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最下位低迷の中日に光 他球団から「佐々木朗希に匹敵する能力」と評された右腕は

 

すごみを増していく投球


高卒2年目の高橋宏。中日のエースになれる逸材だ


 最下位に低迷する中日だが、スケールの大きい投球で衝撃を与えている投手がいる。高卒2年目の20歳右腕・高橋宏斗だ。

 他球団の首脳陣は「実際に対戦して想像以上だったね。直球が球速以上に速く感じるし、スプリットもキレがあるので状態が良いときはバットに当てることさえも難しい。中日は大野雄大柳裕也と左右の両エースがいるけど、高橋宏も攻略に頭を悩ませる投手。能力の高さはロッテ佐々木朗希に匹敵する。球の精度を磨けば球界を代表するエースになれると思う」と太鼓判を押す。

 登板を重ねるたびにすごみが増していく。今月17日の広島戦(マツダ広島)で7回2安打無失点の快投。初回の先頭打者・堂林翔太から4者連続三振を奪うなど計10奪三振とキリキリ舞いだった。最速155キロの直球にスプリットも冴えわたり、4回まで走者を1人も出さない。球界屈指のミート能力を誇る秋山翔吾を3打席連続三振に仕留めた。4回二死で秋山から奪った三振でシーズン100奪三振に到達。高卒で登板14試合目での到達は、楽天田中将大の16試合目、元西武松坂大輔の18試合目、エンゼルス・大谷翔平(当時日本ハム)の22試合目を上回るハイペースだ。

 規定投球回数に到達していないが、104奪三振はリーグ4位タイ。奪三振率10.97と「ドクターK」として覚醒している。三振を築くだけでなく、制球力が上がっているから安定した投球を続けられる。7月18日のDeNA戦(バンテリン)から続いている連続無失点も24回2/3に。14試合登板で4勝と打線の援護に恵まれない状況が多いが、防御率2.32は十分に合格点をつけられる。

「真っすぐに力が出てきた」


 中京大中京高で3年夏に愛知県独自大会で優勝するなどエースとして活躍。「高校No.1投手」と評されて地元・中日にドラフト1位で入団したが、新人の昨季はウエスタン・リーグで14試合登板して0勝5敗、防御率7.01。一軍登板機会はなく、プロの高い壁を味わう結果となった。

 高橋宏は今年5月に週刊ベースボールのインタビューで2年目の目標について聞かれ、「最低限でも開幕ローテーション入り。それは必ずと思っていました。昨年は一軍で1試合も投げていない投手の目標としては、かなりレベルの高い目標だとは思いました。そのためには相当なことをしなければいけないわけですが、そういったところから自分の意識を変えていこう、高めていこうと」と振り返っている。トレーニング方法を見つめ直し、チームメートの福谷浩司と自主トレを一緒にすることで多くのことを学んだ。

奪三振能力の高いピッチングは魅力的だ


 さらに、「(プレートの位置を)三塁側から一塁側に変えました。三塁側から投げるときに右打者のインコースに入っていく角度というのが自分にはあまりなかったので、それを一塁側にすることで改善できましたし、また視野も違ってきました。基本的にはクロスのラインで自分は投げているのですが、一塁側にすることで左打者の外のラインも見えるようになって、それが今の投球に生きていると思います」と明かしている。

 オープン戦で好投を続けて首脳陣にアピールし、開幕一軍で先発ローテーション入り。成長段階の体に負担をかけさせないために、中10日以上の登板間隔を空けている。昨年と比べて成長した点について、「真っすぐに力が出てきたというのは感じています。自分から真っすぐをとったら何も残らない投手ですから、下(二軍)にいるときも真っすぐだけは磨かなければと思っていました。真っすぐがあれば変化球も生きてくるので」と手応えを口にしている。

 これからさらに進化を遂げるだろう。高橋宏の投球に要注目だ。

写真=BBM
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