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球速大幅アップの阪神・岩貞祐太 年俸CランクでFA権行使なら争奪戦に

 

相手をねじ伏せる投球


リリーフとして好投している岩貞


 阪神がクライマックスシリーズ(CS)圏内の3位以内に入るため負けられない戦いが続いている。その中で、縁の下の力持ちとして不可欠な存在がプロ9年目の岩貞祐太だ。

 救援陣はプロ4年目の湯浅克己がリーグトップの39ホールドをマークして大ブレーク。6年目の浜地真澄も19ホールドを挙げ、勝利の方程式を担っている。若手の成長が著しい中、岩貞の貢献度も忘れてはいけない。ビハインドの場面やワンポイントなどチームの状況に合わせてあらゆる場面で登板し、51試合登板で2勝0敗10ホールド、防御率1.77。若手に助言を惜しまないなど精神的支柱としてもナインの人望が厚い。

 プロ3年目の16年に自己最多の10勝をマーク。左のエースとして期待されたが制球難を解消できず、その後は殻を破り切れなかった。近年は若手の台頭もあり救援が仕事場に。昨年は46試合登板で防御率4.66と大量失点を喫する登板が少なくなかったが、今季は複数失点を喫した試合が一度もない。好投を続けている大きな秘訣が球威十分の直球だ。昨オフにウエートトレーニングに精力的に打ち込み、今季は直球が自己最速を更新する154キロを計測。150キロ台を常時計測し、相手打者を力でねじ伏せる投球が目立つ。直球が走ることで決め球のスライダーも効果が増す。

 9月11日の中日戦(甲子園)では1点リードの6回二死一、三塁のピンチで救援し、高橋周平に3ボールから7球連続直球を投げ込んだ。ファウルで粘られたが、ヒットゾーンには飛ばさせない。最後は11球目に外角低めのスライダーで空振り三振に仕留めてガッツポーズを見せた。試合後に今季甲子園で初のお立ち台に登場し、好調の要因を聞かれて「筋肉です」と即答。直球が自己最速を更新したことについても、「筋肉の154です」とクールに答えてスタンドは大盛り上がりだった。

「どんな場面でも投げられる」


 進化を続ける岩貞は野球人として大きな節目を迎えた。8月27日に国内FA権の資格を取得。31歳とまだまだ成長段階の左腕は推定年俸4500万円のCランク。人的補償がないため、他球団にとっては大きな魅力だろう。

 スポーツ紙記者は「救援陣で左腕のコマ不足に悩んでいる球団は多い。岩貞はタフでどんな場面でも投げられる。野球に向き合う姿勢もストイックで若手に良い影響を与えられる投手です。先発でも十分に投げられるので起用法の幅が広い。権利を行使すれば、争奪戦の可能性が十分にあります」と予測する。

チームにとって必要不可欠な存在


 今オフのFA市場はチームメートの西勇輝西武森友哉楽天浅村栄斗らの動向が注目されているが、救援投手の需要も高まっている。昨オフに又吉克樹が中日からFA宣言した際はソフトバンクオリックスDeNAが獲得に動いている。CS進出からの下克上を目指す阪神は矢野燿大監督が今季限りで退任するが、新体制でも岩貞は不可欠な存在であることは間違いない。

 阪神を取材する記者は「岩崎優も今年FA権を取得しましたが、岩貞と共に救援を支えてきた。両左腕に代わる存在はなかなかいない。球団は全力で慰留するでしょう」と語る。岩貞は来年も縦縞のユニフォームを着るか。去就が注目される。

写真=BBM
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