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長野久義、中村剛也、内川聖一…後半戦の活躍が期待されるベテランたち

 

 前半戦を終えて、セ・リーグは首位・ヤクルトが2位以下に10ゲーム以上差をつけて独走。パ・リーグは最下位・日本ハムがやや離されているが、5球団が優勝争いを繰り広げる大混戦だ。後半戦は経験豊富な選手たちが頼もしい存在になる。長野久義中村剛也内川聖一……タイトルホルダーでもあるベテランたちは意地を見せられるか。
※成績は7月24日現在

10年ぶりの1試合2アーチ


広島・長野久義


・長野久義(広島)
今季成績 42試合出場、打率.221、2本塁打、14打点、1盗塁
通算成績 1489試合出場、打率.282、156本塁打、589打点、96盗塁

 今季は外野陣で若手の台頭もあり春先から出場機会に恵まれず、6月28日にファーム降格。ウエスタン・リーグで9試合出場し、打率.556、1本塁打、6打点と実戦で打席に立つことでスイングの鋭さを取り戻した。7月12日に一軍昇格すると、「六番・左翼」でスタメン出場した同日のDeNA戦(マツダ広島)で2本の二塁打を放って状態の良さをアピール。

 16日の巨人戦(東京ドーム)では2回にアンドリースのスライダーを右翼席に運ぶ今季1号ソロ、3回無死満塁の好機で戸根千明の直球をバックスクリーンに運ぶ2打席連続のグランドスラムの大暴れ。1試合2本のアーチは巨人に在籍していた12年7月12日の広島戦(東京ドーム)以来10年ぶりだった。猛打賞、5打点の活躍で11対4と圧勝劇の立役者となり、「(ファームで)若い選手たちと泥んこになりながらどんどん走ってバットを振って帰ってきました」とお立ち台で充実の表情を浮かべた。

 11年に首位打者、12年には最多安打のタイトルを獲得するなど巨人の中心選手として活躍し、19年1月に巨人へFA移籍した丸佳浩の人的補償として広島に移籍。昨季はプロ入り後最少の71試合出場にとどまり、打率.216、2本塁打、13打点はいずれも自己ワーストの成績に終わった。今年は期する思いが強いだろう。37歳のベテランが得意の夏場でさらに光り輝く。

試行錯誤を重ねる長距離砲


西武・中村剛也


・中村剛也(西武)
今季成績 59試合出場、打率.178、4本塁打、18打点、0盗塁
通算成績 1925試合出場、打率.254、446本塁打、1289打点、26盗塁

 ここまで打撃不振が長引くシーズンはなかっただろう。プロ21年目の中村が試行錯誤を続けている。5月に4本のアーチを放って状態を上げると思われたが、5月14日の楽天戦(ベルーナ)以来2カ月以上アーチが出ていない。直球にバットが空を切り、差し込まれる場面が目立つ。高々と舞い上がり、滞空時間が長い独特のアーチが見られない。

 2008年に西武で一軍打撃コーチを務めた野球評論家のデーブ大久保氏は今年の開幕前に週刊ベースボールのコラムで、中村についてこう語っている。

「出会った当時に、ここまでの打者になるとは思いもしませんでした。彼はわれわれのような体形の選手には大きな希望の星になっています。背もそこまで高くない男が、あの飛距離を出すのですからね、本当にバッティング技術というのはすごいものです。一度つかんだ技術は一生ものですよね。39歳ということで以前のようなパワーはないと思いますが、本塁打とは、フェンスの向こうへ打てばいいだけのこと。サンペイは本塁打を打てる技術は十分に持っていますから、まだまだ打ってくれると思います」

「また、西武も功労者には手厚いので元気なうちは契約を続けてくれると思います。私の願いは500本塁打以上を打つこと。そのときは歴代9位になります。1位が王貞治さん、2位野村克也さん、3位門田博光さん、4位山本浩二さん、5位清原和博、6位落合博満さん、7位が張本勲さんと衣笠祥雄さんで、9位におかわり君……ひとりだけ威厳のない名前ですが(笑)。でもそこまでは必ず打ってほしいです!」

 500本塁打まで残り54本。3年ぶりのリーグ優勝に向け、中村の復活が期待される。

錆びついていない打撃を証明


ヤクルト・内川聖一


・内川聖一
今季成績 6試合出場、打率.214、0本塁打、0打点、0盗塁
通算成績 2021試合出場、打率.302、196本塁打、959打点、41盗塁

 ヤクルトから移籍2年目の今季は開幕からファーム暮らし。だが、必要とされる時に備えて牙を磨いていた。イースタンで45試合出場し、打率.333、3本塁打、25打点と好調をキープ。首位を快走していたヤクルトだが、7月に新型コロナウイルスの検査を実施した結果、山田哲人中村悠平塩見泰隆青木宣親長岡秀樹ら主力選手たちに陽性判定が出る緊急事態で、内川が一軍昇格した。

 7月14日の中日戦(バンテリン)に「三番・左翼」でスタメン出場。外野での先発出場は15年以来7年ぶりだったが、試合に出場できる喜びがにじみ出ていた。今季初打席となった初回一死一塁で右翼線に二塁打を放ち、先制点をおぜん立て。20日の巨人戦(神宮)でも4回に右前打で同点劇を呼び込むと、左翼の守備でも同点の5回二死一、二塁のピンチから、岡本和真の左前打に猛チャージしてカットプレーに入った村上宗隆に返球。捕手・古賀優大に転送し、C.C.メルセデスの本塁生還を阻止した。内川はこの試合で途中交代して翌21日に登録抹消されたが、まだまだ打撃技術が錆びついていないことは証明した。

 セ・パ両リーグで首位打者に輝き、ソフトバンクに所属した10年間で5度のリーグ優勝、7度の日本一を達成するなど実績は申し分ない。横浜(現DeNA)、ソフトバンク、ヤクルトで積み上げた安打数は2185本。来月4日に40歳を迎える安打製造機はまだまだ打ち続ける。

写真=BBM
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