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ドラフト当日は「世界一」を目指して戦っている最中。最速147キロ左腕“U-23代表”富田蓮の運命は?

 

生命線は「三塁側の真っすぐ」


三菱自動車岡崎・富田蓮は高卒3年目のドラフト解禁年。侍ジャパンU-23代表における中心投手として期待されている


 第4回WBSC U−23W杯(台湾、10月14日開幕)に出場する日本チームは「オール社会人」で臨む。石井章夫監督が先発の柱として期待するのは三菱自動車岡崎の左腕・富田蓮(大垣商高)である。

 チーム初実戦となった10月9日、今夏の都市対抗準優勝・東京ガスとの練習試合で先発した。3回2安打無失点と、安定感抜群のピッチングを見せている(チームは5対0で勝利)。

「初めてのジャパンのユニフォーム。緊張はしましたが、結果、ゼロに抑えられたのは良かったです。カーブがしっかり入って、打者のタイミングを外すことができました」

 本人いわく、タテ変化のスライダーに近いカーブは、ネット裏から見ると、左打者の場合、肩口から入ってくるイメージ。右打者も相当、遠くに見えるため、攻略するのは難しそうだ。

「三塁側の真っすぐが生命線」

 緩急を生かす意味でも、対右打者の内角、対左打者の外角へのボールを最も重要視する。好きな投手はDeNA今永昇太で「マウンド上での立ち居振る舞い、真っすぐの伸びにあこがれます」と目を輝かせる。

 大垣商高では2年春からエースで、同夏の岐阜大会準優勝が最高成績。3年夏も同4強と甲子園と縁がなかった。だが、三菱自動車岡崎への入社は「縁」で決まった。当時、同社を率いた野波尚伸元監督の長男・祐太郎さん(明大3年)が大垣日大高でプレー。富田とは同学年で2年夏、3年夏に敗退した相手であり、野波氏は長男の応援のために訪れた試合で、左腕の投球センスに惚れ込んだという。

 入社1年目は体づくり、2年目は先発、そして3年目は主戦投手とステップアップを踏んだ。今年は都市対抗、日本選手権の二大大会の出場はならなかった(都市対抗はヤマハの補強選手として出場も登板なし)が、最速147キロ左腕は2480回転の回転数で注目され、U-23代表に選出。得意のカーブのほか、スライダー、チェンジアップ、フォークと精度が高い。そして、東京ガスとの練習試合で無四球だったように、コントロールに絶対の自信がある。

 社会人の高卒3年目はドラフト解禁年。10月20日のドラフト当日は「世界一」を目指して戦っている最中だ。

「大会中なので、チームのことに集中したい。ドラフトは意識しますが、結果はあとからついてくるものだと思っています。自分のできる投球に専念し、チームに貢献することだけを考えていきます」

 10月9日の練習試合には、3球団8人のプロ関係者がネット裏のスタンドで視察した。3チームとも編成部門の幹部が足を運び、最終チェックに目を光らせた。富田の下には多くの球団からの調査書が届いており、台湾で「運命の日」を待つこととなる。

文=岡本朋祐 写真=藤井勝治
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