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首都大学リポート

四番抜てきでリーグ戦初安打が本塁打。「打倒・東海大」の思いを果たした日体大・門馬功/首都大学リポート

 

親子鷹でセンバツ優勝


日体大・門馬は東海大1回戦でリーグ戦初安打が初本塁打となった。試合後はホームランボールを手に笑顔


【10月15日】一部リーグ戦
日体大7−2東海大
(日体大1勝)

 首都大学リーグ第7週1日目。武蔵大、東海大、筑波大、日体大の4チームがリーグ優勝の可能性を残すなか、日体大は東海大との1回戦に臨んだ。目前に迫った10月20日のドラフトで、日本ハムから1位指名を公言されている矢澤宏太(4年・藤嶺藤沢高)が先発。エースの好投をバットで後押ししたのが、リーグ戦初の四番を任された門馬功(1年・東海大相模高)だった。

 門馬は東海大相模高を率いて春3回、夏1回の甲子園制覇へ導いた門馬敬治氏(現創志学園高監督)の次男。3年春にはセンバツに出場し、大会途中、体調不良のために戦列を離れたキャプテンに代わって主将代行を務め、リードオフマンとして活躍。福岡大大濠高との準々決勝ではホームランも放つなどチームを優勝へ導き、父とともに紫紺の大旗を手にした親子鷹として全国に名をとどろかせた。

 大学は東海大と同じ首都大学リーグに所属しライバル関係にある日体大へ進学。「古城隆利監督から熱い言葉を掛けてもらい、日体大へ行くと決めてからはずっと『東海大を倒したい』と思ってきました」。ただ、日体大に入部当初はレベルの違いに苦しんだ。

「大学はピッチャーのレベルが高くて、特に変化球のキレが高校とは全然、違いました」。そこで、「とにかく練習するしかない」と一念発起。バッティングピッチャーに前から投げてもらったボールを打ったり、置きティーをしたりしていくなかで「外角の変化球を追いかけるのではなく、自分の間を作ってゾーンに来たボールをしっかりと振ることができるようになりました」と徐々に対応。また、タイミングを合わせていくなかで、バッティングフォームも高校時代にくらべてヒッチがやや大きくなり、さらに矢澤からのアドバイスを受け「ボールを追わずに、前の方でバットを出す感覚を教えてもらいました」と随所に修正を加えていった。

真ん中寄りの直球を強振


 今秋は第2週の明治学院大戦でリーグ戦デビュー。その後、なかなかヒットが出なかったが、迎えた東海大1回戦では初めて四番・DHに抜擢された。古城監督は「門馬の良いところは思いきりの良いスイングで、どんな場面でもしっかりと振れること。このところは練習から調子が良く、もっと下位の打順で使うことも考えましたが大引啓次コーチ(元ヤクルトなど)と相談して『どうせならインパクトのあるところで』と四番にしました」と、明かす。

「大学ではオープン戦も含めて四番はなかったので『まさか』と思いましたが、先輩方から『いつもどおりに行け』と声を掛けられ、楽な気持ちで打席に立つことができました」

 平常心で試合に入れた第1打席、二死一塁ので打席に立つと「インコースのボールが頭にあって狙っていた」と真ん中内寄りのストレートを強振。「試合に出させていただいている以上、『勝ちにつながる一本を』と考えていた」と思いのこもった打球はレフト芝生席へ飛び込む先制2ランとなり、リーグ初安打が初ホームランとなった。続く第2打席でも三遊間を破るヒットを放ち、マルチ安打を記録。チームも、矢澤が8回2失点の好投を見せて7対2で快勝。大事な東海大との初戦で先勝した。

 ずっと志していた「打倒・東海大」の思いを果たし「本当に、うれしい」と話した門馬。試合後は古城監督とグータッチを交わす姿も見られたが「明日、勝たないといけないので切り替えていきたい」とあらためて気持ちを引き締めていた。この日、首位の武蔵大が筑波大に敗れた(4対5)ことで自力優勝の可能性が復活した日体大。混戦を抜け出し、2020年秋以来となるリーグ優勝を狙う。

取材・文=大平明 写真=BBM
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