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首位快走のヤクルト 高津監督が決断した「巨人戦で驚きの継投策」が強さの象徴に

 

主力離脱で今季最悪の6連敗


7月20日の巨人戦から復帰した高津監督


 首位を快走しているヤクルトが試練を乗り越え、チームの結束感が強くなったように感じる。

 リーグ連覇を目指した今季は正捕手・中村悠平が下半身の張りで不在だった3、4月を15勝12敗と良い形で乗り切ると、5月以降は快調に白星を積み重ねた。球団新記録、プロ野球でも1954年の南海以来68年ぶりとなる14カード連続勝ち越しを決めるなど、首位を独走。その中で、見舞われたのが新型コロナウイルスによる選手の大量離脱だった。7月9、10日の2日間でPCR検査を実施したところ、山田哲人、中村悠平、塩見泰隆長岡秀樹青木宣親内山壮真田口麗斗清水昇大西広樹ら主力選手に新型コロナウイルスの陽性判定が。高津臣吾監督ら首脳陣、二軍の選手、スタッフも含めてチーム内で計27人のコロナ感染が判明し、9、10日の阪神戦(神宮)は2試合連続中止となった。その後、主力が集団離脱したチームは今季ワーストの6連敗を喫する。

 阪神、オリックスで監督を務めた野球評論家の岡田彰布氏は週刊ベースボールのコラムで、「長いシーズン、そこにはホンマ、必ず大きな山や逆に大きな谷が待ち受けている。これを克服し、逆境に勝つ。その先には優勝というゴールが待っているのだが、今回のケースは好不調とかの野球の本質外で起きた苦境である。誰も責めることができないし、これが現実と受け入れるしかない」と指摘した。

 さらに「当然、かなりの負けを覚悟しないといけないだろうな。他球団もここが差を詰めるところと向かってくるだろうし、オールスターまでの戦いで、差は縮まる。でも、ここまで『ひとり勝ち』してきたヤクルトよ。大きな貯金が大量に目減りすることはないだろうし、優位な立ち位置に、変化はないと考える」と綴っている。

逆境を救った若手たち


連敗を6で止めた19日の巨人戦でヒーローとなった小澤、武岡[左から]


 2位に10ゲーム差以上をつけていたが、チームは苦しい戦いが続いていた。この逆境を救ったのが、イキのいい若手たちだった。

 19日の巨人戦(神宮)で「七番・二塁」でスタメン出場した武岡龍世がプロ入り初の猛打賞、3打点の活躍で守備でも美技を見せると、先発の小澤怜史が6回7奪三振無失点の快投で今季2勝目。連敗を6で止めた。高津監督が復帰した20日の同戦も四番・村上宗隆が7回に32号3ランを右中間に放つなど4打点の活躍で8対2と快勝。5カードぶりのカード勝ち越しを決めた。

20日の巨人戦は7回から久保、星、市川[写真]のリレー


 どうしても勝ちたい試合で、高津監督の采配はブレなかった。2点リードの7回に救援で投入したのはプロ4年目の左腕・久保拓眞。今季3試合しか登板がなかったが、状態の良さを買って起用した。久保が三者凡退の快投で期待に応えると、8回は今季初登板の星知弥、9回は市川悠太の継投策で逃げ切った。

「この試合は救援で前日まで3連投だった梅野雄吾をベンチ入りメンバーから外していました。久保が7回をきっちり抑えてくれたことでその後に村上の3ランで点差を広げて今野龍太マクガフを温存できた。高津監督は長いペナントレースを見据えて救援陣に負荷をかけさせない。ただ、あの場面で久保を起用するのは勇気が必要でなかなかできない。試合終盤を久保、星、市川と今季一軍で登板機会が少なかった投手たちで無失点に抑えた継投策は、ヤクルトの強さを示した試合だったと思います」(スポーツ紙記者)

 山田哲人、青木宣親、田口麗斗、清水昇ら投打の主力も復帰間近だ。リーグ連覇という目標に向かって勢いはさらに加速しそうだ。

写真=BBM
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