今季成績 31試合登板、1勝1敗24S1H、防御率2.35

 新外国人のアダム・ウォーカーと共にチーム内のMVP級の活躍を見せているのが大勢だ。3月25日の開幕戦・阪神戦(東京ドーム)で40年ぶりとなる新人開幕戦セーブを挙げると、プロ初登板から7試合連続セーブと史上初の快挙を達成。150キロ以上の直球とフォーク、スライダーで打者をねじ伏せる。失敗を引きずらないのも強みだ。5月8日のヤクルト戦(東京ドーム)で2失点と初の救援失敗で逆転負けを喫したが、次回登板から9試合連続無失点ときっちり立て直した。守護神の経験があるルビー・デラロサチアゴ・ビエイラの両外国人が不調でファーム調整中のため、その存在感が一層際立つ。

 岡田彰布氏は週刊ベースボールのコラムで、大勢の働きぶりを絶賛している。

「まあクローザーはホンマにしんどいと思うよね。抑えて当たり前、やられたらチームの勝ちを失うことになるんやから、毎日が勝負よ。相当な心の疲労があると想像できるけど、それをルーキーがこなしているのだから、これも立派のひと言やね。巨人の新人・大勢のことやけど、すでに彼のセーブ数は20を超えた。ここまでチームの勝ちにかかわっているのがルーキーで、それもあまり知られていない大学出身。外れ1位やったけど、彼を推したスカウトの眼力も素晴らしい。チーム事情もからみ、大勢をいきなりクローザーに据えた原(原辰徳)監督の判断も見事やな」

「独特のフォームからスピードのあるストレートで押す姿は、勢いにあふれているし、その半面、冷静なところも示している。これから先、抑えとして山あり谷ありだろうけど、体も強そうだし、馬力があるから、乗り切れるだろう。新人王の最右翼だし、後半戦の巨人反撃のキーになる存在。大勢がどこまでセーブを増やしていくか。これも楽しみである」

 30セーブは通過点。新人最多セーブ記録の37を塗り替える可能性も十分にある。

「8回の男」定着への期待


守護神の大勢につなぐセットアッパーになれるか


・平内龍太
今季成績 31試合登板、3勝3敗6H、防御率3.68

 150キロ以上を計測する直球は魅力十分。原監督の期待も高い右腕は日々の登板が成長の糧になっている。今月2日の広島戦(マツダ広島)で0対0の9回に登板したが、ライアン・マクブルームにサヨナラ2ランを被弾。だが、リベンジの機会はすぐに巡ってきた。翌3日の同戦で1点リードの8回に登板し、10球中9球が直球と力でねじ伏せて三者凡退で無失点。負ければ借金生活の危機で勝利に貢献した。

 ドラ1右腕は1年目の昨年に大きな挫折を味わった。巨人OBで野球評論家の川口和久氏は週刊ベースボールのコラムで、「彼のフォームでいいなと思ったのは、肩の可動域が広く、柔らかい使い方をしていること。テークバックのヒジの位置が低く、球持ちがいいので打者はタイミングを取りづらいはずだ。逆に欠点と思ったのは、ヒジが低い分、負担が大きいフォームであることと、ボールに角度がないことかな。左打者に対し、ふところに突き刺さっていくようなインコースの角度がつきにくい。打者が逆方向に打ち崩すイメージを持ったときの課題はありそうだ」と分析していた。

 即戦力として期待されたが変化球の精度に課題があり、カウントを苦しくして痛打を浴びる。3試合登板で0勝1敗、防御率14.40とプロの高い壁に阻まれた。オフのトレーニングで体重が100キロ超えと肉体改造して臨んだ今季は4月3日に一軍昇格すると、5月に8試合連続無失点を記録するなど成長の跡を見せている。磨かなければいけない点は多いが、潜在能力は高い。大勢につなぐ「8回の男」として信頼をつかめるか。

チームトップの登板数を誇る右腕


力強いストレートを軸に夏場も中継ぎ陣を支える


・鍬原拓也
今季成績 34試合登板、1勝1敗13H、防御率4.70

 春先の首位快走の原動力になったのが鍬原だった。2018年にドラフト1位で入団したが投球フォームの改造、2度の育成枠と幾度も試練を味わってはい上がる。2月の春季キャンプから実戦で結果を残し続け、3月11日に支配下へ再昇格。プロ5年目で初の開幕一軍メンバーに入ると、3、4月は12試合登板で7ホールド、防御率1.64と抜群の安定感を誇った。

 5月以降は痛打される場面が目立ったが、ファームに降格しなかったのは原監督の信頼の表れだろう。「火の玉ストレート」で球界を代表するリリーバーとして活躍した元阪神・藤川球児も鍬原の潜在能力を高く評価している。5月25日のオリックス戦(東京ドーム)で1回無失点に抑え、2年ぶりの白星をマーク。チームトップの34試合に登板して右腕を振り続けている。1年間フル稼働した経験がないだけに勝負の夏場は未知の世界だが、試合の分岐点での登板が多い鍬原の投球は重要だ。打者の手元でホップするような軌道の直球に磨きをかけ、さらなる進化を目指す。

写真=BBM
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