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念願かなって「エース」を迎え入れた巨人…セ・リーグ6球団「2012年ドラフト」の成功度は?

 

今年のドラフト会議は10月20日に行われるが、各球団がどの逸材の交渉権を手に入れるか注目される。ただ、ドラフトが成功したかどうかは、年月が経ってから分かるものだ。今から10年前、2012年秋に行われたドラフト会議では1位で藤浪晋太郎東浜巨に人気が集中。果たして、セ・リーグ6球団の「2012年ドラフト」の成功度は――。

読売ジャイアンツ



 前年に日本ハムとの1位競合でクジを外したことにより浪人という選択をしていた菅野智之を、この年は単独1位指名。1年目から13勝を挙げるなど瞬く間に先発ローテの中心となり、最多勝3度、最優秀防御率4度など数々のタイトルを獲得。球界を代表する右腕へと成長を遂げた。今季はケガによる離脱もありながら2年ぶりの2ケタ勝利に到達するなど、チームのエースとして最低限の役割は果たしている。2位以下で現在も現役を続けるのは、日本ハムを経て西武で腕を振る4位の公文克彦のみだが、現エースを迎え入れることができただけでも実りあるドラフトだったと言えるだろう。

阪神タイガース


阪神・藤浪晋太郎


 春夏連覇の大阪桐蔭高のエースとして大活躍した藤浪晋太郎。1位で4球団競合の末、阪神に入団した。1年目に10勝6敗の成績を残し、その後も11勝、14勝と確実に成績を伸ばし15年には奪三振王も獲得。エースとしての道を歩んでいた。しかし、それ以降は先発で結果を残せなくなる。中継ぎや先発などで起用されるも1年間を通じて活躍ができなくなった。もちろん中継ぎでは160キロを超える真っすぐを投げ、打者を圧倒。先発では2021、22年と開幕投手を務めるなど、ポテンシャルは誰もが認めるところ。来季はポスティングシステムでメジャーを目指す。もし、藤浪のメジャー移籍が決まれば、「2012年ドラフト組」は2位の北條史也のみが阪神でプレーすることになる。残りの4人はすでに現役引退。成功までとはいかないドラフトだった。

中日ドラゴンズ



 この年は7人を獲得し、育成の指名はなかった。7人中、今もドラゴンズに残るのは2人。1位の福谷浩司と5位の溝脇隼人だ。福谷は2年目からリリーフとして活躍し、現在は先発要員。右肩痛や椎間板ヘルニアで引退の危機もあったが、20年は8勝を挙げて復活した。溝脇は10年目の今季にブレーク。代打、スタメンでいぶし銀の活躍を見せている。この年の2位は濱田達郎。愛工大名電高時代は、大谷翔平(花巻東高)、藤波晋太郎(大阪桐蔭高)と並ぶ「高校ビッグ3」と言われたが、勝利を挙げたシーズンは2014年の5勝のみ。左ヒジの故障もあり、このオフ、現役生活に別れを告げた。7位の若松駿太は15年に2ケタ勝利を挙げたものの、18年オフに戦力外となった。

横浜DeNAベイスターズ



 DeNAとなって初のドラフトとなった2012年は、1位1巡目に東浜巨を指名したが中畑清監督(当時)がクジに敗れ、2巡目で駒大の三拍子そろった内野手・白崎浩之を単独指名で獲得。その白崎は、14年に自己最多の104試合に出場し、18年途中にオリックスへとトレードで移籍。21年からはKAL/大分で選手兼任コーチとしてプレーしたが今年9月に現役引退を表明した。支配下で6人、育成で1人を指名したこの年のドラフトだが、白崎の引退でDeNAでの現役は三嶋一輝、宮崎敏郎の2人となった。井納翔一は21年にFAで巨人に移籍したが、今季限りで戦力外通告を受けた。すでに引退した赤堀大智はベイスターズベースボールスクールで野球児童の指導にあたり、安部建輝はアマスカウトとして近年のドラフト1位選手らを数多く担当している。引退後の貢献度を含めれば、決して失敗だったとは言えないドラフトだろう。

広島東洋カープ


広島鈴木誠也[写真=Getty Images]


 何と言っても、世界に飛び立っていった鈴木誠也の存在は、カープにとっても誇りだ。ドラフト2位で入団すると、持ち前の長打力と勝負強さを発揮して着実にチームに欠かせない主力打者へと成長。2017年には四番打者を務めるようになり、その打棒はチームにとどまらず球界を代表するほどに。チームの中心となるにつれ、人間的にも成長を見せていった。日本代表でも四番を務め、21年夏に開催された東京五輪では金メダルにも貢献すると、同年オフ、満を持してメジャーへ。カブス1年目の今季は手応えと悔しさと両方を味わうシーズンにはなったが、期待感はふくらむばかりだ。そんな鈴木に影響を受けた12年ドラフトで3位指名された上本崇司が今季、飛躍を遂げたのも大きい。オープン戦で結果を残し、開幕戦スタメンから途中離脱もありながら、キャリアハイを大きく更新する94試合に出場して打率.307。初本塁打も記録した。その打撃は、鈴木からのアドバイスもあって開花したものだ。来季もレギュラー獲りへ、闘志を燃やす。

東京ヤクルトスワローズ



 2011、12年と2年連続でAクラス入りしたヤクルトは、12年ドラフトで7選手を指名。投手5人、捕手1人、内野手1人という守りに重きを置いたドラフトだった。藤浪晋太郎を抽選で外したが、即戦力右腕の石山泰稚を外れ1位で指名。その石山は1年目から60試合に登板し、のちにクローザーも務めた。また、何よりも大きかったのは創価大からドラフト2位で入団した小川泰弘。いきなり16勝を挙げ最多勝と勝率第一位のタイトルを獲得し新人王にも輝いた。2人は10年目の今季までリリーフ、先発の柱としてマウンドに立ち続け、21年、22年のリーグ連覇に貢献。100点以上のドラフトと言っていいだろう。また、ドラフト6位で国学院大から入団した谷内亮太はトレードで18年オフに日本ハムへ移籍。スーパーサブとしてチームに欠かせない存在だ。

写真=BBM
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