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日本人メジャーの軌跡

野茂に次ぐ日本人2位の勝利を挙げたダルビッシュ有。狙うはメジャー30球団からの勝ち星/日本人メジャーの軌跡

 

ダルビッシュ有投手が舞台をアメリカに移したのは2012年。15年はトミー・ジョン手術で全休したため、22年がメジャーで10度目のシーズンになる。毎年積み重ねてきた数字が、節目を迎えている。4月17日、今季3試合目の登板だったブレーブス戦。6回2/3を投げ今季初勝利を手にした。これがメジャー通算80勝目。79勝で並んでいた黒田博樹投手を抜き、日本人メジャー・リーガーで単独2位になった。

プレーオフ進出に向けて


パドレスのダルビッシュ


 上にいるのは野茂英雄投手ただひとり。野茂は通算123勝と聞いて「あと40年やらないと」と、おどけて話してみせたが「黒田さんにはいろいろ助言をいただいた。そういうレジェンドの方にメジャー通算で超えることができて光栄」と口にした。

 4月29日のパイレーツ戦では2勝目。6回を投げてメジャー通算1319回1/3。やはり日本人メジャー・リーガーで2位だった黒田を抜き、1976回1/3でトップの野茂に次ぐ2位になった。「黒田さんは強じんな体で毎年200回を投げられていた。そういう選手を超えられたことは誇りに思う」と胸を張っていた。

 6月13日には、竜巻のため試合開始が1時間25分遅れたものの、古巣カブスを相手に8回5安打、1失点で6勝目。メジャー30球団中、28球団からの勝ち星となった。残るはオリオールズと、メジャーで最初に在籍したレンジャーズ。オリオールズとは1試合0勝1敗、防御率4.26、レンジャーズとは1試合0勝0敗、防御率10.13となっている。

 全30球団から勝ち星を奪った日本人投手はいない。野茂と黒田の29球団が最多である。野茂はドジャース、黒田はタイガースに勝っていない。野茂はドジャース戦で2試合に登板し0勝1敗、防御率2.25だった。黒田はタイガース相手に5試合投げて0勝1敗、防御率3.51。全30球団から勝ち星を挙げることはできなかった。

 今季はパドレスで2年目。昨季は8勝11敗、防御率4.22と、不本意な結果に終わった。パドレスもダルビッシュのほかジョー・マスグローブ、ブレーク・スネルという先発投手を補強して期待されたが、プレーオフに進むことができなかった。

 ダルビッシュはレンジャーズ、ドジャース、カブスと、これまで在籍した3球団でプレーオフを経験してきた。今季はパドレスをプレーオフに導くことが仕事になる。

『週刊ベースボール』2022年7月11日号(6月29日発売)より

文=樋口浩一 写真=Getty Images
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