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巨人は平内龍太が「8回の男」に定着できるか… セ・リーグ6球団「セットアッパー」事情は?

 

勝ちパターンの8回を担うセットアッパー。9回のマウンドに上がる守護神へつなぐ重要な役回りを演じる。ペナントレースは折り返し地点を過ぎ、勝負の夏場に突入しているが、セ・リーグ6球団のセットアッパー事情を見ていこう。
記録は7月11日現在

読売ジャイアンツ



 チームにとって最大の悩みの種の一つだ。開幕から獅子奮迅の活躍を続け、ここまでリーグトップの24セーブを挙げている大勢という絶対的な守護神はいる。だが、リリーフ防御率3.97は12球団ワーストで「どう大勢につなぐのか」という形が決まらない。昨季までのリリーフエースである中川皓太が開幕から不在の中、ここまでは調子を見極めながら懸命の継投策でしのいできたが、やはり左の今村信貴、右の平内龍太を軸に乗り切っていくしかないだろう。特に平内は新たな「8回の男」になるべく、重要な場面での起用が続いている。大勢につなぐというゴールは明確なだけに、そこに至るまでの道筋をつけたい。

東京ヤクルトスワローズ



 勝ちパターンを日替わりで構成できるほど好調なヤクルトリリーフ陣だが、その中で主に8回を任されているのが清水昇だ。2年連続で最優秀中継ぎ賞を獲得している鉄腕は、4月中旬に打球直撃により約1カ月間、戦列を離れたが復帰後はその影響をまったく感じさせず。ここまで24試合に登板し防御率1.19、5勝10ホールドでチームトップタイの15ホールドポイントを挙げている。このまま後半戦もセットアッパーとして活躍が期待されたが、7月10日に新型コロナウイルスの陽性判定を受け登録を抹消されることになった。清水が離脱の間は、28試合を投げ防御率1.82と安定感抜群の今野龍太が8回を任されることになりそうだ。

広島東洋カープ



 今季も課題となっている勝ちパターン問題。開幕当初こそ中崎翔太に復活の気配が漂っていたが、すぐに打ち砕かれた。そこから試行錯誤を重ねる中、決して形が見えたとは言えない。ただ、抑え・栗林良吏へのつなぎ役として奮投を見せているのが、2年目の森浦大輔だ。ルーキーイヤーの昨季、チームトップの54試合に登板した左腕も、今季は不調で開幕に出遅れた。一軍から声が掛かったのは4月22日。初登板(27日のヤクルト戦=マツダ広島)での1失点が闘志に火を点け、14試合連続無失点も記録した。徐々に大事な場面を任されることも増えている一方で、森浦自身には8回への思いはない。「(役割は)監督が決めることなので、選手で決められない。与えられたところでしっかり結果を残すだけです。僕自身は、別にどこで投げても変わらないのかなとは思っています」。どこで投げようが、「点を取られたら悔しい」。ゼロを並べた先に、8回という定位置は自然とついてくる。

阪神タイガース



 シーズンを通して初めてセットアッパーを任されているのが湯浅京己だ。昨季、腰のケガを完治させ一軍で3試合に登板。今季は一軍春季キャンプに抜てきされ、オープン戦で結果を残し開幕一軍に入った。本格派右腕で伸びのある真っすぐが最大の武器。そこに落差のあるフォークなどを交え、気迫で打者を抑えていく。ここまで33試合に登板し1勝3敗23ホールド、防御率2.03。奪三振率9.87と申し分ない成績を残している。長いシーズンの中で夏場になり疲労なども蓄積していくなど、未知の部分へと向かっていく。ただ、そこは首脳陣がうまくコントロールしているだけに、まずはAクラス入りに向けて腕を振り続けるだけだ。

横浜DeNAベイスターズ


DeNA・エスコバー


 先発投手がイニングを稼ぐことができないDeNA投手陣にあって、リリーフ陣への負担が大きくなっている。タフなブルペン事情の中で、勝ちパターンの8回を担うのが伊勢大夢エドウィン・エスコバーだ。2人並んでリーグ最多40試合を投げる左右両輪が、クローザー・山崎康晃につなぐ役割を担っている。ここまで19ホールド、防御率2.13のエスコバーは6月に球団の外国人では初の300イニングを達成。同じく19ホールド、防御率1.16の伊勢は今季開幕から21試合連続無失点を記録。7月9日の巨人戦(東京ドーム)では、8回から初のイニングまたぎで9回のマウンドに上がり、プロ入り初のセーブもマークした。絶大の貢献度でチームを勝利に導いている。

中日ドラゴンズ



 ここまで主に8回を任されてきたのは、助っ人右腕のジャリエル・ロドリゲス。4勝17ホールドで低迷するチームを支えてきた。しかし右肩の不調を訴えて7月4日に登録抹消。この緊急事態に立浪和義監督が代役として指名したのが、5年目の清水達也だ。真っすぐが速く、何よりもフォークという大きな武器がある。変則的なフォームで「打者も打ちづらいと思う」と指揮官も信頼を寄せる。7回から8回の登板になるわけだが、本人に気負いはない。10日の広島戦(バンテリン)は2対1のリードから8回のマウンドに上がって無失点。ロドリゲスが復帰するまでの措置ではあるが、清水にとっては大きなチャンス。さらに存在感を高めたい。

写真=BBM
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