カギは桑田真澄か

　セ、パとも3位、5位チームの監督が交代となるが、その間にあるセ4位の巨人は、原辰徳監督が続投し、コーチ陣が一新されるようだ。

　もともと原監督は、コーチ交代を大胆かつシビアにする監督だが、村田修一らが外れ、正式発表はまだだが、大久保博元、阿波野秀幸、鈴木尚広らが新たに入るらしい。

　おそらく、右打者は大久保、左は亀井善行、内野守備は元木大介、走塁は鈴木と、よりコーチの役割分担をはっきりさせていくのだろうが、嫌な見方をすれば、結果が出なかったとき、誰の責任でうまくいっていないか分かりやすい形になった。

　今年の巨人は、打線がホームランでしか点が取れず、投手陣、特に先発は戸郷翔征の成長はあったが、圧倒的に頭数が足りず、若手を起用し、やり繰りした。

　光る逸材は多い。ただ、今年の経験で若手が先発として一本立ちしたとは思えない。

　若手先発投手の成長をうながす最大の良薬は、やはり勝利だ。結果が出ていれば、窮屈にならず、しっかり腕が振れる。

　そのためにはカープ3連覇の時期のように、先制点を取られても、つながりのある打線で逆転してくれたり、あるいは中継ぎ以降がしっかりして、6回まで抑えればと思えば、楽に投げることができ、大きなアドバンテージになる。

　今年に関して言えば、その2つが物足りなかったことが、彼らの勝ち星を伸ばせず、一本立ちまでできなかった理由とも言える。

　プロは全員が望むゴールにたどりつける世界ではない。来季も一、二軍入れ替えながらのサバイバルが続くはずだ。

　そういう意味ではファーム総監督となるらしい桑田真澄がカギになるシーズンになるだろう。下の選手に力をつけさせて一軍に上げ、落ちてきた選手をケアし、また上に送り出す立場だ。

　加えて、新人かな。トレード、外国人という手もあるが、いまは大学生投手のレベルが高い。今季の大勢、赤星優志のように即戦力新人は不可欠だろう。

　巨人はドラフトで野手の浅野翔吾(高松商高)を1位指名するらしいが、2位以下は即戦力投手を狙っていくと思う。

　原監督は今季を前に「今年は厳しいシーズンになると思う」と言っていたが、正直、現状では来季も厳しいシーズンになるのは間違いない。

　ただ、何も手を打たず、流れに任せる人ではない。原監督の次の一手が楽しみだ。

写真＝BBM