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村上宗隆、清宮幸太郎、安田尚憲…「高校ビッグ3」の現在地

 

 今から5年前。ドラフト1位で「高校ビッグ3」と呼ばれた長距離砲たちが指名された。早実の清宮幸太郎は高校生最多7球団が指名し、当たりクジを引いた日本ハムに入団。履正社高・安田尚憲は「外れ1位」でロッテ阪神ソフトバンクが競合してロッテに。九州学院高・村上宗隆ヤクルト巨人楽天が競合してヤクルトに入団した。紆余曲折を経て、2022年のシーズンは折り返しを過ぎた。彼らの現在地は――。
※成績は7月13日現在

三冠王も狙えるスラッガー


ヤクルト・村上宗隆


・村上宗隆(ヤクルト)
今季成績 82試合出場、打率.309、30本塁打、81打点
通算成績 494試合出場、打率.275、134本塁打、377打点

 今、球界で最も三冠王に近い男と言えるだろう。6月は23試合出場で打率.410、14本塁打、35打点と圧巻の数字を記録。本塁打、打点でリーグトップを独走し、首位打者も射程圏内につけている。新型コロナウイルス感染で主力が大量離脱する苦しいチーム状況の中で、今月13日の中日戦(バンテリン)では初回にバックスクリーン左に飛び込む先制2ラン。両リーグ最速の30号は逆転負けで空砲になったが、大黒柱としてチームを引っ張る。

 高校で鳴り物入りのスラッガーが、プロに入って伸び悩むケースは少なくない。だが、村上は違う。高卒2年目の2019年に全143試合出場で打率.231、36本塁打、96打点をマーク。高卒2年目以内のシーズンで最多本塁打、最多打点の記録を更新した。新型コロナ禍の影響で120試合制の翌20年は打率.307、28本塁打、86打点。選球眼が磨かれ、粗さが消えていく。リーグ最多の87四球で最高出塁率(.427)を獲得。進化は止まらない。昨季は9月19日の広島戦(神宮)で35号ソロを放ち、21歳7カ月のプロ野球史上最年少記録で通算100本塁打に到達した。打率.278、39本塁打、112打点で巨人・岡本和真と分け合う形で自身初の本塁打王に。チームを20年ぶりの日本一に導き、東京五輪でも金メダルに貢献した。

 ベンチで声を張り上げ、守備でも投手を励ます姿は若手のお手本だ。王貞治氏(ソフトバンク球団会長)の歴代最多となる通算868本塁打を抜くのも決して夢物語ではない。

ロマンを感じさせるアーチ


日本ハム・清宮幸太郎


・清宮幸太郎(日本ハム)
今季成績 74試合出場、打率.245、11本塁打、23打点
通算成績 304試合出場、打率.210、32本塁打、96打点

 プライドをかなぐり捨てた清宮が変革の時を迎えようとしている。今季は自身最多の11本塁打をマーク。惚れ惚れとするような放物線を描くアーチにロマンを感じさせる。生粋の長距離砲であることを再認識した野球ファンは多いだろう。もちろん、課題はたくさんある。選球眼を磨いてミスショットをなくさなければ打率が上がってこない。今、清宮に必要なのは成功体験だろう。交流戦全試合に出場して打率.323、3本塁打、6打点の好成績をマークするなど打席で粘り強さも出てきている。

 プロ5年目の今年は崖っぷちだった。早実で史上最多の高校通算111本塁打をマークし、将来を嘱望されたが、度重なる故障や打てるポイントが少ないことから一軍に定着できない。昨季は故障していないにもかかわらず一軍出場なし。新庄剛志監督の指令でオフに9キロ減量し、開幕直前には指揮官と稲葉篤紀GMの助言で開幕直前に大幅な打撃改造を決断。手首を動かしてバットのヘッドを大きく揺らす動作が消え、打席のスタンスもオープンからスクエアに。とにかく必死だった。まだレギュラーを確約された立場ではない。後半戦も1試合1試合が野球人生をかけた勝負の日々だ。

潜在能力は高いが……


ロッテ・安田尚憲


・安田尚憲(ロッテ)
今季成績 64試合出場、打率.252、2本塁打、14打点
通算成績 309試合出場、打率.231、17本塁打、130打点

 ロッテの「不動の四番」として期待されるが、なかなか殻を破り切れない。履正社高では高校通算65本塁打をマーク。あこがれの存在である松井秀喜を彷彿とさせるスケールの大きな打撃で、右翼方向に長打を連発していた。プロ入り1年目の8月に一軍デビューを果たし、10月のU-23W杯では打率.393、1本塁打の好成績でMVPを獲得。2年目の2019年はイースタンで19本塁打、82打点の2冠を獲得と順調な歩みに見えたが、その後は潜在能力の高さを考えると物足りない。

 20年は初の四番に抜擢されたが打率221、6本塁打。井口資仁監督の期待の大きさは起用法からも伝わってくる。昨年は3月26日の開幕・ソフトバンク戦(PayPayドーム)に「四番・三塁手」でスタメン出場。21歳11か月の開幕四番は球団史上最年少記録だった。だが、好不調の波が激しくコンスタントに結果を残せない。自慢の長打も3、4月に5本塁打をマークしたが、5月以降は3本のみ。打率.242、8本塁打と不完全燃焼だった。

 結果を出さなければ、「若手の成長株」も立ち位置が変わってくる。今年は開幕二軍スタートで、春先に一軍昇格後は下位を打つことが多かったが、6月下旬以降は四番で起用されている。練習熱心で真面目な性格は入団以来変わらず、プロで成功したい思いは伝わってくる。このチャンスをモノにできるか。

写真=BBM
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