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「目の前の1勝にこだわる」都市対抗本大会出場を逃した悔しさを日本選手権予選にぶつけるJFE東日本

 

積んできた「勝つための練習」


JFE東日本の左腕・宇賀神はJR東日本との日本選手権関東最終予選[9月6日]で先発し、6回途中1失点で勝利投手となった


 2019年の都市対抗覇者・JFE東日本は今夏、都市対抗南関東二次予選で敗退し、本大会への出場を逃した。

 7月は猛暑の中、活動拠点のJFE犬成球場で強化練習を行った。大卒2年目の左腕・宇賀神陸玖(富士大)は「今までにない走り込み。『勝つための練習』を積んできました」と、真っ黒に日焼けした顔で振り返る。

 9月6日、日本選手権関東最終予選(大田スタジアム)で、都市対抗8強のJR東日本と対戦した。負ければ敗退、勝てば8日、SUBARUとの代表決定戦。あとがないこの大一番で先発を任された宇賀神は、5回2/3を1失点の好投を見せた。立ち上がりの1回表は制球が定まらず、先制点を許し、なおも、無死一、二塁のピンチを背負ったが、後続2人を併殺打と一ゴロで切り抜けたのが大きかった。

「都市対抗予選で敗退してから、この日に合わせて、準備してきました。(主戦左腕の)山田(啓太、東海大)だけではない、というところを見せたかった」と、気持ち良さそうに汗をぬぐった。宇賀神はキレのあるストレートにカーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップと多彩な変化球で2回以降は立ち直り、相手打線に的を絞らせなった。チームは1回裏に追い付くと、2回裏に2点を勝ち越し。6回途中に右腕・本定史好(上武大)が好救援し、7回からは山田が3イニングを投げ、JR東日本の反撃をしのいだ(6対3)。

 就任6年目の落合成紀監督(東海大)は、宇賀神について「すべての球種でストライクが取れる。気持ちを前に出して、悪いになりも抑えてくれた」と目を細めた。

 負ければ終わりの一戦を、こう評価した。

「野球人としてのプライド。このままでは、終われない。その思いが、前面に出た。相手よりも、1点でも多く取ればいい。100点のゲームです」

 8日には、運命の代表決定戦を控える。

 落合監督が「気持ちで負けないように、明日、しっかり準備して臨みます」と言えば、宇賀神は「SUBARUは今年4月のJABA日立大会で負けている相手(0対5)なので、借りを返したい。自分たちの目標は日本一ですが、目の前の1勝にこだわっていきたい」と、次戦もスタンバイする構えを見せた。

 JFE東日本は都市対抗出場を逃した悔しさを、この日本選手権予選にすべてぶつける。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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