残り試合が30試合を切る球団も多く、最終盤の戦いに突入しているペナントレース。優勝争い、クライマックスシリーズ(CS)進出争いも激化していくが、各球団で見逃せない選手は誰か。パ・リーグ6球団のシーズン最終盤「注目選手」をピックアップする。 ※記録は8月26日現在 福岡ソフトバンクホークス
“ちびっ子軍団”が躍動中だ。
柳田悠岐ら主力選手の多くが新型コロナにより離脱する中、優勝に向けてはこれまで以上に厳しい戦いになると思われたのだが……。8月23日の
楽天戦(楽天生命パーク)からスタメンに名を連ねる
谷川原健太、増田珠、
野村大樹の勢いが止まらない。スタメンに抜てきされた同日は、谷川原が長打4本4打点、増田が猛打賞、野村大は1安打ながら2打点と結果を残しての滑り出し。26日までの4試合では、谷川原が打率.294(17打数5安打)、増田が打率.429(14打数6安打)、野村大が打率.368(19打数7安打)をマークしている。「思い切って」(谷川原)、「気合いを入れて」(増田)、「我武者羅に」(野村大)。主力選手不在をマイナスとは言わせない。
オリックス・バファローズ
中川圭太が得点源として期待される。日替わりオーダーを組む中で、二、三、四番とあらゆる打順を任せられている背番号67。打順は変わっても、求められる役割は明確だ。二、三番と
吉田正尚の前に座ればチャンスメーク、あとを打つ四番に座ればポイントゲッターと、球界屈指のヒットメーカー・吉田正との相乗効果で得点を奪う。内角球は腕をたたんで引っ張り、外角球は巧みに逆方向へ。持ち前の勝負強さに、長打力も加わりつつあり、より頼もしい存在になった。プロ4年目にして初の規定打席到達と打率3割も射程圏内だ。中軸に座る男のバットから快音が響けば、逆転でのリーグ連覇は近づいてくる。
埼玉西武ライオンズ
逆転負けのきっかけをつくる登板となってしまった。8月25日の
ロッテ戦(ZOZOマリン)、2点リードの8回裏に登板した水上由伸だったが、3安打2死球で2失点を喫して同点とされてしまった。9回は
増田達至がサヨナラ打を浴びてチームは連敗。優勝争いが激しさを増していく中で痛い敗戦となってしまった。今季は開幕から勝ちパターンで登板。ここまでリーグ最多の52試合に登板して同2位の28ホールドをマーク。昨季、育成で入団して5月に支配下昇格を果たした2年目右腕。シーズンを通して戦って経験はなく、疲労度も相当なものだろう。しかし、今季は投手陣、特にリリーフの力でチームは勝利を積み重ねてきた。混パを勝ち抜くには背番号69の力が必要なのは間違いない。
東北楽天ゴールデンイーグルス
通算250号目のメモリアルアーチを、「
佐々木朗希撃ち」で成し遂げた。8月19日のロッテ戦(楽天生命パーク)の5回二死。152キロの速球をとらえると、打球は右翼席に吸い込まれていった。今季はここまでリーグ2位の20本塁打&66打点をマークしているが、トップの
山川穂高には大きく水をあけられている。7月には5本塁打を放ったが、8月はここまで2本塁打。なかなか波に乗れないが、チームを支える主砲であることは確かだ。優勝を争うためには、浅村の打棒発揮が不可欠となる。
千葉ロッテマリーンズ
バットで存在感を示しているのが8月19日から四番に座る山口航輝だ。高卒4年目、期待の長距離砲はシーズン30本塁打の目標を掲げてシーズンイン。だが、開幕スタメンを逃す悔しいスタートに。それでも今季初本塁打は開幕2戦目となる3月27日の楽天戦(楽天生命パーク)で代打での3ランと勝負強さを示してきた。ファームで調整する時期も経て徐々に本領を発揮。昨季に並ぶ9本塁打を記録している。
ブランドン・レアード、
レオネス・マーティンの不振で打線が低迷して苦戦を強いられている今季。22歳の大砲が長打力と勝負強さを発揮して四番に定着すれば、チームは自ずと活気づく。
北海道日本ハムファイターズ
最下位から浮上できず低迷が続くチームの中で、最終盤の奮闘に最も期待したいのはやはり、頼りになる男・近藤健介だ。右ワキ腹肉離れにより5月上旬から約2カ月間離脱したが、復帰以降の安定感はさすが。7月は打率.312、13打点、得点圏打率.556と勝利に結びつく打撃でチームも11勝11敗と健闘した。8月に入っても近藤自身の好調は続き、ここまで月間打率.317、出塁率.427、4本塁打を放っている。そのうちの1本は8月9日の誕生日に放った劇的サヨナラ3ラン。チャンスメーカーにもポイントゲッターにもなれる近藤の出来は勝敗に直結する。ラストイヤーを迎える札幌ドーム。球界屈指の好打者のバットで、ファンへ1勝でも多く勝ち星を届けたい。
写真=BBM