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ウォーカー、伊勢大夢、床田寛樹、藤嶋健人…セ・リーグ6球団 前半戦「陰の」MVPは?

 

まもなくオールスターブレークに入るペナントレース。果たして、前半戦で目立つことはなかったが、しっかりとチームを支えた選手は誰か。セ・リーグ6球団の前半戦「陰の」MVPを取り上げる。
※記録は7月22日現在

読売ジャイアンツ



 周囲が思う以上の活躍を見せたのが新助っ人のA.ウォーカーだ。野手としてはやはり新外国人のG.ポランコ、Z.ウィーラーに次ぐ「第3の男」という扱いだったが、代打起用からウィーラーをファームへ押しやってスタメンの座を勝ち取り、今では主軸の1人となっている。MLBの経験がないゆえにハングリー精神に満ちあふれ、東京ドームや甲子園で満員のスタンドに大興奮するピュアな一面も備える。送球を含めた守備面では大きな不安を抱えるが、守備練習にも真面目に取り組み着実に向上。前半戦でともにチーム2位タイの19本塁打、42打点のバットが、打線の迫力をアップさせていることは間違いない。

東京ヤクルトスワローズ



 今でこそ打線はリーグトップのチーム打率.256を記録しているが、交流戦前まではつながりに欠ける場面が多く、チーム打率.231(リーグ5位)と苦戦。それでも首位に立っていたのは、投手、特に中継ぎ陣の活躍が光ったからである。スコット・マクガフ清水昇ら勝利の方程式を担う選手はもちろんだが、ほかの中継ぎ投手も総じて安定。中でも大西広樹は点差、イニングに関わらず29試合に登板し防御率2.19の成績で、逆転勝利につながる好投を見せてきた。現在は新型コロナウイルス感染で戦列を離れているが、復帰を果たせば、後半戦もチームを支えてくれるに違いない。

横浜DeNAベイスターズ



 スタートダッシュに失敗し、下位に沈んだDeNAの前半戦。それでも最大9あった借金はオールスター前の5カード連続勝ち越しで勝率5割ターンが目の前だ。そんなチームをリリーフという立場でしっかりと支えているのが3年目の伊勢大夢だ。開幕から21試合連続無失点を記録するなど開幕から勝ちパターンの一角を担い、ここまで45試合登板はリーグ最多、23ホールドは同2位タイ、防御率1.03と安定感を誇る。打線をけん引した佐野恵太牧秀悟と並んで、伊勢の貢献度は計り知れない。

広島東洋カープ



 主力+α。この“+α”が前半戦、上位争いを繰り広げる力となった。投手陣では先発の柱となった左腕・床田寛樹だ。今季も開幕先発ローテーションをつかむと、着実に勝ち星を積み重ねて、前半戦だけでキャリアハイを更新する8勝をマーク。本人も手応えを感じている力強い真っすぐに、話題となったパームボールをはじめとした変化球。2020、21年と後半戦に強かった左腕が、巧みな投球術で、今季は開幕からチームを支えている。攻撃陣では開幕スタメンでプロ10年目のシーズンをスタートした上本崇司の存在感が光った。打席はキャリアハイを大きく更新する234。そこで、3割を超える打率を残している。チームトップクラスの勝負強さで何度もチームを救ってきただけでなく、守っては内外野守れるユーティリティー。7月13日、下半身コンディション不良での離脱が悔やまれて仕方ない。後半戦は、どんな“+α”が出てくるか。若手の勢いにも期待したい。

阪神タイガース



 昨オフにソフトバンクを戦力外となり阪神に育成選手として入団した渡邉雄大。一軍キャンプに抜てきされるとオープン戦でも結果を残し、開幕直前に支配下に昇格した。左のサイトハンドとして、対左打者専用としてだけでなく、苦しい状況のときにもマウンドに上がるなど矢野燿大監督の信頼は厚い。6月11日のオリックス戦(京セラドーム)から7月20日の広島戦(マツダ広島)まで9試合連続で自責点0。目立つことはないが6月以降、24勝13敗1分けと急上昇しているチームに大きく貢献している。

中日ドラゴンズ



 最下位に低迷する立浪ドラゴンズ。命綱は強力リリーフ陣だが、その中で奮闘しているのが6年目の中継ぎ右腕・藤嶋健人だ。どんな展開でもマウンドに上がり、自分の任務を遂行している。ここまで33試合に登板して1勝7ホールドで防御率は1.23。今季から中継ぎに転向した清水達也ジャリエル・ロドリゲスの勝利の方程式の陰に隠れてはいるが、しっかりとブルペンを支えている。7月1日の阪神戦(バンテリン)では先発予定の大野雄大が練習中に負傷して緊急登板も3回無失点に抑えた。面白い数字もある。チームは12勝28敗1分とビジターで大きく負け越しているが、藤嶋に限ればビジターは16試合に登板して、いまだに無失点を継続中。チームきってのムードメーカーが陰のMVPだ。

写真=BBM
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