与四球はわずか9

抜群の安定感を見せている加藤
9月12日の
ロッテ戦(ZOZOマリン)で
日本ハムのサウスポー・
加藤貴之が8回を投げて2四球、3失点で敗戦投手となった。この試合、今季の加藤にしてみればちょっとした「異変」が起こった。四球を2つも与えてしまったのだ。というのも、この試合までに中継ぎ1試合を含めて無四球が12試合、1つだけ四球を許したのが7試合、19試合122.2イニングでわずか7四球という精度を誇っていたからだ。
続く9月19日のロッテ戦(札幌ドーム)では無四球完封勝利。同日時点で9イニングあたりに換算した四球数を表す与四球率は驚異の0.58だ。9回を完投しても平均で1つの四球を出すか出さないか、というレベルで、規定投球回以上を投げている投手の中では断トツの数字になる。
NPBの歴史を振り返ると、規定投球回以上でシーズン四球の最少は、1950年に阪急の
野口二郎が記録した14。記録更新は現実目標で、現時点で加藤の与四球率は野口の0.69を上回っている。
もう一つ、「K/BB」というセイバーメトリクスの指標を見てみよう。奪三振数を与四球数で割ったシンプルなものだが、奪三振と与四球はともに守備の影響など運不運に左右されないため投手の絶対的な能力、特にコントロールを示す指標となっている。先発投手であれば3.5以上ならば極めて優秀とされる指標だが、加藤のK/BBは10.00で、奪三振王にまい進する
オリックス・
山本由伸の5.22のはるか上をいく。それどころか、規定投球回以上のシーズン記録とされる
コルビー・ルイス(
広島)が2009年に記録した9.79(186奪三振、19与四球)も上回っている。
加藤は規定投球回ぎりぎりで、投手ランキングに名前が登場したり、消えたりを繰り返しているが、最終的には自身初の規定投球回クリアを果たしそうだ。防御率も2.00で2位につけており、1.71でトップに立つ山本を逆転する可能性も残している。
残る登板数はわずかだが、歴史的な投球を続ける加藤が最終的にどんな数字を残すのか。そのピッチングに目を凝らしていきたい。
写真=BBM