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侍ジャパンU-18代表

先輩から後輩へと引き継がれている早大のシキタリ。「伝統の力」に学んだ侍ジャパンU-18代表

 

侍ジャパンU-18代表は9月3日、早大と練習試合を行い、0対5で敗退。国内最後の実戦の場において、得たものは多かった


 控え選手の顔、動きを見れば、その野球部の体質が見えてくる。ユニフォームを着てプレーする選手が、必死になるのは当たり前こと。雑用と真摯に向き合い、人のために汗を流し、全力を尽くせる部員こそ、評価に値する。

 侍ジャパンU-18代表は9月3日、早大と練習試合を行った。結果は0対5の敗退も、高校球児にとっては、大学レベルを体感する勉強の場になった。ゲーム後は過去に侍ジャパンU-18代表でプレーした早大の主将・中川卓也(4年・大阪桐蔭高)、副将・蛭間拓哉(4年・浦和学院高)、熊田任洋(3年・東邦高)、飯塚脩人(3年・習志野高)が高校生にエールを送り、激励の言葉を述べた(写真)。

「日本の強みは、粘り強さやチーム力。山田くんを中心にミーティングを重ねてチーム一丸となって、世界一をとってきてください!!」(中川主将)

 同5日にU-18W杯(アメリカ・フロリダ)へ向け出発する高校日本代表チームにとって、先輩からの声は力になったはず。だが、それ以上に刺激になったと思われる光景があった。

 早稲田大学野球部の活動拠点である安部球場は、早朝からピリッとした空気に包まれていた。高校日本代表チームを出迎えるにあたって、万全の準備。特にグラウンド整備の俊敏な動きに、目を奪われた。トンボを持った部員は掛け声と同時に、猛ダッシュで各自のポジションに散っていく。手際よく、土をならし、ラインを引いてグラウンドから出る。

 試合中はファウルボールらを回収するボールボーイが、持ち場まで全力疾走。決して、この日に合わせてきたのではなく、早大では日常の行動だ。ただ、いつも以上に精度を上げて、一つひとつの仕事をこなしていた。見ていて、気持ち良いものである。

 先輩から後輩へと引き継がれている早大のシキタリ。現在は全面人工芝だが、かつては全面土であり、下級生にとって毎日のグラウンド整備とは、一つの修練の場であるのだ。

 こうしたキビキビとした行動が出場メンバーにも乗り移ったのか、ゲームも非常に良い流れで進んでいった。攻守にわたって個々が持ち味を発揮。控え選手の高いモチベーションが、実戦ムードを引き上げているようだった。

 あのキレッキレの動きを見て、何も感じない人はいない。大学生になっても、あのレベルまで追求する。侍ジャパンU-18代表は1901(明治34)年創部の早稲田大学野球部の「伝統の力」に触れ、学んだはずである。

文・写真=日本雑誌協会代表取材
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