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高校野球リポート

高校野球神奈川大会は元日本高野連事務局員が東芝デザインのユニフォームで始球式

 

裏方で高校野球発展のために尽力


日本高野連の事務局を6月5日に定年退職した泉正二郎氏が7月9日、神奈川大会で始球式を務めた


 セットポジションから投じられたボールはノーバウンドで法政二高の捕手・三木翔大郎(2年)のミットに収まった。見事なストライクだった。

 第104回全国高等学校野球選手権神奈川大会が7月9日、横浜スタジアムで開幕した。同球場で開会式が行われるのは3年ぶり。横浜桜陽高と法政二高の開幕試合を前にし、泉正二郎氏(元日本高等学校野球連盟事務局、60歳)が始球式を行った。

「思ったほど、緊張せずにできました。貴重な経験をさせていただき、感謝したいです」

 泉氏は東洋大姫路高(兵庫)で2年時からマネジャーに転向して以降、東洋大、東芝を通じて同役職を担った。東芝時代は社会人日本選手権優勝1回、都市対抗優勝2回、準優勝2回と黄金期を裏方として支えている。

 2003年からは日本高野連の事務局に勤務し約20年、高校野球発展のために尽力した。今年6月5日に定年退職し、神奈川県高野連からの要請により今回、始球式が実現した。

 神奈川県高野連は泉氏の晴れ舞台のために、東芝デザインのユニフォームを手配した。

「当時は夏場でもスーツにネクタイ。帽子はかぶったことはありますが、ユニフォームを着用したのは初めて。ありがたいことです」

 横浜スタジアムで3年ぶりの開会式。泉氏にとっても、感慨深いものがあった。

「本来の形ではありませんが、開会式ができて良かったと思います(登録選手全員の入場行進はなく、各校2人が開会式に参加)。来年は、通常の形に戻ることを祈っています」

 そして、3年生の高校球児にエールを送る。

「第102回大会(20年)は中止。第103回大会(21年)は本格的ではありませんが開催でき、今年の第104回大会を迎えました。また、全国的に感染者が広がりつつありますが、8月末までは何とか、登録選手が無事に試合ができることを願っています。今年の3年生は入学時から新型コロナウイルスの影響を受け、苦労をしてきた世代。最後の夏は悔いのないよう、全力プレーしていただきたいです」

 これまでは大会を運営する側だったが、この日は来賓。まったく逆の立場であり「いつもと違うので、調子が狂いますね」と苦笑いを浮かべながらも、やはり、裏方目線のコメントに終始。泉氏には、人のために汗を流すスタンスが体に染みついている。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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