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ハーレム大会で4位に終わった大学侍ジャパン。4年生に残されている“イズム”を継承する役目

 

7イニング制の難しさ


侍ジャパン大学代表が7月17日、オランダから帰国。菅原悦郎団長[中央学院大監督]は解団式で、選手たちの前であいさつした


 第30回ハーレームベースボールウイーク2022は7月8日から15日まで行われ、6チームが出場し、地元のオランダが優勝した。

 日本はオープニングラウンドでキュラソー、アメリカ、キューバ、イタリア、オランダに5連勝で1位通過。オランダとの準決勝では先発の右腕・青山美夏人(亜大4年・横浜隼人高)が1対0とリードした7回表二死まで無安打投球も、四球と二塁打で同点に追いつかれる。ここで2番手の右腕・上田大河(大商大3年・大商大高)が救援も勝ち越し打を許し、1対2で惜敗した。アメリカとの3位決定戦では打線が2安打と振るわず、1対5で敗退し、4位で大会を終えている。

 日本チームは7月17日の早朝に帰国した。大久保哲也監督(九産大監督)は「侍ジャパンは、勝つことが使命。選手はよくやってくれましたが、私の力不足。反省点を洗い出し、次の大会へ向けて再度、代表候補合宿等からスタッフと選手のベクトルを合わせていきたい」と巻き返しを誓った。

 今大会は7イニング制で行われた。大久保監督は「投手戦ですと、あっという間に試合が進行する。攻撃は前半の段階で1点を取りにいく作戦が必要で、守りを含めて一つのミスがゲーム展開を大きく左右する。上位打線でも、多く回って4打席。オーダーの組み方も考えていかないといけない」と、ゲームの進め方の難しさを口にした。

 主将としてチームをけん引した山田健太(立大・大阪桐蔭高)は、無念を口にした。

「予選は5連勝と良い形でしたが、準決勝で勝ち切れず、チームとしての弱さが出た。3位決定戦も落とし、悔しい結果。短期間の中で一体感が出てきただけに、なおさら悔しい」

 投手で2試合に登板、野手(DH)として5試合に先発出場と全7戦で、投打二刀流でフル回転した矢澤宏太(日体大4年・藤嶺藤沢高)は、大会をこう振り返った。

「一番としてチャンスメークが求められる中、ゴロを転がして出塁し、盗塁を仕掛け、何とか役割を果たすことはできたかな、とは思います。リーグ戦で盗塁をする機会はあまり、ありませんでしたので、自分としても『走れる』という手応えをつかみました。投げるほうでは、真っすぐに手応えを得ました。初めての国際試合で、球場の雰囲気も良かった。すべてが貴重な経験。楽しかったです」

8月31日に再結成


 解団式であいさつした菅原悦郎団長(中央学院大監督)は全メンバー24人で戦った意義を話した。国内直前合宿の練習試合で外野手の森下翔太(中大4年・東海大相模高)が死球を受け、右手を骨折した。2019年の日米大学選手権を当時1年生として出場した、唯一の国際試合経験者。試合出場はできないが、そのままチームに帯同し、献身的に動いた。

「一塁ベースコーチで大きな声で指示を出し、打撃面でもアドバイスしてくれた。彼なくして今回のチームはない。大きな戦力だった」(菅原団長)

 帰国したこの日でチームは解散となったが、8月31日に行われる侍ジャパンU-18代表の壮行試合(ZOZOマリンスタジアム)で、再結成する。主将・山田は言う。

「菅原団長から『大学生として高校生の模範となるような、しっかりとした戦いをする必要がある』との話がありました。一人ひとりが、自覚を持ってプレーしていきたいです」

 大学代表としての戦いは終えたが、後輩たちに、侍ジャパンのイズムを継承する役目が残されている。来年は日米大学選手権がアメリカで開催予定。主将・山田ら4年生17人は、高校球児だけでなく、3年生5人、2年生2人にも、大久保監督が強調する侍ジャパンの「使命」をつないでいかないといけない。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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