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高校野球リポート

「負けてもともと」が生み出すパワーで聖望学園が絶対王者・浦和学院を破って13年ぶりの甲子園へ

 

「信じられない」を連呼した監督


聖望学園高は13年ぶり4回目の甲子園出場。埼玉大会決勝ではセンバツ4強・浦和学院高を撃破した


 対戦するのは、同じ高校生。決して弱気になる必要はない。

 強豪校を相手にした高校野球の取材で、選手からよく聞かれる談話だ。埼玉大会決勝(7月26日)。聖望学園高は1対0で、13年ぶり4回目の甲子園出場を決めた。相手の浦和学院高は今春のセンバツ4強で、甲子園帰り後の関東大会優勝校。埼玉県内でも昨秋、今春と頂点に立ち、この夏もV候補筆頭だった。

 一方、聖望学園高は昨秋、準決勝で花咲徳栄高に5回コールド敗退。春は市川越高との県大会初戦(2回戦)で敗れ、この夏はノーシードだった。立場からすれば、浦和学院高のほうが「格上」。しかし、高校生とは短期間で急成長を遂げる。また、小さな成功体験がきっかけで、大きく飛躍することもたびたびだ。

 60歳のベテラン、聖望学園高の岡本幹成監督は夏本番を前に、こう語っていた。

「強者に対して向かっていく、ケンカ根性があるかどうか。『負けてもともと』の気持ちが生み出すパワーがウチの強み」

聖望学園高のエース・岡部は強打・浦和学院高打線を相手に1対0で4安打完封を果たした


 まさしく、この聖望スタイルを徹底した、頂点までの7試合だった。準決勝までにコールド勝ちは初戦のみ。4回戦からは大宮東高(Dシード)、昌平高(昨夏の準優勝校)、武南高(Dシード)、山村学園高(Aシード)と難敵を次々と撃破。そして「絶対王者」とまで言われたAシード・浦和学院高の昨夏からの3季連続出場を阻んだのだった。

 試合後は涙。そして、岡本監督は「信じられない」を連呼した。使い古されたフレーズかもしれないが、最後は「気持ち」の勝負。勝ちたい思いが強いほうが勝つ。聖望学園高は勝負に挑む上での原点、大切な教えを2022年夏の埼玉に記した。

写真=高野徹
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