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佐野恵太、宮崎敏郎、蝦名達夫…DeNA支える「ドラフト下位指名」の選手たち

 

 DeNA打線を支える中心選手はドラフト下位指名が目立つ。入団時の注目度は決して高くなかったが、与えられたチャンスを生かすことで運命を切り拓いた。佐野恵太宮崎敏郎は球界を代表する選手となり、蝦名達夫も若手成長株として外野の定位置獲りを目指す。彼らのサクセスストーリーはまだ道半ば。今後の活躍に要注目だ。
※成績は7月17日現在

セ最後の指名からタイトルホルダーへ


DeNA・佐野恵太


・佐野恵太
今季成績 73試合出場、打率.325、11本塁打、44打点
通算成績 502試合出場、打率.304、58本塁打、233打点

 リーグトップの打率で2度目の首位打者を狙える位置につけている好打者はドラフト9位で入団した。2016年のドラフトで明大の同期・柳裕也(中日)は1位で中日とDeNAが競合し、当たりクジを引いた中日へ。佐野はセ・リーグ最後の指名でDeNAへ。六大学通算打率.270、6本塁打、33打点をマークし、プロのスカウトの評価は決して低くなかったが、外国人や主力の強打者が守る一塁が本職だったため各球団が指名を敬遠した。

 当時DeNAの編成部長だった吉田孝司氏は週刊ベースボールのインタビューで、当時のドラフトの様子をこう振り返っている。

「佐野恵太も思い入れの深い選手です。彼は打撃の評価は高かったけれど、守備の評価がネックでした。大学時代、彼が一塁でノックを受けているときに横から送球していたんです。私はそれが不満でした。そして16年秋のドラフト当日、DeNAは8位までしか指名しないことが事前に決まっていた。ところが8人目の指名を終えると、明大の佐野がまだ残っていたんです。ドラフト会議のテーブル上で、私や高田さんの思いを察してくれたのか、三原一晃代表に『1人、追加するのはかまいませんよ』と言っていただいた。その一言で9位指名となりました。その後、佐野は首位打者(20年)となり、チームのキャプテンを務めるまでになったのですから、決断した三原代表には感謝ですね」

 内角をさばく打撃技術は球界屈指。今後も主将が打線の軸としてチームを引っ張る。

ミート能力が高い三振しにくい打者


DeNA・宮崎敏郎


・宮崎敏郎
今季成績 65試合出場、打率.315、5本塁打、24打点
通算成績 900試合出場、打率.303、107本塁打、383打点

 2013年、社会人・セガサミーからドラフト6位で入団。坂本勇人田中将大秋山翔吾ら豪華なタレントが並ぶ「88年世代」の1人だ。172センチと小柄だったことや俊足でないことから他球団の指名にかからなかったが、打撃センスの高さは新人のときから他球団で評判になるほどだった。懐の広いフォームから左脚を高々と上げてフルスイング。コンタクト率が非常に高く広角に安打を打ち分ける。17年に打率.323で首位打者を獲得するなどシーズン3割を4度マークしている。昨季まで通算3184打席で274三振。三振率.086は12球団の主力の中でトップの数字だ。「最も三振しにくい打者」であることがミート能力の高さを証明している。

 国内FA権を取得した昨年オフは三浦大輔監督の現役時代に並び、球団史上最長となる6年契約で残留。今年もチームメートの佐野と熾烈な首位打者争いを繰り広げている。

スケールが大きい近未来の主力


DeNA・蝦名達夫


・蝦名達夫
今季成績 46試合出場、打率.291、2本塁打、7打点
通算成績 94試合出場、打率.259、3本塁打、9打点

 スケールの大きい打撃で、近未来の主力として期待されるのが蝦名だ。身長185センチの恵まれた体格からのフルスイングから弾き飛ばされる打球はフェンスを軽く超える。足も速く、強肩と身体能力が高い。
 
 青森大では1年秋の最多打点、4年春に最多本塁打、秋には首位打者を獲得。当時のアレックス・ラミレス監督も蝦名の才能に注目し、1年目の2020年2月の一軍キャンプに抜擢するほどだった。度重なる故障も影響し、プロ2年間は一軍に定着できなかったが今年は違う。佐野が故障で戦線離脱したのを受けて5月6日に2度目の一軍昇格を果たすと、6月上旬からスタメンで出続けて三番を任されることも。交流戦で46打数15安打、打率.326、2本塁打、3打点と好成績をマーク。リーグ戦再開後は一番でスタメン出場の機会が増えている。

 大化けすればトリプルスリーの可能性も十分。タイラー・オースティンが復帰間近で外野のレギュラー争いは熾烈になるが、このチャンスを手放したくない。

写真=BBM
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