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【MLB】トレード戦線について言及を避けるエンゼルス、ミナシアンGM

 

チーム低迷により大谷のトレードの話題に大きくなり会見したミナシアンGM。今後エンゼルスをどのようにデザインしていくのだろうか


 7月12日、エンゼルススタジアムのダグアウトでペリー・ミナシアンGMが番記者の囲み取材に応じた。その前の遠征が1勝8敗と散々、38勝49敗の成績について「責任を問われるべきは100パーセント私自身。ロースターを決めたのは私だからね。コーチは私の連れてきた選手と働くだけ」と渋い表情だった。

 2014年以来のポストシーズン進出は難しい。そこで気になるのは23年シーズンを最後にフリーエージェントになる大谷翔平についてだ。よく知られているように大谷は昨季が終わるとき、「球団は好き。ただそれ以上に勝ちたい。ヒリヒリする9月を過ごしたい」と話した。

 他球団に移る可能性もあると示唆したわけだ。MLB球団は通常看板選手と長期の契約延長が微妙であると分かればトレードの可能性を模索する。今がまさにその第一のタイミングだ。おそらく今なら一番大きな見返りを期待できる。大谷はFAまで1年半もあるし、投げても打っても大活躍で、メジャーに来て一番良い状態。13日のアストロズ戦は投げては6回1失点12奪三振、打っては適時三塁打でチームを勝利に導いた。

 アストロズのダスティ・ベイカー監督は「同じ地区だし、これから先も大谷との対決がある。攻略法を考えないと」と頭を抱えていた。今なら、エンゼルスの将来を担う複数の大物プロスペクトとの交換も可能である。

 しかしながら普段からチームを取材するアメリカ人記者たちに聞くと、現地時間8月2日のトレードデッドラインまでのトレードはないと口をそろえる。球団は大谷のことをとても気に入っているし、ファンの間でも一番人気があるからだ。

 第2段階はこのオフ。球団は大谷サイドに契約延長を打診し、話しが進展しないとなれば、他球団とも話す。オフであれば、複雑な三角トレードも成立可能で、結果的にエンゼルスはよりよい見返りを得られるかもしれない。とはいえ12日の時点では、ミナシアンGMはトレードについて具体的な話は避けた。

 大谷とマイク・トラウトを軸に優勝を狙うことは可能かと聞かれると「彼らとともに勝つ方式はある。層の厚いチームを作る。ドラフト、フリーエージェント、トレードで、未来図を描くことができる」と話した。

 とはいえ、今季は2人がチームメートになって5年目、ポストシーズンはおろか勝ち越しも一度もなかった。投手陣が弱いから、安定して勝ち星を増やすことができない。来季も急に良くなる気配はない。そこでトレードの可能性について質問が出るとGMは「具体的な名前は言わない。他球団は電話をしてきて、どの選手についても聞いてくる。それに対して話は聞く。明らかにほかの選手と比べてトレードしにくい選手はいる」と返事をした。

 さらに今季も負け越しとなれば、大谷がチームと長期契約を結びたいという気持ちが弱くなっていくのではとの質問には「翔平だけのことではない。チーム全体でだ。ただ私自身は今日の試合のことを心配している。いかにより良いプレーをするか。自分の頭にあるのは日々のことだ」と曖昧な返事で、トレードについて具体的に言及することはなかったのである。

文・写真=奥田秀樹
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