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山本由伸、高橋光成、則本昂大、千賀滉大…パ・リーグ6球団「開幕投手」の現在地は?

 

今季、栄光の開幕投手を務めた男はどのようなシーズンを送ってきたのか。パ・リーグ6球団「開幕投手」の現在地を探る。
※記録は8月12日現在

オリックス・バファローズ



 エースの安定感は健在だ。今季、2年連続で開幕投手を務めた山本由伸は8回無失点で、チームを12年ぶりの開幕勝利に導くと、前半戦で2ケタ10勝をマーク。5月3日のソフトバンク戦(PayPayドーム)では自己ワーストの7失点(自責6)を喫するなど、痛打を浴びる日もあったとはいえ、リーグトップの防御率1.70が物語るように、2登板連続での大崩れはなし。後半戦は2度の先発し、いずれも勝ち投手の権利を得て降板も救援陣が逆転されてシーズン勝利数は10のままだが、さすがの安定感を見せつけている。とはいえ、混戦を極めるパ・リーグ。リーグ連覇を果たすには、エースが登板した試合は勝利をつかみたい。最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率と各部門のトップに立つ右腕が、目指すのはチームの勝利であり、リーグの頂点だ。

埼玉西武ライオンズ



 開幕のオリックス戦(ベルーナ)で山本由伸に投げ負けた高橋光成。その後も先発ローテーションを外れることなく投げ続けているが、成績自体は6勝7敗と勝ち星が伸びていない。しかし、リーグ2位の127回2/3を投げ、クオリティースタート(6投球回以上で自責3以下)も同2位の14、さらに防御率も同3位の2.40と内容は悪くない。打線の援護が少なく勝ち星が稼げていないのが現状だ。8月9日の日本ハム戦(札幌ドーム)では8回2失点で降板し、9回表に打線が1点を勝ち越しながら、9回裏に増田達至近藤健介にサヨナラ3ランを浴びるなどツキもない。だが、エースは言い訳をしない。自身の力で勝利をもぎ取るだけだ。

東北楽天ゴールデンイーグルス



 開幕戦では6回途中3失点で黒星を喫したものの、6月には自身4連勝をマークするなど、好調な時期もあった。だが、7月5日のソフトバンク戦(弘前)で敗戦投手になると、そこから悪夢の5連敗で、6勝7敗と黒星が先行する結果に。「毎試合打たれてしまい申し訳ない」と右腕はうなだれた。投手陣では涌井秀章が負傷離脱中で、瀧中瞭太も新型コロナ陽性判定で登録抹消となった。熾烈な上位争いが続くパ・リーグ。まだ優勝を狙える位置にとどまっているだけに、エースの復調が待たれる。

千葉ロッテマリーンズ



 佐々木朗希を筆頭に、若手投手陣が芽を出す中で、先発の軸の期待を寄せられたのは石川歩だ。2年ぶりの開幕投手に指名した理由を「重圧をはじき返せるのが石川だと思う」と井口資仁監督が明かしたことこそが期待の表れ。それに応えるように、開幕戦は7回無失点の好投で勝利を呼び込むと、5月を終えて4勝を挙げて防御率1点台と安定した投球を続けた。だが、腰痛で6月中旬から約1カ月間離脱。先発ローテーションの軸がままならない中、昨季2ケタ勝利を挙げた小島和哉、ベテラン右腕・美馬学が勝負どころで失点を喫して勝ち切れず、チームも浮上し切れなかった。7月に復帰以降、石川はしっかりゲームメーク。後半戦は負けが込み、チームが苦しいときだからこそ、ベテラン右腕の力が求められる。

福岡ソフトバンクホークス


ソフトバンク・千賀滉大


『圧倒的なキャリアハイ』を目標に掲げ、3年ぶり3度目となる開幕投手を務めた千賀滉大。勝ち星こそつかなかったが7回1失点でスタートすると、その開幕戦から6試合は、クオリティースタート(6投球回以上で自責3以下)率どころか、ハイクオリティースタート(7投球回以上で自責2以下)率100パーセントという圧巻の投球を見せた。5月13日の日本ハム戦(札幌ドーム)では自己最速を更新する164キロをマーク。ただ、キャリアを振り返ってみても、シーズン通じての活躍があまりない千賀。今季も連敗を喫すると、右ヒジの張りで出場選手登録を抹消された。戻ってきての4連勝などはさすがエースだが、それだけに勝負の8月に入るタイミングで新型コロナ感染での離脱は痛過ぎる。練習復帰は最短でも8月15日。そこから計算しても復帰は9月以降。そこまでチームは踏ん張るしかない。

北海道日本ハムファイターズ


日本ハム・北山亘基


 オープン戦での驚異の奪三振率とマウンド度胸、球質の良さを評価し、BIGBOSSが開幕投手に抜てきしたのはドラフト8位ルーキーの北山亘基だった。その後は抑えを務めて順調にセーブを積み上げていったが、交流戦のヤクルト戦では連夜のサヨナラ本塁打を浴びる悪夢も経験。「越えていけ」と指揮官に送り出された3連投のマウンドで全球ストレート勝負を挑み苦境を乗り越えた。交流戦以降5点台まで落ち込んだ防御率も、7月以降は復調して3点台まで上昇。中継ぎを含めチーム最多の41試合に登板しリリーバーとして重要な局面を任されている。1年目からこれほどの経験を積めるルーキーも多くない。向上心あふれる「教授」はすべてを糧にしてさらなる飛躍を遂げる。

写真=BBM
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