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川口和久WEBコラム

独走ヤクルトは本当に止められないのか/川口和久WEBコラム

 

新顔と若手をドンドンぶつけてみたら



 8月6日のヤクルト戦(神宮)で、巨人・原辰徳監督が監督通算1200勝を達成した。

 ただ、その最後が少しヒヤリ。3対2と1点リードの9回裏二死走者一塁で、増田大が何でもないセンターフライをポロリ。ベンチの映像を見たら、原監督も本気で驚いていた。

 イージーフライだったし、高校野球並みどころじゃなく、草野球並みのエラーだ。ただ、そのあと、今度はヤクルトの高津臣吾監督が驚いた顔もあった。代走で出ていた一塁ランナーの元山飛優がサードまでしか来ていなかったからだ。

 こちらは凡ミスというのはかわいそうだが、楽々セーフというケースではないにせよ、俊足の選手でもある。あの場面、二死だからバットに当たった瞬間にスタートを切り、最後まで走り切ればホームにかえってこれたかもしれない。イージーフライで試合が終わったと思って、どこかで緩めたのだろうか。

 どちらも俺の広島時代の恩師・古葉竹識監督なら試合後、かなり厳しく叱責するだろう。手や足も出ていたかもしれない。

 古葉監督は、単に打たれたとか打てなかったとかで怒らなかったが、カバープレーや走塁の怠慢などに対しては鬼の形相で怒った。

 この試合を見て、もう1つ思ったのはヤクルト打線の戸惑い。特にクロールに対してだ。クロールは来日4試合目のうちヤクルトに対して3試合目だが、初戦で打たれたあと、何となくだが、ヤクルトが打ちにくさを感じているように見える。

 ヤクルト打線はデータを重視し、チームで相手投手を崩しにくるが、クロールの情報がまだ十分ではないのだろう。畳み掛ける打線だからこそ、情報の少ない新顔や、かわすのではなく球威重視で、生きのいい若手投手をぶつけていくのも一つの手かなと思った。

 ヤクルトは今、勢いが止まっている。残り試合を考えれば8.5ゲーム差はあまりに大きいが、5球団が包囲網を敷き、あの手この手で、いい投手をドンドンぶつけていけばそうは勝てないはずだ。少しでも差を詰めていけば、何かが起こる可能性はゼロじゃない。
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