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投手王国の阪神 復活待たれる「球界No.1左腕になる可能性秘めた男」は

 

充実している先発陣


潜在能力は抜群の左腕・高橋


 苦しい戦いが続いている阪神だが、投手陣は奮闘していると言えるだろう。

 エース・青柳晃洋は12勝3敗、防御率1.90と投手タイトルを総ナメにする活躍を見せている。西勇輝も9勝7敗、防御率2.40、伊藤将司も規定投球回数には達していないが、8勝5敗、防御率2.11と安定感抜群だ。さらに、ガンケルも5勝5敗、防御率2.73とゲームメーク能力に長けている。藤浪晋太郎は8月20日の巨人戦(東京ドーム)で7回1失点の快投で今季初勝利。西純矢も25日のDeNA戦(京セラドーム)で6回無失点と好投して5勝目をマーク。DeNAの連勝を8で止めた。

度重なる故障で真価を発揮できず


 質量ともに12球団屈指の陣容を誇る投手陣だが、阪神ファンは快速球左腕がマウンドに戻っている日を心待ちにしている。トミー・ジョン手術からの復帰を目指す高橋遥人だ。

 手元でホップするような軌道の直球に他球団の主力打者たちが舌を巻く。落差の大きいツーシーム、鋭く横滑りするカットボール、さらにスライダー、カーブ、チェンジアップを操る。2019年には109回2/3と規定投球回数に届かなかったが、リーグ8位の125奪三振をマーク。三振奪取能力が非常に高く、制球力も改善されている。その潜在能力の高さを持ってすれば昨年までの4年間で通算14勝は少なく感じる。

 一軍で稼働できなかった大きな要因が度重なる故障だった。1年目の18年は6月中旬から左肩のコンディション不良で登板できず2勝止まり。19年は3勝9敗1ホールド、防御率3.78と大きく負け越したが、打線の援護に恵まれない登板が多く内容は決して悪くなかった。20年は左肩の不調で出遅れ、8月以降に戦列に復帰すると5勝4敗、防御率2.49をマーク。昨年は先発の柱として期待されていたが、2月の春季キャンプ中に上肢のコンディショニング不良で離脱する。

 復帰したのは7カ月後の9月。チームがヤクルトと優勝争いを繰り広げる中、圧巻の投球を見せる。9月25日の巨人戦(東京ドーム)で13三振を奪いプロ初完封勝利を挙げると、次回登板となった10月2日の中日戦(甲子園)でも2試合連続完封勝利。スタミナも十分で試合終盤になっても球威が落ちない。うなりを上げる直球に阪神ファンは酔いしれた。一軍で稼働したのは1カ月半と短期間だったが、4勝2敗、防御率1.65の好成績を記録した。

 今年にかける思いは誰よりも強かったが、再び故障に襲われる。2月の春季キャンプ後に左ヒジに違和感を覚えて状態が良くならない。4月26日に「左ヒジ内側側副靱帯再建術」を受けたことを発表。復帰には1年半ほどかかるため、今季中の復帰は絶望となった。

才木、島本のように


 長いリハビリ生活は苦しい時もあるだろう。だが、励みになる存在もいる。トミー・ジョン手術を受けて一軍の舞台で復活した才木浩人島本浩也だ。才木は7月3日の中日戦(バンテリン)で19年5月1日の広島戦以来1159日ぶりの白星をマーク。試合後に涙を流したヒーローインタビューが大きな反響を呼んだ。島本も2年ぶりに一軍のマウンドに帰ってくると、8月4日の巨人戦(東京ドーム)から6試合連続無失点と好投を続けている。

 スポーツ紙記者は「才木も島本も故障の不安がなくなり、腕が振れている。高橋も万全の状態で復帰したらさらに進化が期待できる。故障がなく1年間投げられれば、間違いなく結果を残す投手。球界No.1左腕になる可能性も秘めています」と太鼓判を押す。

 焦らず、地道にコツコツと。光は必ず見える。一軍のマウンドで躍動する姿が楽しみだ。

写真=BBM
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