後半戦がスタートし、ペナントレースはいよいよ佳境へと突き進んでいく。優勝、そしてクライマックスシリーズ進出のために必要なのはプラスアルファの力だろう。特に前半戦で本領を発揮できなかった選手が本来の力を出してくれれば大きい。パ・リーグ6球団で後半戦に「復活」してほしい選手をピックアップした。 ※記録は7月29日現在 北海道日本ハムファイターズ
チームに勢いを呼ぶ長距離砲の復活が待たれる。プロ4年目で初の開幕一軍切符をつかみ、クリーンアップも務めて自己最多の10本塁打を放っていた万波中正だが、6月11日の
中日戦(札幌ドーム)から29打席無安打が続き、30日には二軍降格となった。「(打席で)ちょっと迷いがある。迷いのある人はいらないから、試合には出させたくない」とBIGBOSSも期待をかけている愛弟子だけに、あえて厳しい言葉でファームでの再調整を促した。二軍では41打数17安打、打率.415と結果も出ている。7月20日には「感染拡大防止特例2022」の代替選手として一軍登録された。類い稀な身体能力は一軍でも実証済み。迷いのない万波らしい豪快な一発がチーム浮上には必要だ。
福岡ソフトバンクホークス
首位から5位・
ロッテまで2ゲーム差。混戦のペナントレースを抜け出すためには若手選手の台頭にも待たれるところだが、“復活”というところではキャプテン・柳田悠岐の巻き返しに期待したい。前半戦は長期離脱には至らなかったものの、4月上旬には左肩腱板炎、7月中旬には左ヒザ痛と、決して万全のコンディションとは言えなかった。そんな中で打撃も波があり、前半戦終了時点での打率.276、13本塁打、48打点は、柳田にしては物足りない数字。とはいえ、浮上のきっかけが見えていないわけではない。前半戦最終カードの
オリックス戦(京セラドーム)では3本塁打を含む6安打、4打点。リーグ戦中断期間中に行われたオールスターゲームでは第2戦(松山)で決勝弾を放ち、MVPにも輝いている。後半戦は主砲らしさを見せつけて、先頭に立ってチームを引っ張っていく。
埼玉西武ライオンズ
12球団トップの防御率を誇る投手陣が躍進の原動力となっているチームにあって、攻撃陣がもう少し奮起すれば戦いは楽になるだろう。四番・
山川穂高はリーグ断トツ1位の30本塁打と本領を発揮している。その他の打者が本来の力を発揮すれば、得点力は上がっていくはずだ。中でも外崎修汰の「復活」に期待がかかる。主力野手で唯一離脱することなく、1試合欠場のみの92試合に出場。守備範囲が広く、抜群の安定感のある二塁守備で勝利に貢献しているが、打率.218、6本塁打と打撃では低迷している。今季は九番以外の全打順を経験。五番で最多の32試合に出場しているが、同打順でも打率.214だ。「アップルパンチ」がコンスタントに飛び出せば、チームもさらに上昇曲線を描く。
東北楽天ゴールデンイーグルス
まさかのアクシデントが起きたのは5月18日のロッテ戦(ZOZOマリン)だった。4回、
中村奨吾の打球が右手中指に直撃。ベンチ裏で応急処置を施し、一度はマウンドに戻ったが、続投はできず。後日の診断で骨折が判明した。それまで6試合に登板して3勝、防御率2.88と安定した投球を見せていただけに、痛過ぎる離脱となった。それでも7月にはブルペン投球ができるまでに回復しており、
石井一久GM兼任監督は8月中の復帰登板について「そのぐらいになればいい」と見通しを語る。長いイニングをこなせる右腕の復活は、上位争いを演じるチームにとって追い風となりそうだ。
千葉ロッテマリーンズ
今季初安打は開幕から5試合目、15打席を要するなどレオネス・マーティンが不振に陥った。
井口資仁監督も「起用法を考えなくちゃいけない」と口にするなど、打順も二番や四番など試行錯誤。下位に置くこともあったが復調せず、5月に二軍調整も上向かず。7月に再降格となった際に、井口監督は「(状態が)よくないと(一軍に)上げても意味がない。打席数をこなして」と“無期限調整”を示唆した。その間、
ブランドン・レアードが復調し、
井上晴哉もケガから復帰。井上が新型コロナの陽性反応を受けたものの復帰後に、マーティンも加われば打線に破壊力が増すのは間違いない。下位打線に座っても怖い存在。助っ人の復活が、逆転優勝を手繰り寄せる。
オリックス・バファローズ
新型コロナの陽性反応で離脱もあって、波に乗り切れなかったのが福田周平。俊足巧打を武器にリードオフマンとして昨季のリーグ優勝の原動力に。今季も開幕一番スタメンでスタートも、打撃が低調で打順は流動的となった。チーム好調時は福田の出塁から打線が活発となっただけに、後半戦は
中川圭太、
吉田正尚、
杉本裕太郎にチャンスでつなぎたいところ。
紅林弘太郎、
若月健矢のバットにも快音が聞かれ始めてるだけに、下位でつくった好機で回ってくることもある一番打者の躍動は後半戦の大きなカギ。背番号1が躍動すればリーグ連覇も見えてくるはずだ。
写真=BBM