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プロ野球はみだし録

三重はGT「伝統の一戦」発祥の地。岐阜には2022年に新エース誕生へ?【プロ野球はみだし録】

 

甲子園のエース≒プロの県勢エース


根尾は大阪桐蔭高からプロ入りしたが出身は岐阜だ


 2022年になっても「伝統の一戦」と形容される巨人阪神の対決。その起源はプロ野球が始まった1936年にさかのぼるのだが、このとき巨人のエースだった沢村栄治、翌37年にタイガース(阪神)のエースとして巨人、そして沢村に牙をむいた西村幸生は、ともに三重県の出身だ。沢村は京都商へ進んだものの、7歳の年長となる西村は地元の宇治山田中(現在は宇治山田高)から愛知電気鉄道、関大を経てプロへ進んだ。

 両雄とも戦火に消えたが、その後も三重からは好投手が出ている。沢村と同じ経過をたどって巨人で活躍したのが中尾碩志(輝三)。阪神では和歌山の新宮高から藪恵壹が活躍した。西村の宇治山田高ではセットアッパーの倉野信次(ソフトバンク)が貴重な存在だが、全体的にリリーバーが多く、鈴鹿高の豊田清(西武ほか)、明野高の小山伸一郎(楽天ほか)、海星高の岡本篤志(西武)、桑原謙太朗(阪神ほか)ら。現役にもリリーバーには稲生高の谷元圭介(中日)がいるが、スターターには菰野高の西勇輝が阪神へ移籍してプロで西村の後輩に。愛知の愛工大名電高を出た東克樹(DeNA)も三重の出身だ。

 対照的に、V9巨人の森昌彦(祇晶)やヤクルトで現役の嶋基宏など、バッテリーを組む捕手が充実している印象があるのが岐阜県だ。岐阜の出身で通算最多勝は多治見工高の梶本隆夫(阪急、現在のオリックス)が挙げた254勝となる。梶本の先輩には、わずか71球の完封勝利という離れ業を見せた同じく阪急の柴田英治、後輩には63年に19勝の河村保彦(中日)もいた。

 岐阜第一高には70年に近鉄で完全試合を達成した佐々木宏一郎がいるが、この70年に甲子園のエースだった湯口敏彦はドラフト1位で巨人へ入団も在籍中に急逝。一方、ほかの府県の高校からプロへ進んだ投手も多く、大阪のPL学園高から金石昭人(広島ほか)、長野の信州工高から小池秀郎(近鉄ほか)、愛知の東邦高からは朝倉健太(中日)がプロで活躍。現役では大阪桐蔭高から打者として中日で朝倉の後輩となり、この2022年6月からは投手として新たな“県勢エース”を目指しているのが根尾昂だ。

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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