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高橋宏斗、佐藤輝明、栗林良吏、木澤尚文…セ・リーグ6球団「2021年ドラフト1位入団」の現在地は?

 

シーズン最終盤を迎えているが、昨季のドライチ選手は今季、どのようなシーズンを送っているのか。2年目のジンクスに陥っているのか、ステップアップを果たしているのか。セ・リーグ6球団の「2021年ドラフト1位入団」の現在地を見ていこう。
※記録は9月9日現在

中日ドラゴンズ



 ドラフト直前までトヨタ自動車の右腕・栗林良吏の1位指名が濃厚だったが、中京大中京高の高橋宏斗がプロ志望届を出したことで方針転換。即戦力より将来性を考えて高橋宏を単独指名で獲得した。その高橋宏の1年目は一軍登板がなく、ファームでも打ち込まれて未勝利。しかし2年目の今季は大きな飛躍のシーズンとなっている。ここまで先発で16試合に登板し、5勝5敗の防御率2.49。奪三振数は118と投球回の97回2/3を大きく上回っている。後半戦の開幕投手にも指名され、大野雄大柳裕也小笠原慎之介の三本柱をしのぐ勢いだ。昨年は広島に入団した栗林が新人王の大活躍。栗林を獲っていればの声もあったが、今はそんな声は聞かれない。158キロは日本人投手の球団最速記録。誰もが将来のエースとして期待している。

阪神タイガース



 昨季、阪神の新人本塁打記録を塗り替える24本塁打を放った佐藤輝明。一方でNPB歴代野手ワーストの54打席連続無安打を喫するなど、安定感には欠けた。しかし、その豪快なスイングはファンを魅了する。今季は開幕から四番を任され、チームの中心選手となった。昨季より三振も減り、勝負強さも見せているが、ムラがあるのも事実。9月に入り2度目の四番降格も味わった。ただ、その存在感と「打つかもしれない」という期待感を十分にファンに抱かせる。ここまで18本塁打を放っているが、残り試合で自己最多の本塁打数を狙っていく。

広島東洋カープ


広島・栗林良吏


 昨季と変わらない場所で、昨季からの進化を見せる。今季も栗林良吏は守護神として広島の9回を守っている。ルーキーイヤー、新記録となる新人の開幕から22試合連続無失点や新人最多タイ記録の37セーブ、セーブシチュエーションでの失敗ゼロなど数々の記録を成し遂げて、最後は新人王に輝いた右腕。今季はシーズン序盤に失敗を味わい、一時は不安定な登板も目立ったが、「前までは大きく足を上げて投げていたのを、ランナーがいなくてもクイックみたいな形であまり足を上げずに」とシーズン途中ながらフォームを修正するなど変化を恐れずに、自らの手で首脳陣の信頼をさらに揺るぎないものにした。ここまで6月30日のヤクルト戦(マツダ広島)から18試合連続無失点中。防御率はリーグでもトップクラスの1.29を誇り、2年連続30セーブも目前に迫っている。逆転Aクラス入りへ、立役者の1人となる。

東京ヤクルトスワローズ


ヤクルト・木澤尚文


 新しい武器を身につけた木澤尚文が充実のシーズンを過ごしている。ルーキーイヤーの昨季は一軍登板なし。「空振りを取れるフォーシームを目指してきたが、バッターに通じなかった」とファームでも22試合で防御率6.07と打ち込まれた。どうすればこの世界で生き残れるか。そこで考えた末にたどり着いたのは新球シュートの習得だった。最速156キロのシュートでファウルを奪い、追い込めばカットボール、スプリットで空振りを奪う。このスタイルが見事にはまり、今季は開幕一軍入りを果たすと、ここまで強力リリーバーの一員としてチームトップタイの48試合に登板。連覇に欠かせない大きな戦力となっている。

横浜DeNAベイスターズ



 もはやチームになくてはならない存在だ。入江大生がリリーフとして新たな居場所を確立している。1年目の昨季は、開幕から先発ローテーション入りも結果を残せず4戦4敗と苦しみ抜いた。さらに8月に右ヒジクリーニング手術を受け、リハビリでシーズンを終えることに。勝負の今季、開幕から中継ぎとして起用されると直球の最速は158キロまで到達し、高い適性を示した。今では三浦大輔監督が重要な場面でも自信を持って送り出すほどの存在へと成長を遂げた。後半戦に入ってからに限ると14試合登板でわずか2失点、防御率1.23と圧倒的で、シーズン通しての防御率もついに2点台へ突入。横浜が生んだ「炎のセットアッパー」が進化を続けている。

読売ジャイアンツ



 3試合の登板に終わり「悔しさが多い」と振り返るルーキーイヤーを経て、今は「8回の男」に定着できるかどうかの瀬戸際にいる平内龍太。調子の良い投手からつぎ込まれる傾向にある継投策の中で抑えの大勢につなぐ役割を託されており、いまだ不安定さはぬぐえないながらも原辰徳監督は辛抱強く起用を続けている。9月8日のDeNA戦(東京ドーム)でも6対4と2点リードの8回にマウンドへ上がり、1イニングで1失点。勝利に貢献したが、指揮官は「8回は一番難しい。そこを任せられたのは、戦いの中でどう伸びていってくれるかということ。勝ち越されないでよかったと思っているようでは、もっと大志を抱いてほしい」と手厳しい。「愛のムチ」に応えることができるか、真価が試されている。

写真=BBM
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