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日本人メジャーの軌跡

先発待遇としての満足トレードでツインズに移籍し好投を続けるも…前田健太/日本人メジャーの軌跡

 

2020年、ドタバタの末に前田健太のドジャースからツインズへのトレードが決まった。2月4日、レッドソックスを加えた3球団間のトレードが決まったと報じられたが、ツインズのブルスダー・グラテロールの身体検査の結果に移籍先のレッドソックスが難色を示して一度は破談となった。しかし10日にドジャースとツインズの2球団間でのトレードが成立。前田はツインズに移籍することになった。

「僕にとってすごくプラス」


ツインズの前田健太


 シーズン初めは先発要員でありながら、終盤ブルペンに配置転換されてきた待遇に不満を抱き、トレードを志願していた前田にとっては「僕にとってすごくプラス」(前田)であった。新天地でのキャンプは順調。フルタイムの先発として期待されていることに、充実した気持ちだった。オープン戦は3試合に登板して8回2/3を投げ2自責点だった。ここで思いもかけない事態が発生する。新型コロナウイルスの感染拡大のため中断となってしまった。

 いつ再開するとも知れない不透明な中、しっかり調整を続けた。7月にはキャンプ再開。ツインズでの初登板は7月26日の開幕3試合目、敵地でのホワイトソックス戦だった。ツインズは1回にジェイク・ケイブの満塁本塁打で4点、2回にはネルソン・クルーズの3点二塁打などで5点。前田は大量点をバックに5回、4安打2失点の好投で白星デビューを果たした。「いつもより緊張した。長く投げるよりも、序盤が大事だと思ったので初回から飛ばした。いいスタートが切れた」と、満足そうに話したものだ。

 その後も好調。6試合目まで負けなしの4勝で防御率2.21。7試合目の8月30日、敵地でのタイガース戦で初黒星を喫する。2対2で迎えた6回、ジョナサン・スコープに左越えにソロ本塁打を浴びたのだった。ただ負けはこのひとつだけだった。9月は4試合で2勝無敗。シーズンでは6勝1敗、2.70だった。勝利数はア・リーグ4位、防御率は5位だった。

 ポストシーズンではアストロズとのワイルドカード・シリーズ第1戦に先発。5回を無失点と、シーズン中と変わらない好投を演じた。サイ・ヤング賞には投手3冠に輝いたインディアンス(現在ガーディアンズ)のシェーン・ビーバーが満票で選出されたが、前田は投票で2位。充実したシーズンを送った。

 21年は成績が上がらず、8月21日のヤンキース戦で右前腕の張りを訴え、そのまま戦列を離脱。9月1日にトミー・ジョン手術を受けた。現在は復帰に向けて調整中。焦らず、納得できるレベルに達してから復帰するつもりだ。

『週刊ベースボール』2022年7月25日号(7月13日発売)より

文=樋口浩一 写真=Getty Images
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