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完璧な西武、苦境に立たされているソフトバンク…パ・リーグ6球団「セットアッパー」事情は?

 

勝ちパターンの8回を担うセットアッパー。9回のマウンドに上がる守護神へつなぐ重要な役回りを演じる。ペナントレースは折り返し地点を過ぎ、勝負の夏場に突入しているが、パ・リーグ6球団のセットアッパー事情を見ていこう。
記録は7月11日現在

埼玉西武ライオンズ



 ライオンズの8回には絶対的な存在が君臨する。5年目を迎えた平良海馬だ。昨季も当初、セットアッパーを務めていたが、増田達至の不調により途中から守護神へ。パ・リーグ初のシーズン20ホールド&20セーブを達成していた。今季は昨秋に右足首の手術を受けた影響などから開幕一軍には間に合わなかったが、3月29日に一軍昇格。以後、8回で圧倒的なピッチングを見せている。ここまでリーグ最多の41試合に登板し、防御率0.92。28ホールドも断トツ1位だ。平均球速155キロのストレートに今季から投げ始めたフォークなど多彩な変化球のキレ味は抜群。昨季は10.50だった奪三振率も今季は12.36。進化を見せる剛腕は首位・ソフトバンクに1ゲーム差に迫ったチームをさらに押し上げていく。

福岡ソフトバンクホークス


ソフトバンク・又吉克樹


 かつて盤石だった勝ちパターンが、昨年に引き続き、今季も苦境に立たされている。開幕当初は順風満帆だった。昨季穴を空けたL.モイネロ森唯斗もそろい、新戦力としては又吉克樹も加入した。構想では7回・又吉、8回・モイネロ、9回・森と強力な布陣。しかし、対幕から1カ月も経たずにもろくも崩れる。不調の森が無期限二軍調整に。ただ、それでもモイネロを代役抑えとし、8回には又吉を中心に、開幕から安定感を見せていた藤井皓哉らとバックアップも築けていたのが……。7月11日現在、一軍に又吉、藤井の姿はない。藤井は新型コロナ陽性判定を受けて離脱中(8日にリハビリ組合流)。そして、又吉は8日の試合中に右足甲を骨折し、今季中の復帰すらも危うい状況だ。あまりの事態に、森山良二投手コーチは「嘉弥真(新也※藤井と同じくコロナで離脱)と藤井に関しては、今週の前半にブルペン投球を2回くらいやって、最短で(今週)後半くらいにファームのゲームで投げてもらって。その後考えようかなと」と今後の実戦復帰について説明。嘉弥真、藤井が戻ってくるまで、何とか今いるメンバーでやりくりしていくほかはない。

東北楽天ゴールデンイーグルス



 クローザーの松井裕樹はここまで19セーブをマークしている。この絶対的存在へバトンを渡すことが勝利への大前提だが、ここまでは昨季見せたような安定感を欠いているのが現状だ。7、8回を任されるはずだった安楽智大、宋家豪の両右腕は、7月1日のロッテ戦(ZOZOマリン)でそろって2失点を喫するなどピリッとせず、登録を抹消されることになった。石井一久GM兼任監督は「結果だけではとらえていない。心技体をそろえて、もう一度というところ」とリフレッシュを強調した。昨季は松井裕不在の中で一致団結して奮闘を見せただけに、巻き返しが待たれる。

オリックス・バファローズ



 完全固定することなく、連投回避や選手の状態に応じた起用を続ける。開幕直後は助っ人左腕のジェシー・ビドルが主にセットアッパーを務めるも、交流戦に入って調子を落とすと、近藤大亮、黒木優太本田仁海らが日替わり登板。抑えの平野佳寿につなぐ役割を担い、ブルペン一丸となって戦い抜く。さらに2年目の阿部翔太も、いまだ今季19試合無失点と安定感が光る。2ホールド以上をマークしているのはリーグダントツの12人と層は厚い。絶対的な存在がいないことこそがチームの強み。暑さが増す勝負の8月。前半戦も打線が湿る中で奮闘した投手陣が、さらに一丸となって反攻態勢を整える。

千葉ロッテマリーンズ


ロッテ・ゲレーロ


 助っ人右腕が快速球を武器に8回のマウンドを守っている。今季加入したタイロン・ゲレーロだ。206センチの長身から繰り出す直球は今季最速163キロ。自己最速もメジャー時代に167キロを計時と球威十分の助っ人右腕は、ここまで33試合に登板して3勝17ホールド3セーブ。2020年は唐川侑己澤村拓一(現レッドソックス)、21年は佐々木千隼国吉佑樹が7、8回のセットアッパーを務めたが、移籍や故障などの出遅れもあって助っ人の加入が大きな力に。さらに、19年にメジャーで最多セーブのタイトルも獲得したロベルト・オスナも途中加入。東條大樹、新人・八木彬らとともにブルペンを支えている。一時は9あった借金も完済し、貯金生活に転じた7月。上位浮上を期すチームにとって救援陣は大きな武器だ。

北海道日本ハムファイターズ



 今季も勝利の方程式の8回を主に任されているのは、昨季の最優秀中継ぎ投手・堀瑞輝だ。8回の登板は17イニングと、玉井大翔の6回2/3イニングを引き離して断トツの登板回数を誇るが、今季は交流戦での不振が響き苦戦が続いた。防御率が6点台まで悪化し6月9日には出場選手登録を抹消されたものの、21日に再昇格以降は6試合連続無失点に抑え、打者16人に対して被安打はわずか1本。1勝1ホールド2セーブと本来の調子を取り戻し、勝ちパターンのリリーフとしてフル回転している。リリーフ陣の柱となる左腕の復調は心強い。右腕の玉井、石川直也吉田輝星らとともに、防御率4点台後半の8回を任されるセットアッパーの出来がチームの勝敗を左右する。

写真=BBM
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