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森友哉、坂倉将吾、木下拓哉、大城卓三…「強打の捕手」の現在地

 

12球団No.1の打てる捕手



・森友哉(西武)
今季成績 58試合出場、打率.250、4本塁打、23打点、1盗塁
通算成績 882試合出場、打率.291、98本塁打、434打点、24盗塁

「強打の捕手」で現役No.1は森だろう。入団時から「球界を代表する強打者になれる」と評され、高卒2年目の2015年に打率.287、17本塁打をマーク。高卒の選手が2年目までに20本以上本塁打を放ったのは松井秀喜以来21年ぶりの快挙だった。だが、正捕手に定着するのは少し時間を要した。炭谷銀仁朗(現楽天)、岡田雅利が投手陣の信頼をつかんでいたため、森は指名打者や外野手で起用されることが多く、正捕手をつかんだのは19年。打率.329、23本塁打、105打点と自己最高の成績で首位打者を獲得した。

 昨年は「去年ああやったから、こうやったから、というのは一切なしにして、とにかくしっくりくるフォーム。下半身をしっかりと使うこととバットの軌道に重点を置いて、一番スイングが強くできる形を求めてやりました」とフォーム改造に着手し、打率.309、11本塁打をマーク。捕手で3度目のベストナインに輝いた。チームは最下位に沈み、今年は期する思いが強い。強力投手陣をリードする扇の要として、頂点を目指す。

捕手以外のポジションもこなす



・坂倉将吾(広島)
今季成績 100試合出場、打率.298、8本塁打、49打点、0盗塁
通算成績 376試合出場、打率.297、24本塁打、153打点、5盗塁

 ミート能力の高さは森に引けを取らない。天才的な打撃センスでナインにも一目置かれているのが坂倉だ。プロ5年目の昨季は自身初の規定打席に到達し、132試合出場で打率.315、12本塁打、68打点。チームメートだった鈴木誠也(現カブス)と質烈な首位打者争いを繰り広げた。打力を重視した起用法で捕手が53試合、一塁が57試合、指名打者で3試合スタメン出場した。

 今季は捕手、一塁に加えて三塁に挑戦。坂倉は4月下旬に週刊ベースボールのインタビューで、「自分が(捕手として)出ていないときは基本的には會澤(會澤翼)さんが出ているんですが、『こういう攻め方をするのか』とか、キャッチャーでマスクをかぶると見えない部分が見えてくる。見える景色が、ベンチで見るのと、グラウンドで見るのとでは違っていて。守っているからこそ、自分自身も1球1球反応しますし。あとは、3連戦の中で自分がマスクをかぶる日もあるので、1日1日つなげていかないといけないというところで、しっかりイメージを持って試合に入っていけると思います。体力面は、しんどいっちゃしんどいんですけど(苦笑)、試合に出る者の宿命かなというふうにとらえています」と語っている。正捕手獲りに向けて、複数のポジションをこなすことは大きな糧になるだろう。

日本代表の可能性も十分



・木下拓哉(中日)
今季成績 82試合出場、打率.252、5本塁打、31打点、2盗塁
通算成績 408試合出場、打率.252、26本塁打、122打点、3盗塁

 攻守で高い総合力を誇る捕手が木下だ。2020年に88試合出場で打率.267、6本塁打、32打点をマーク。強肩に定評があり、リーグトップの盗塁阻止率.455を記録した。30歳の年になる昨年は正捕手をつかみ、飛躍の年に。打率.270、11本塁打、43打点で捕手としても盗塁阻止率.426。フレーミング技術にも定評があり、12球団トップのチーム防御率3.22を記録した投手陣を牽引した。

 明るい性格でムードメーカーとしてもチームを盛り上げる。川口和久氏は今年1月に週刊ベースボールのコラムで「昨年の投手陣に関しては捕手の木下拓哉の力が大きかったと思う。うまく投手を引っ張ったし、彼の場合、打撃もいい。今の野球では打撃のいい捕手がいるかどうかは大きい。このままスタメンに定着すれば、立浪竜の大きな力になるはずだ」と期待を込めている。来年3月に開催予定のWBCに選出される可能性も十分にある。

伸び悩んでいる現状



・大城卓三(巨人)
今季成績 74試合出場、打率.237、8本塁打、28打点、0盗塁
通算成績 484試合出場、打率.252、38本塁打、153打点、1盗塁

 潜在能力は高いが、伸び悩んでいるのが大城だ。「打てる捕手」として期待されているが、守備で頭を悩ませることが多いポジションだけに両立が難しい。コロナ禍のため120試合制で開催された2020年に93試合で打率.270、9本塁打、41打点といずれも自己最高の成績でリーグ連覇に貢献したが、昨年は自己最多の125試合に出場してリーグトップの盗塁阻止率.447をマークしたものの、チームが夏場以降に大失速してV逸。配球面で試行錯誤し、打撃にも影響したように感じられる。打率.231、11本塁打、37打点と豪快なスイングが影を潜めた。

 今季も好不調の波が激しく、打率2割2分愛に低迷した6月2日に登録抹消。故障以外でファーム降格はプロ5年目で初だった。2週間後に一軍復帰したが、打率が上がってこない。新型コロナウイルスの陽性判定が出たため、7月21日に登録抹消に。後半戦は意地を見せたい。

写真=BBM
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