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打撃好調の巨人・坂本勇人 コンバート案も「日本一の遊撃手」の指摘が

 

通算177度目の猛打賞


巨人打線をけん引する坂本


 主将が活躍するとチームも勢いづく。巨人・坂本勇人が存在感を示したのが、「二番・遊撃」でスタメン出場した9月11日の広島戦(マツダ広島)だった。

 初回に先発右腕・遠藤淳志のカーブを左前に引っ張り、三番・丸佳浩の先制2ランを呼び込む。5回は相手左腕・玉村昇悟のスライダーを中前へ。6回も玉村のチェンジアップを左前にはじき返す6点目の適時打で勝負を決定づけた。通算177度目の猛打賞で、福本豊(阪急)、松井稼頭央(西武)が持つ歴代5位にあと1に。他球団のスコアラーは「坂本が打線にいるとのといないのでは、巨人打線の勢いがまったく変わってくる。個人的には二番に入られるのが嫌ですね。状況判断に応じた打撃ができるし、チャンスメークだけでなく一発の怖さがある。遊撃の守備も安定感がある。攻守で代わる選手はなかなかいないでしょう」と分析する。

 主力として長年活躍してきた坂本だが、今季は試練の年になった。開幕前に左脇腹、5月に右ヒザ痛で戦列を離れ、7月も腰痛で登録抹消に。坂本不在のチームは優勝争いから脱落し、借金生活に。守備の負担が大きい坂本についても、他のポジションへのコンバート案が報じられるようになった。

遊撃がハマるチーム事情


 ただ、坂本に代わる遊撃は簡単に出てくるわけではない。高卒2年目の中山礼都が頭角を現したが、現在の坂本と比べるのは酷だ。多少の失敗に目をつむり、スタメンで起用しなければ一本立ちしないだろう。坂本は33歳とベテランの域に入っている。ほかのポジションにコンバートした方が選手寿命は延びるが、遊撃のままのほうがピタリとハマるというチーム事情もある。

 宮本慎也(元ヤクルト)、鳥谷敬(元阪神ロッテ)のように名遊撃手はベテランになって三塁にコンバートされたケースが多いが、巨人の三塁には岡本和真という主砲がいる。レギュラーが固まらなかった一塁も中田翔が復活。打撃好調で8月上旬から岡本に代わって四番に座っている。11日の広島戦(マツダ広島)で3回に左中間へアーチを放ち、2年ぶりの20本塁打に到達した。

 坂本は外野へのコンバートが現実的だが、スポーツ紙記者は「難しい判断になるでしょうね。日本一の遊撃手ですし、本人も守り慣れたポジションへのこだわりが強いと思います。一方で、遊撃を続けることで故障のリスクが上がることも当然考えなければいけません。坂本が欠けるとチーム力が明らかに落ちる。試合に出続けてもらわなければ困る選手なので、首脳陣はいろいろな選択肢を考えることになる」と語る。

「坂本にはショートが似合っている」


 野球評論家の川口和久氏は週刊ベースボールのコラムで、「張本勲さん(元東映ほか)の3085安打は、イチローが日米通算だが抜き、NPBのみでも33歳ながら2174安打(記事掲載時)の坂本勇人(巨人)が抜き去る可能性は十分にある。ただ、坂本にちょっとケガが多くなっている。腰痛で今季2度目の登録抹消中だが、今年は打撃の調子が上向いたと思うたびにケガに泣く。巨人にとっても、早くも風前の灯火になりかけている逆転優勝に向け、あまりにも痛い穴だ。負担の大きいショートからコンバートすべきという意見もあるが、サードには岡本和真がいるし、坂本にはショートが似合っている。体をしっかりケアし、できるだけ長くやってほしい」と持論をつづっている。

 腰痛から復帰した8月は13試合出場で月間打率.212と精彩を欠いたが、9月に入り、10試合出場で月間打率.316と復調の兆しを見せている。クライマックスシリーズ進出に向け、最後まで力を振り絞る。

写真=BBM
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