2010年代は年に2人程度出現
今季も安定感のあるピッチングを続けているオリックス・山本
ペナントレースも後半戦に入り、セ・リーグは独走の
ヤクルトが2位の
阪神に10ゲーム差、パ・リーグは相変わらず
日本ハムを除く5球団が3.5ゲーム差の中にひしめき合う大混戦。そして投高打低を象徴するかのように防御率1点台の投手が3人もいる。
セ・リーグは阪神の
青柳晃洋の1.37。青柳は昨年も8月30日(チーム99試合)まで1点台だったが、その後崩れ2.48まで落としてしまった。パ・リーグの1位は日本ハムの
加藤貴之1.79。2位がオリックスの
山本由伸で1.81。加藤は現在新型コロナの影響で登録を抹消されていて、2日には規定投球回から一時消えてしまう。山本は6月を終わった時点では1.42と1.50を下回る成績だったが、7月2日の日本ハム戦で6回2/3を投げ5失点(自責5)、16日の
楽天戦も6回4失点(自責4)と7月は防御率3.14と成績を落とした。
さて防御率1点台は投手にとっては大きなステータスとなる。投高打低だった1リーグ時代(1936〜49年)では延べ96人いたが、打撃の向上とともに減っていった。年代別の延べ人数は、
セ パ
1950年代 36 20(計56)
1960年代 22 10(計32)
1970年代 6 3(計 9)
1980年代 4 1(計 5)
1990年代 0 2(計 2)
2000年代 3 6(計 9)
2010年代 9 12(計21)
2020年代 3 1(計 4)
となる。
1990年代は1992年の近鉄・
赤堀元之1.80、
西武の
石井丈裕1.94の2人しかいなかったが、赤堀は先発ではなくストッパー。10月5日にのダイエー戦に突然先発すると完封勝ち。11日のダイエー戦にも先発し6回を投げ終わった時点で規定投球回に到達し(この試合は6回0/3を投げ自責3)、最優秀防御率と最優秀救援(32セーブポイント)を獲得している。
2000年代に入ると打高投低もやや変化が見られ、防御率1点台の若干増えた。2010年代は低反発統一球(2011年から)の影響もあり1点台は年に2人程度出現している。
1970年代以降、複数年記録は7人
山本は2019年に1.95、昨年は1.39とすでに2度の1点台をマークしている。1970年以降、1点台を複数年記録しているのは、
大野豊(
広島)1988〜1989
内海哲也(
巨人)2011〜2012
ダルビッシュ有(日本ハム)2007〜2011
吉見一起(
中日)2009、2011
田中将大(楽天)2011〜2013
菅野智之(巨人)2015、2017、2020
山本由伸(オリックス)2019、2021
の7人。
現パドレスのダルビッシュ有は3年目の2007年から5年連続という驚異の記録(2リーグ制以降で最長連続)をマークしてメジャーへ移籍。田中将大も2011年から3年連続をマークして
ヤンキースに移籍した。
7月は打たれることもあった山本だが、チームは後半戦の
ロッテ戦で3連勝スタート。首位・西武に1ゲーム差で連覇の期待は十分になる。そのためにはエースの活躍は不可欠だ。
2年連続3度目の防御率1点台となれば、連続は1970年以降5人目、3度目を達成すれば4人目という快挙となる。
文=永山智浩 写真=BBM