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戸郷翔征、大貫晋一、青柳晃洋、森下暢仁…セ・リーグ6球団 「最多QS投手」は誰?

 

先発投手が6投球回以上で自責3以下に抑えたときにマークされるクオリティースタート(QS)。安定して試合をつくる先発投手を評価する一つの指標だが、果たしてチームで最もQSを挙げているのは誰か。セ・リーグ6球団で「最多QS投手」をピックアップする。
※記録は8月22日現在

読売ジャイアンツ



 戸郷翔征が新たなチームのエースとして躍動している。春季キャンプ後には不振で二軍調整を命じられ、開幕直前に復調して先発ローテーションに滑り込むというスタートだったが、始まってみればコンスタントに白星を積み上げて前半戦だけで9勝。これまで2年続けて9勝止まりと鬼門となっていた2ケタ勝利も、8月10日の中日戦(バンテリン)で8回1失点、138球の粘投で早々とクリアした。ここまで19試合に先発してリーグ3位タイの15試合でQSをマーク。2ケタ10勝も通過点に、シーズン通しての活躍でさらに勝利を積み上げ、チームをAクラスへと導きたい。

横浜DeNAベイスターズ



 開幕から先発ローテーションを守り続けている唯一の投手が、チーム最多の11試合でQSをマークしている。大貫晋一は開幕2戦目の3月26日の広島戦(横浜)こそ5回途中7失点と崩れたが、以降の登板はすべて5回以上を投げ自責点を3点以内に抑え、安定している。それでも、QSの条件である6回を投げ切れなかった試合も多い。先発として十分な成績を残してはいるが本人としても、球数100球弱でマウンドを譲るのは、悔しさが残るだろう。特に今年は、同学年で同じ首都大学野球出身の阪神青柳晃洋(帝京大)がエースとして投球回数を重ねて結果を残している。ライバルの活躍も発奮材料に、左腕がそろう先発陣の中で28歳の右腕が真のエースへのステップを踏んでいる。

阪神タイガース


阪神・西勇輝[左]、青柳晃洋


 20試合で16試合、18試合で16試合のQSという2人の投手が阪神の先発陣を支えている。前者は9勝7敗と貯金2のみだが防御率2.04と安定感のある投球で2完封の西勇輝だ。当然のようにチーム最多のイニング数132回1/3を投げてこの数字だから、エースの働きと言ってもいいが、それを上回る成績を残しているのが青柳晃洋だ。18試合で4完投2完封、12勝2敗でQSが16試合という文句なしのエース級の成績。しかも防御率1.55と安定感も抜群だ。阪神の先発陣はこの2人だけでなく伊藤将司も14試合の先発で11試合のQS。才木浩人も5試合の先発で4試合のQSをマークするなど、安定感のある投手陣が多い。その先発陣をけん引し続けるのが西勇と青柳だ。

東京ヤクルトスワローズ



 2年連続で開幕投手を務めたのは小川泰弘。大黒柱としてチームを引っ張る活躍が期待されていたが、5勝7敗という数字が示すとおり、調子の波が激しいシーズンを過ごしている。ここまで19試合に登板して、防御率2.91はリーグ6位。チーム最多の11試合でQS、内HQS(ハイクオリティースタート=7投球回以上で自責2以下)を8試合記録しているものの、6月28日の広島戦(マツダ広島)で5勝目を挙げて以降、2カ月近く勝ち星から遠ざかっている。7月、8月とチームが負け越している中で、エースとして状況を好転させる投球が見せられていない。3年連続防御率4点台という成績を踏まえれば、今季の数字は向上しているが、10年目を迎える右腕に求められるものは防御率だけではない。残り試合、優勝を大きく引き寄せる投球に期待したい。

広島東洋カープ


広島・森下暢仁


 3年目のシーズンを迎えるにあたり、「自分がチームの、ピッチャー陣の先頭に立って」と語っていた森下暢仁。その言葉どおり、しっかり試合をつくって、チームを、ピッチャー陣をけん引している。ここまで21試合に先発登板する右腕は、15試合でQSを達成。特に、ここ2試合はQSどころか2試合連続完封中。新型コロナ感染者も出して中継ぎ陣が苦しい中、走者を背負いながらも本塁は踏ませず1人で投げ抜く姿は、頼もしいことこの上ない。しかも、お立ち台では笑顔がはじけ、そのギャップでファンを魅了。いまやエースと呼ぶにふさわしい活躍を見せる右腕。「長いイニングを投げられれば一番いいですし、ゼロを並べることが最高の形」。このまま最後まで先頭に立って、チームを引っ張っていく。

中日ドラゴンズ


中日・柳裕也[左]、大野雄大


 左右のエース2人が13度のQSで並ぶ。ただし、大野雄大は18試合、柳裕也は19試合の登板のため、QS率では大野雄が上回る。2年ぶり4度目の開幕投手を任された大野雄大だが、ここまで5勝7敗と負けが先行している。ただし、防御率2.55は決して悪くはない。5月6日の阪神戦(バンテリン)では10回二死までパーフェクト投球を演じて存在感を見せつけた。一方の柳もまた7勝9敗と負け越し、防御率は3.65。シーズン序盤は安定感があったが、直近4試合は初回に失点している。打線の援護が少ないのは事実だが、2人のエースに求められているのは試合をつくることではなく、チームに勝利を運ぶこと。残り試合はそこを徹底してもらいたい。

写真=BBM
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