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村上宗隆の弟・村上慶太がプロ志望届を出した理由「可能性があるならば挑戦しろ」

 

国体で逆方向に一発


九州学院高・村上慶太[3年]は栃木国体1回戦[対聖光学院高]で、兄であるヤクルト村上宗隆を想起させる逆方向へ本塁打を放った


 九州学院高の四番・村上慶太(3年)が9月28日、プロ志望届を提出した。栃木国体に出場した聖光学院高との1回戦敗退後、将来の思いについて語った。

 高校ラストゲームは、4打数2安打3打点をマーク。0対2の3回表に同点適時打、2対3の5回表には、先頭打者として左越え同点ソロアーチを放った(高校通算7号)。主砲の意地も実らず、4対6で敗退している。

 なぜ、高卒でのプロ入りを目指す決断となったのか。その理由は一つ。兄であるヤクルト・村上宗隆の存在である。2022年の新年だった。

「昨年の秋、冬も打てていないことはなかったんですが、自分は通用するのかな? と心配がありました。そこでお兄ちゃんに相談したときに『可能性があるならば挑戦しろ』と。覚悟を決めて、挑戦してやろうと思いました」

 190センチ100キロ。社会人のテイ・エステックでプレーする右腕の長男・友幸さん(東海大熊本星翔高−東海大)は194センチ104キロ、次男・宗隆は188センチ97キロ。かつて、次男と三男で寿司屋に行った際には、2人で100貫を食べたというエピソードもある。

 兄・宗隆は九州学院高から高卒でプロ入り。同じタテジマを着た三男・慶太は、次男と同じ左打ちのスラッガー。今夏、ラストチャンスにして甲子園にコマを進め、12年ぶりの8強進出。村上は3試合で3安打1打点(打率.250)と打線をけん引した。

「(兄と)自分とは次元が違うというか、あっちは異次元の世界に立って55本塁打(10月2日時点)を打っていますし、自分はまだまだ実力が足りない。追いつけるようにもっと、練習をしていくだけです」

 今後も見据え、プレーヤーとしての幅を広げるため、高校時代に守った一塁手だけではなく、三塁手にも挑戦している。自身の持ち味についてこう語った。

「全方向に長打を打てること。チームバッティングもできるので、あとは守備とか、フットワークとかをやって、より一層、良い選手になれるように努力していきたいです」

「村上宗隆の弟」として常に比較され、注目された高校3年間をこう振り返っている。

「つらかったり、きつかったりすることもあったんですけど、自分にしか味わえないこと。これからも一生『村上宗隆の弟』というのは付きまとってくると思うんですけど、いかにそこをプラスに考えて、これから自分のプレーで『村上宗隆が兄』『村上慶太の兄』と言わせるように頑張ろうと思います」

 この日の逆方向への本塁打は、兄を想起させる放物線だった。多くの観衆で埋まった宇都宮清原球場のファンを喜ばせた。

写真=矢野寿明
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