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大関友久、本田圭佑、銀次、加藤貴之…パ・リーグ6球団 前半戦「陰の」MVPは?

 

まもなくオールスターブレークに入るペナントレース。果たして、前半戦で目立つことはなかったが、しっかりとチームを支えた選手は誰か。パ・リーグ6球団の前半戦「陰の」MVPを取り上げる。
※記録は7月22日現在

福岡ソフトバンクホークス



 リーグトップの防御率1.70、同2位の8勝を挙げるエース・千賀滉大。ただ、その千賀も完封となると今季はいまだゼロ。チームトップで唯一の2完封をマークするのが、プロ入り3年目を迎えた大関友久だ。支配下2年目の今季、開幕先発ローテーション入りを果たすと、前半戦だけで6勝。貴重な左の先発としてチームを支えている。一度は配置転換で中継ぎを経験しながらも、戻ってきた先発で自分の投球を見せつけた。プロ初完封は5月7日のロッテ戦(ZOZOマリン)。そのときは味方打線の大量援護を得ていたが、2度目の完封となった6月25日の日本ハム戦(PayPayドーム)では点差は3点。投手戦の中、連打、四死球も許さず、完全に試合を支配した。もちろん、まだまだ成長途中。7月20日の楽天戦(北九州)では2回3被弾8失点でKOされた。「なぜこのような結果になってしまったのか、イチから自分を見つめ直します」。いいときも、悪いときも得た学びを、後半戦に生かしていく。

埼玉西武ライオンズ



「自分がオールスターに出場するなんて1ミリも思っていなかったので、ただただ驚きでしかありません」と言ったのは本田圭佑だ。7月22日、新型コロナウイルス感染のため球宴出場を辞退した増田達至の代わりに本田が出場することが発表されたが、選ばれてもおかしくない成績を残している。中継ぎで28試合に登板して3勝1敗12ホールド、防御率1.64。あらゆる場面でマウンドに立ち、チームに流れを呼び込むピッチングを見せている。7月14日のロッテ戦(ベルーナ)では7回無死二、三塁のピンチで登板し、見事にゼロで切り抜けて2対1の勝利に貢献した。「今までやってきた以上のことをやろうと思ってもできないので、今自分ができることをしっかりやる、それだけです」と言う本田が後半戦も陰ながらチームを支える。

東北楽天ゴールデンイーグルス


楽天・銀次


 生え抜き17年目のベテランが、かつての輝きを見事に取り戻した。開幕当初はベンチスタートが多かったが、代打の切り札として存在感を存分に発揮。代打での起用19度で14打数8安打、8打点、打率.571という驚異的な数字を残した。好調さを買われ、交流戦途中からは一塁手や指名打者でのスタメン起用が続いている。今季はまだ規定打席に到達していないものの、58試合に出場して51安打、20打点、打率.319と好調をキープ。持ち前のバットコントロールで、打線の中で貴重な役割を演じている。

千葉ロッテマリーンズ


ロッテ・高部瑛斗


 強い思いで3年目を迎えた高部瑛斗が開幕から気を吐き続けた。荻野貴司角中勝也がコンディション不良で開幕に間に合わず。ブランドン・レアードレオネス・マーティンの両助っ人に、主将・中村奨吾も開幕直後は打撃の調子が上がらぬ中、一番に座って打線をけん引。荻野の復帰後は二番に座るなど、リーグ2位の93安打、同トップの28盗塁と俊足巧打に加え、2度のサヨナラ打を放つなど勝負強さも発揮して存在感を示し続けている。昨季まで、ファームでは好成績を残すも、一軍では結果が出ず。オフから打撃でタイミングの取り方を変えるなど、試行錯誤を重ねてレギュラー奪取を期して挑んだ3年目を飛躍のシーズンに。機動力を絡めて1点を奪い取るチームカラーを体現する背番号38の躍動が、上位追走の大きな力になっている。

オリックス・バファローズ



 抑えて当然と思われがちの重圧あるポジションで、当たり前のように好結果を残している守護神・平野佳寿の存在は大きい。開幕直後は打線が湿り、4月には新型コロナウイルスの陽性反応者が相次ぐなど、戦力が固まらない中で、投手陣が奮闘。エース・山本由伸山岡泰輔らの先発陣だけでなく、故障から復活した近藤大亮黒木優太本田仁海に、阿部翔太とブルペン陣も束になって、僅差の試合をモノにしていった。そんな中で、開幕から不変の位置に座り続けるのが、クローザの平野佳だ。チームトップの37試合に登板し、リーグ1位の25セーブで防御率は1.03と、守護神の安定感は不振や故障、新型コロナ禍で揺らいだチームの中でも大きな柱となったのは言うまでもない。

北海道日本ハムファイターズ


日本ハム・加藤貴之


 前半戦の打のMVPは開幕から首位打者を走り続けてきた松本剛で、満場一致だろう。投手陣では伊藤大海が7勝、エース・上沢直之が6勝と勝利数でチームツートップだが、左腕・加藤貴之のテンポの良い投球は一際光っていた。防御率1.79はリーグ3位と抜群の安定感ながら打線の援護に恵まれない試合が多く勝ち星は4勝。倍は勝っていてもおかしくない前半戦の内容だった。強みは圧倒的な四死球の少なさだ。95回1/3を投げて与えた四球はわずか6、死球は1つもない。奪三振と与四球の比率で投手の制球力を示す指標であるK/BBも11.17と、断トツの数字を誇っている。好投が報われずとも黙々と投げ続けた左腕エースの貢献度は「陰の」と言っては失礼なくらいだ。

写真=BBM
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