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大山悠輔、吉田正尚、グラシアル…シーズン30本塁打未到達の「意外な選手」たち

 

 今季の本塁打王争いはセ・リーグがヤクルト村上宗隆、パ・リーグが西武山川穂高の独走状態になっている。村上は29本塁打で2位の巨人岡本和真の21本塁打に8本差、山川は25本塁打で2位の楽天浅村栄斗の13本塁打に12本差をつけている。各球団のクリーンアップは長打力を求められるが、意外なことにシーズン30本塁打を打っていない強打者たちがいる。大山悠輔吉田正尚グラシアル……今季は本塁打数をどこまで伸ばせるか。
※成績は7月6日現在

規格外の弾道のアーチ


6月から打撃が急上昇して本塁打も積み重ねた大山


※大山悠輔(阪神)
今季成績 79試合出場、打率.251、19本塁打、61打点
通算成績 659試合出場、打率.264、100本塁打、379打点

 ライナー性の打球がスタンドに突き刺さる。規格外の軌道で本塁打を打ち続けているのが大山だ。今月3日の中日戦(バンテリン)で2回無死一塁から柳裕也の143キロを振り抜き、バックスクリーン右に運ぶ先制2ラン。通算100号に到達した。通算658試合目での達成は球団の日本人で田淵幸一掛布雅之岡田彰布に続いて4番目に速い。3年連続20号に王手をかけた。

 最下位に低迷していたチームと同様に大山も5月までは調子が上がらなかったが、6月は月間打率.318、10本塁打、29打点と爆発。6月3日の日本ハム戦(甲子園)では1試合3本のアーチで6点差をひっくり返す逆転勝利の立役者に。大山が打つとチームも上昇気流に乗る。チームも6月は14勝8敗1分と大きく勝ち越した。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止により、120試合制で開催された2020年は打率.288、28本塁打、85打点をマーク。広い甲子園を本拠地にしているので30本塁打は容易な数字ではないが大山なら乗り越えられる数字だろう。今年は十分にそのチャンスがある。

アベレージヒッターとして進化


2年連続首位打者に輝いた吉田正。19年の29本塁打がシーズン最多


※吉田正尚(オリックス)
今季成績 55試合出場、打率.305、8本塁打、39打点
通算成績 698試合出場、打率.324、120本塁打、418打点

 今季は5月に新型コロナウイルスの陽性判定を受け、復帰後も左太もも裏の軽度の筋損傷で再び戦線離脱。約1カ月間実戦から遠ざかったが、天才的なバットコントロールは健在で打率3割台をキープ。このまま試合に出続ければ3年連続首位打者も十分に狙える。ただ8本塁打は少なく感じる。飛距離は球界トップクラスだけに今後の量産に期待したい。

 左の長距離砲として注目され、2018年に打率.321、26本塁打、86打点、19年は打率.322、29本塁打、85打点をマーク。シーズン30本塁打超えは時間の問題と思われたが、ここからアベレージヒッターとして進化していく。20年に打率.350、14本塁打、64打点で自身初の首位打者を獲得すると、昨季も打率.339、21本塁打、72打点で2年連続首位打者を獲得。ミート能力が非常に高く、20年は492打席で29三振、昨年も455打席で26三振のみ。難しいコースもヒットゾーンに飛ばす技術が磨かれる一方で、本塁打数が伸びないという状況になっている。今後どのような打者に進化するか、注目される。

高い打撃技術を持つ助っ人


グラシアルはケガもあり、シーズン最多は19年の28本塁打だ


※ジュリスベル・グラシアル(ソフトバンク)
今季成績 67試合出場、打率.292、5本塁打、23打点
通算成績 330試合出場、打率.299、57本塁打、171打点

 生真面目な性格で知られ、練習熱心。ナインの人望も厚いキューバ出身の優良助っ人は来日5年目を迎えた。自己最高の成績は2019年で103試合に出場し、打率.319、28本塁打、68打点。ミート能力とパンチ力を併せ持った高い打撃技術で打撃タイトル争いの常連になる存在と目されていたが、度重なる故障がネックとなり20年は69試合で打率.277、10本塁打、35打点、昨年も37試合出場で打率.304、5本塁打、15打点と不完全燃焼のシーズンが続いた。
 
 藤本博史新監督に四番に指名された今季は春先不調だったが、その後は安打を積み重ねて打率が上昇。6月17日の楽天戦(PayPayドーム)では田中将大から2打席連続で逆方向の右翼にアーチを放ち、19日の同戦でも早川隆久から右翼ポール際に5号ソロと量産体制に入るかと期待されたが、チームが新型コロナ禍に見舞われ、グラシアルも27日に抹消された。心身のコンディションを整えて早期の復帰を願うばかりだ。

写真=BBM
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