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侍ジャパンU-18代表

打者の出番の可能性も…注目されるU-18W杯での山田陽翔の起用法。「大谷さんに少しでも近づけるように」

 

当初は投手に専念させる意向も


侍ジャパンU-18代表の主将・山田は9月3日、早大との練習試合で代打で登場し、左飛だった


 U-18W杯(9月9〜18日、アメリカ・フロリダ)に出場する侍ジャパンU-18代表を指揮する馬淵史郎監督(明徳義塾高)は、主将・山田陽翔(近江高3年)の起用法の変更を示唆した。

 8月28日、チーム結成の段階ではゲームを締めるストッパーを明言。打席には立たせず、投手に専念させる意向を明らかにしていた。

 ところが、状況が変わった。内野手兼投手の下関国際高・仲井慎(3年)が体調不良により、8月31日、代表チームから外れることが発表された。代替メンバーとして、左打者の山梨学院・鈴木斗偉(3年)が追加招集。馬淵監督が描いていた戦力構想を、方針転換しなければならないシチュエーションとなった。

「(右打者の仲井が抜け)右打者の代打要員が、山田と渡部(海、智弁和歌山高3年)しかいない。あとは左。山田には一昨日(9月1日)から素振りをしておくように言いました」

 国内合宿の実戦最終戦となった9月3日、早大との練習試合では7回表、山田は代打で登場。馬淵監督が「金属なら入っていた」と、やや詰まりながらも左翼への鋭い当たりを放った(結果は左飛)。木製バットの対応も問題なさそうではあるが、使いどころが非常に難しいのが現状だ。

 今大会は7イニング制。馬淵監督は「山田よりも、良い投手はいない。だからこそ、一番後ろに置いておきたい」と、あくまでも終盤、リードした場面で「守護神・山田」としてつぎ込みたい構え。事実上、ゲーム途中に代打で起用することは考えづらい部分はある。試合展開、相手チームなど、開幕してみないと分からない不確定要素も多い。順位が決まるスーパーラウンド、また、メダルがかかった土壇場では投手での先発もあるという。

「抑え、抑えで49球以内であれば、連投もできるわけですから、その先を気にしなくていい最終戦に先発させる可能性もある(50〜104球は中1日、105球以上は中4日の球数制限)。もしくは3回までは複数投手でつなぎ、4回から山田という展開もあるかもしれない」

「切り札」であることは間違いないが、馬淵監督は今合宿期間中から一貫として、甲子園からの右ヒジの疲労を考慮している。山田は投げて調整したいタイプではあるが、馬淵監督がストップをかけている状況が続いてきた。

「甲子園では打って投げて、気力でやっていた部分があるから、負担はかけられない」

高校日本代表の「顔」


 言うまでもなく、今年の高校日本代表の「顔」は、山田であることは間違いない。主将として決意を語る。

「馬淵監督が目指しているのは、1点を守り切る野球。後半に逃げ切れるように、自分も任されたイニングを抑えていきたいです」

 打者としても準備することついては、やりがいを感じている。

「壮行試合後に、言われました。当初は疲労を考えて、投手に集中させる、とは言われたんですけど、両方やらせてもらえるのであれば、自分の可能性としては広がる。二刀流のチャレンジができるのは、大谷(翔平、エンゼルス)さんを尊敬しているので、少しでも近づけるように、できる範囲で頑張っていきたいと思います。大谷さんの映像は毎日チェックするどころか、携帯を開いたら出てきます(笑)。大谷さんは神様です。和製ベーブルースです!!」

 チームは5日に出国。戦いの地・アメリカへ向かう。主将としての意気込みを語った。

「自分はキャプテンをやっていなかったら、流される部分があるので(苦笑)、役職をいただいたほうが良かったと思います。コミュニケーションが取れたチームで、雰囲気も良いです。まとめやすいところはある。接戦、劣勢の場面ではチームが束になるのが大事になってくるので、必ず、粘り強いチームになる」

 8月31日、大学日本代表との壮行試合(ZOZOマリン)では8回裏、山田が救援マウンドに上がると、場内のムードは一気に変わった(1回無失点、3奪三振)。今夏の甲子園でも投打におけるひたむきなプレーから、世界観をつくり上げていた。一つひとつのコメントを聞いていてもやはり、特別なオーラがある。主将・山田がけん引し、アメリカで初の世界一を目指す高校日本代表の戦いに注目だ。

文・写真=日本雑誌協会代表取材
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