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戸郷翔征、山崎伊織、堀田賢慎…「ポスト菅野」に最もふさわしい投手は?

 

 巨人が常勝軍団の再構築へ必要な存在が、菅野智之からエースの座を継承する投手だ。先発の大黒柱として長年活躍してきた菅野は33歳のシーズンを迎えている。もちろん、これからも活躍してもらわなければ困る投手だが、いつまでも「菅野頼み」ではチームが浮上できない。戸郷翔征山崎伊織堀田賢慎……彼らが強力な3本柱を結成する時を巨人ファンは心待ちにしている。
※記録は8月11日現在

念願の10勝に到達した右腕


巨人・戸郷翔征


・戸郷翔征
今季成績 18試合登板、10勝5敗、防御率2.76
通算成績 65試合登板、29勝19敗、防御率3.33

「ポスト菅野」に最も近い右腕が戸郷だろう。今月10日の中日戦(バンテリン)で8回1失点の快投で自己最多の12奪三振を奪い、プロ4年目で初の2ケタ勝利に到達。2020、21年と9勝に終わっただけに喜びはひとしおだろう。だが、節目の白星もまだ通過点。自身初タイトルの最多勝も十分に狙える。母校の聖心ウルスラ学園高・小田原斉監督は昨年1月に週刊ベースボールのインタビューで戸郷について、以下のように語っている。

「彼が2年夏に甲子園に出場するんですが、このような大舞台でも物怖じしないハートの強さも当時からです。普通、プロ1年目で優勝のかかったゲームで平然と投げることはできませんよね? ガキ大将的なタイプではありませんが、心に秘める強さがある。そういえば、こんなこともありました。3年夏は甲子園に届かず、目標にしていた侍ジャパンU-18にも選ばれなかった。このとき、高校日本代表は宮崎で合宿を張っていて、宮崎県選抜と壮行試合を行いました。ここに選ばれた戸郷は、根尾昂選手や藤原恭大選手といった世代トップクラスの選手たちを相手に、県選抜の先発投手として5回1/3を投げて、9奪三振。プロのスカウトの方の評価を一気に高めるのですから、驚いたものです」

 決して野球エリートではない。抜群の度胸と努力し続ける姿勢で、巨人のエースを目指す。

上原、菅野の「19」を継承


巨人・山崎伊織


・山崎伊織
今季成績 14試合登板、4勝3敗、防御率3.25
通算成績 14試合登板、4勝3敗、防御率3.25

 登板を重ねる度に成長した姿を見せているのが山崎だ。今月4日の阪神戦(東京ドーム)に先発して8回3安打無失点の快投で3勝目をマーク。スライダー、シュートと横の揺さぶりに加えて球威十分の直球で危なげない投球を披露し、チームの連敗を4で止めた。さらに11日の中日戦(バンテリン)では6回1失点で4勝目を挙げた。2020年3月にトミー・ジョン手術を受け、1年目の昨年はリハビリに専念。今季も患部の状態を考慮して登板間隔を空けながら先発で投げているが、直近の5試合は5イニング以上投げてすべて2失点以下と安定感が際立っている。

 今年5月に週刊ベースボールのインタビューで、「自分の中でも今は調子の波が激しいと感じています。いいときはいいですけど、悪くなったときにボールがいかない。そもそも調子がいい試合なんて1年のうちに何試合もないと思います。ちょっと調子が悪いときでもどうやって抑えていくか、悪い状態の幅をどう小さくしていくか。今はいい悪いの差が大きいと感じているので、そうした部分が必要になると思っています」と語っていたが、短期間でその課題を修正する能力を見せている。

 上原浩治、菅野が着けていた背番号「19」を継承する右腕はエースになる資質を十分に備えている。

無限の可能性を秘めた右腕


巨人・堀田賢慎


・堀田賢慎
今季成績 6試合登板、2勝2敗、防御率5.67
通算成績 6試合登板、2勝2敗、防御率5.67

 本来の直球を取り戻してつかんだ白星で大きな手応えをつかんだだろう。今月5日のヤクルト戦(神宮)でプロ入り最長の7回を投げ、2安打1失点の快投で約4カ月ぶりの2勝目をマーク。2回に村上宗隆から147キロ直球で空振り三振を奪うと、3回以降は走者を1人も出さない完ぺきな投球だった。直球は最速151キロを計測。新球のフォークも冴えわたった。

 1年目の4月に右ヒジのトミー・ジョン手術を受け、昨年は育成契約でリハビリに打ち込んだ。今年は開幕前に支配下登録されて背番号「91」に。3月31日のヤクルト戦(神宮)で6回5安打無失点に抑えてプロ初先発プロ初勝利と最高のスタートを切ったが、その後は150キロ台の快速球が130キロ台に球速低下するなど試行錯誤し、白星から遠ざかっていた。

 堀田は入団1年目に週刊ベースボールのインタビューで「やっぱり、僕の持ち味は“真っすぐ”。高校のときも“真っすぐ”を強く意識して追い求めてきたので、プロでも同じように“真っすぐ”で勝負できるピッチャーになっていきたいです」、「まずはスピード。これまでは151キロがMAXですが、もっともっと成長していって、160キロを出してみたいというのは、常に考えています。あとは回転。メジャーとかを見ていると、動く真っすぐというのが全盛というか、当たり前になっているみたいですが、速くてきれいなストレートにこだわりたいです。バッターの予測した軌道よりも上を行く“真っすぐ”ですね」と直球へのこだわりを口にしている。

 代名詞の直球を武器に、無限の可能性を秘めた右腕の今後の投球が楽しみだ。

写真=BBM
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